第3章ー5「タクオの心」
「おい! タクオ! 大丈夫か!」
サーニャが倒れた卓生に声をかけたが、彼は目を覚まさなかった。
「タクオのこの体質に心当たりはあるかな?」
賢者は卓生が暴走状態したことについて、他の3人に聞いた。
「心当たりね...前にシャイセとかという闇パーティと会った時に似たようなことが...」
「でも、倒れるのは初めてだよな...確か目の色も青色じゃなくて白目を向いてた...」
「なるほど...」
賢者は納得したかのように頷いた。
「じゃあ、他にタクオの身体の中になにかいるとかは? 例えば...幽霊とかが取り憑いてるとか...」
「あ!」
サーニャが賢者の話を聞いた途端、目が覚めたかのように反応した。
「心当たりなら、ある。タクオはあんたの賢者が心酔しているソウル・ヴァルキリュアの魂を身体の中に宿している。その他、持ってる剣には私の父の魂が宿っている。それと関係あるんじゃ...」
サーニャは訳を説明した。
「なるほど...もしかして、タクオが宿しているソウルの魂について行けないのでは...?」
「え!? じゃあ、タクオさんの身体がソウルに...」
「いや、その心配はない...ただ1つ言えることは...タクオが協力な魂の力によって、身体を蝕まれてしまう。今日はその現れの可能性が高い。特に自分の身近な人に何かあると、彼がコントロール不可能な感情がむき出しになり暴走する。というわけだ...」
賢者は卓生の体質について説明をした。
「その通りだ...」
「タクオ! 無理するな!」
「いや、大丈夫だ...」
気を失っていた卓生は目を覚ました。
「俺は感情コントロールができない。特に自分が嫌だと思うことをされたり、大切な人が危機に陥った時にそうなる。そんな時に俺は冷静になれなくなる。...頭の中では冷静にならなきゃなと考えるのにな」
卓生は頭に手を当てながらため息をついた。
「タクオ!」
「サーニャ?」
「お前が暴走しそうになったら、私がなんとかする」
「え、でも...? 迷惑がかかる...」
「タクオ。さっき言ったよな? 私の苦労を背負わせてくれって」
「あ、ああ...言ったさ」
「私にあんなこと言っておいて、お前は1人で背負い込むつもりか?」
「...」
「タクオ。仕返しに私からも言っておく。お前の苦労を私に背負わせてくれ」
「...分かった。サーニャ、頼むぜ。俺が暴れそうになったら、助けてくれよ」
「よし、よかろう!」
サーニャは卓生の肩を叩いた。
「サーニャちゃんがどうしようもなくなったときは、私に任せてくれ。私の魔法は微力だが、暴れる獣を押さえつける力は持っているからな」
「お前...俺のこと獣呼ばわりすんなよ...」
「すまん。すまん」
「じゃあ、先に進むか」
卓生達は先のエリアへ進んだ。
「ここは...海の中...?」
卓生達はいつの間にか海の中にいた。
「てか...俺泳げないんだよーーー!」
「え? タクオ、泳げないの?」
「タクオくん。幾ら何でもそれはないよ...」
「僕でも泳げますよ...」
「この国の連中は泳げるのが当たり前なのかー!?」
卓生は溺れながら、突っ込みを入れた。その時
「ぐるわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「な、なんだ!? ドラゴン!? ゴボボボ...」
「タクオ、あのモンスターはネッシーだ!」
サーニャは溺れた卓生の手を握った後、モンスターの説明をした。
「この世のネッシーは凶暴なやつが多い...タクオ、気をつけろ」
「ああ...」
卓生は気を引き締めた。
今回は少し短めになっています。




