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第3章ー6「タクオの身体」

「あのネッシ―は一筋縄ではいかない…たが先へ進まなきゃならない以上、私の魔法で試してみるしかない…」

 賢者は手をかざし、呪文を唱えた。賢者んぼそばにはラファとキョウもいた。

「我が魔法よ、あのモンスターを消滅させよ…」

そして

「デリート・ボール!」

 賢者はネッシ―に向かって、技を繰り出した。しかし

「な…!?」

 デリート・ボールはモンスターに食われてしまった。そして、モンスターはその技をそっくりそのまま返した。

「う、うわああああああああああああ!」

「はっ! 危ない!」

 ラファはバリアを使い、なんとか攻撃を防いだ。

「はぁ…はぁ…あのモンスターかなり厄介だね…」

「やっぱり、あのモンスターに有効的な技を使わないと…でも、僕の剣だと迂闊に近づけない…」

 キョウは悔しそうに歯を食いしばった。

「仕方がない…ここは、タクオ達に任せよう」

「え!? でも…」

「ここで我々が迂闊に攻撃をすると、返って彼等の足を引っ張ることになる。だから、タクオに呼びかけられた時に攻撃を仕掛けよう」

 賢者は2人に案を出した。


        ※


 その頃、頼りにされている卓生は…

「でも、まともに泳げないんじゃ攻撃のしようがない…」

「大丈夫だ。私が手を握ってやるから。私の手さえ離さなければお前は大丈夫だ」

「…うん」

 卓生は何故か少しだけ女々しい顔をした。

「よし、水には雷だ」

 サーニャは雷のリングをつけた。

「喰らえ! ボルトクラッシャ―!」

「ぎゃあああああああああああああああああああ!」

「あ、タクオ!」

 卓生はサーニャの魔法に巻き込まれる形でダメージを受けた。サーニャの魔法は手に力を込めて発動する為、サーニャの手を握っている卓生にダメージが行くのが当然のことなのだが

「ううう…」

「す、すまん! タクオ!」

 サーニャはダメージを受けた卓生を心配した。卓生は手を緩めたが、サーニャは手をしっかり掴んでいた。

「タクオ! タクオ!」

 卓生は気を失っていた。


        ※


「クオ…タクオ…!」

「う…ん?」

 卓生は暗闇の中で目を覚ました。

「俺だよ。リューだよ」

「リュー…さん?」

 卓生はサーニャの父、リューに声をかけられて目を覚ました。

「あれ? どうしてリューさんが? もしかして、ここは剣の中?」

「いや、ここはお前の精神世界だ。俺はスピリット・スパーダを通じて、お前に話しかけている」

「は、はぁ…」

「それよりだ。お前、泳げないんだろ?」

「はい…」

「だったら、俺と代われ」

「え?」

「俺は、かなり泳げるんだぜ? 少しキツイが、お前が目を覚ましたら、すぐに自分に剣を刺せ。それでいいか?」

「わ、分かりました。では、頼みます!」

「ああ」

 卓生はリューの提案に乗った。


        ※


「はっ…」

「タクオ! 気がついたか!」

 卓生は目を覚ました。そして、剣を取り出し、リューに言われた通り、自分の腹部に刺した。

「タ、タクオ! 何やってるんだ!?」

「サーニャ…お前の親父、泳げるらしいぜ…」

 そして、卓生は再び意識を失った。

「おい! タクオ!」

 サーニャは再び意識を失った卓生に声をかけた。そして

「よぉ、サーニャ。後は俺に任せろ」

「え…? まさか」

 卓生は目を覚ましたが、目は赤くなっており、緑のメッシュが入っていた。

「よっと…」

 卓生…に憑依したリューはサーニャの手を離し、剣を取りだした。

「行くぜ…」

 スピリット・スパーダが緑色に輝いた。

「グリーンモンスター!」

 リューの剣はネッシーを切り裂いた。

「後は任せたぞ! お前ら!」

 リューはサーニャと別の場所で泳いでいたラファ、キョウ、賢者に声をかけた。

「はい! 我が魔法よ。あのモンスターの動きを封じよ…ストップ・ボール!」

 賢者は呪文を唱え、ネッシ―の動きを封じた。そして

「くらえ! 僕の剣を!」

「ぐぎゃああああああああああああああああああああああああああああ!」

 そして、ネッシ―はキョウの剣によってとどめを刺された。

「やっと、終わったか…」

 ネッシ―が倒されたと同時に海が消滅した。

「やっと終わったか…じゃあ、後は任せたぜ。タクオ」

 卓生の髪と目は元の色に戻った。

「パパ…いや、タクオ。元に戻ったのか?」

「ああ。お前の親父さんに代われと言われたからな。それに、ここの国の住人は泳ぐのが得意だから、任せようかなって」

 タクオは少し腑に落ちない表情をしつつも、得意げに話した。

「違う。私が聞いているのはそうじゃない…」

「?」

「私の父さんが何故あの剣を使いこなせたということだ」

「まぁ…俺の身体だから?」

「でも、お前が出したことがないような技を出していた。まるで自分流にアレンジしたかのように…」

「ああ…」

 タクオはしばらく悩んだが…

「流石に俺でも分からないよ…今度、お前の親父さんに聞いておくよ」

「そうか…」

 2人はその後沈黙していた。

「おーい!」

 2人の元にラファ、キョウ、賢者が来た。

「凄いなタクオ! あんな風に泳げるなんて! しかも新しい技まで出せるとは、凄いよ!」

「あ、あはは…」

 賢者は目を輝かせながら、卓生を見ていた。尚、ラファとキョウは卓生の中身がリューであることには察しがついていたようであり…

「サーニャちゃん、あの剣ってタクオ君とソウルしか使えないんでしょ? タクオ君の身体とはいえ、自己流の技まで出せるなんて…」

「私もタクオに聞いたんだが、分からないってさ」

 サーニャの父、リューの謎はますます深まって行った。

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