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第1章ー2「ネーミングセンス皆無のパーティ名」

「というわけで、パーティーの結成をお願いします」

 サーニャと卓生はパーティー結成の申請のため、集会所に来ていた。

「えっと、サーニャさんとイキリオタクさんでよろしいですか?」

「桐井卓生です…」

 受付嬢は卓生の名前を間違えて呼んでしまった。

「失礼しました。キリイタクオさん…では、パーティー結成に伴い、名前を考えてはいかがでしょうか?」

「…名前か…」

 卓生はパーティー名をどうしようか悩んでいたが

「サーニャは決めているかい?」

「私は特に考えていないから、タクオが決めていいぞ」

「よし、分かった。では、俺が決めるぞ」

 卓生はパーティー結成申請書の紙にパーティー名の欄に文字を描いた。

「えっと…史上(しじょう)最強(さいきょう)戦士(せんし)…ですか?」

「違いますよ。ルビの部分よく見てくださいよ」

 卓生は得意気に受付嬢に指摘した。

「えっと…史上(ワールド)最強(グレート)戦士(ウォーリア)…?」

「はい! 正解です!」

「分かりました。では、こちらで申請しておきます。では、お二人は待合室で座っていてください」

 受付嬢は一礼お辞儀をし、卓生とサーニャは待合室へ行った。

「おい、タクオ…」

「どうした?」

「お前に任せておいてなんだが…パーティーの名前めゃくちゃダサいぞ…」

 サーニャは引きつった顔をしていた。

「はぁ? ダサいか!?」

「…」

 サーニャは無言でうなずいた。

「とくに漢字に適当にルビをふるというのがダサい…」

「なんだよー! それが一番かっこいいじゃんかよー!」

 卓生とサーニャはパーティー名を巡って言い合いをしていた。その時、受付嬢が来た。

「タクオさん、サーニャさん」

「「はい」」

「申請が完了しましたので、あなた方は今からクエストの受注が可能になりました」

 受付嬢は二人に腕時計らしきものを渡した。

「なんだ? それ?」

「その機械はあなた方の所属パーティとスキルが分かります。そして、同じパーティーの人が今どこにいるのかも分かります。名前は『パーティウォッチ』といいます」

「マジすか?」

「横のボタンを押してください」

 受付嬢に言われた通り、卓生とサーニャはパーティウォッチ横のボタンを押した。

「おお!」

「すげえ!」

 サーニャと卓生のパーティウォッチからそれぞれホログラムがでてきた。そして、ホログラムにはそれぞれこのように映っていた。


名前 キリイ=タクオ

 所属パーティー 史上(ワールド)最強(グレート)戦士(ウォーリア)

 剣スキルLV1

 防御スキルLV1

 格闘スキルLV100

 魔法スキルLV1

 生産スキルLV1

 ポイント0

0G


名前 サーニャ=スア

 所属パーティー 史上(ワールド)最強(グレート)戦士(ウォーリア)

 剣スキルLV10

 防御スキルLV10

 格闘スキルLV10

 魔法スキルLV30

 生産スキルLV10

 ポイント0

 0G


「かっこいいぜ!」

「確かにかっこいいけど…」

 目を輝かせている卓生の横で、サーニャは冷ややかな目をしていた。

「パーティー名がやっぱりダサい…」

 サーニャは羞恥のあまり、頭を抱えた。

「それにしても、すごいですね…」

 受付嬢は卓生のホログラムを見ていた。

「なにがすごいんですか?」

「タクオさんの格闘スキルのレベルがMAXの100レベルを達成していますので…」

「え? マジすか?」

「はい。それ以外のスキルの剣、防御、魔法、生産は初心者のレベル1なのですが…」

「はあ…」

「普通パーティーを結成する時、初心者はレベル1、パーティー結成以前から鍛えていた人は大きくてレベル10~30ほどなのですよ…そして、100レベルは極上級者クエストを50回ほど受けないと辿りつけない領域で…パーティー結成時で100レベルの方はあなただけですね…」

「それは凄いな…」

 卓生はあまり実感が湧いていなかったが、自分のレベルの凄さに驚いていた。

「そして、クエストを受けるごとにポイントがたまります。5000ポイントを貯めますとスキルのレベル上げや1カ月後に開催されます年に1度にしか行われない能力祭に参加することができます。尚、そのポイントはパーティーメンバー全員の合計ポイントになります」

「能力祭…」

「貰えるポイントは難しさによって異なります。初心者が10ポイント、中級は50ポイント、上級が100ポイント超級は500ポイント、極上級は1000ポイントになっています。そして、貰える報酬金も難易度よって異なります。そして、報酬金ではアイテムや装備などの購入が可能です。では、どのコースを受けるのか、ゆっくりお選びになってどうぞ」

 受付嬢は一礼をし、2人の元を去った。

「タクオ…お前、レベル100ってマジかよ…」

 サーニャは目を丸くしていた。

「ああ。格闘スキルだけだがな」

「私なんて魔法が30でそれ以外10なのに…」

「いやいや、それでも十分すごいって。俺は確かに格闘のレベルは100だが、それ以外1だぜ」

「それでも、レベル100のやつは見かけてだけで運がいいと言われるほどの希少価値だからな…」

「まぁ、とにかくクエストを受けようぜ。俺達で合計5000ポイントって言ってたから、極上級者クエストを3回受けようぜ」

「馬鹿か」

 サーニャは卓生の提案に呆れ、彼の頭を叩いた。

「お前が幾らレベル100とはいえ、極上級者にいきなり行ったら死ぬぞ。そこは初心者を250回ほど受ければ…」

「いやいや、お前のその考えの方が効率わりーよ。今から1カ月後なんだろ?」

 卓生は仕返しとばかりにサーニャの頭を叩いた。

「あれ? そういや、今日何月何日だ?」

「今日は6月10日だ。能力祭はさっき受付嬢が言っていた通り、1カ月後の7月10日だ」

(なんだ。こっちの世界も年月はあまり変わらないのか…)

 卓生が前いた世界と卓生が今いる世界の日程の大差はないようである。

「お前もそこそこレベル高いんだから、中級者か上級者を受け続ける方が手っ取り早いぜ」

「ま、まぁ…」

 サーニャはスキルのレベルが褒められたのか、照れ臭そうにそっぽを向いた。

「と、とりあえず中級から受けよう」

「おい、待てよ」

 サーニャは中級者向けのクエストボードへ行き、卓生はその後を追いかけた。

「色々あるな…どれを受けよう…」

「これとか、いいんじゃないか?」

 卓生はクエストボードから張り紙を取り、サーニャに見せた。

「えっと…『ボスモンスター1匹と雑魚モンスター10匹討伐』…?」

「これくらいはどうかい?」

「まぁ、初めてでは丁度いいかもな」

「じゃあ、決まりだな。受注するぞ」

「おう」

 卓生とサーニャはクエストの受注をした。

サーニャは慎重すぎですね。

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