第3章ー2「道の先」
投稿がだいぶ遅れてしまいすみません。
「それにしても、賢者の集会の場所へ行くには、どうしたらいいんだ?」
「私にも分からんが…直接賢者に聞くのが一番手っ取り早いと思うな」
「待てサーニャ。俺達のような一般人に教えてくれると思うか?」
卓生はサーニャのあまりにも無計画過ぎる意見に反論をした。しかし
「大丈夫だ。私に考えがある」
サーニャはにやりとした。
「タクオ、この前みたいな姿にはなれるか?」
「ああ」
卓生は黒い紐を引っ張り、剣を取りだした。
「タクオ、魂フォーム!」
卓生はソウルの魂を取り込んだときの姿に変わった。
「タクオ君をその姿にして、どうするつもりなの?」
「私の父さんがタクオの持っている剣に魂を取り込まれた。そして、私の知り合いの賢者が魂を錬成し、生き返らせたと思ったが、現に父さんは未だこの剣の中にいる。つまり、タクオをこの剣の持ち主と似た姿にさせたら、向こうは土下座くらいするだろうと思ってさ。それに、例え中身が違っても、私と知り合いという体でいるんだから、あぶり出すことはそこまで難しいというわけじゃない」
サーニャはわけを説明した。
「とにかく、集会の手掛かりはもう分かる。なにせ、あれだからな」
サーニャは指をさした。その先には、白いローブを着た賢者らしき人物がいた。
「サーニャ、俺が居場所を聞いてくる」
「分かった。任せるよ」
サーニャは卓生の肩を叩いた。そして、卓生は賢者の元へ行った。
「よぉ…じゃなくて、貴様ら」
「な、なんだお前は!」
「お前らの仲間の賢者にこのお…私、ソウル=ヴァルキュリアの知り合いはいないかと思ってだな」
と、卓生はぎこちないながらもソウルを演じていた。すると
「ソ、ソウル様ああああああああああああああああ!」
突然、賢者が土下座をした。
「い、いきなりどうしたんだよ?」
「わ、私共の長である大賢者様が慕っているお方であり、我々の敬うべき相手でもありますので…」
「なるほどな…」
卓生は賢者の言動の理由を理解した。そして
「実は、大賢者に会いたいんだ。場所を案内してくれるか? それと、私のお供も連れて行っていいか?」
「いや、しかし…ソウル様は言われなくても場所は分かるのでは…?」
「あ? この私の頼みが聞けないってのか?」
卓生は剣を取り出し、賢者を脅した。
「これでもな、100人の敵相手にこの剣1本で返り討ちにした男だ。最も、敵を斬っている時に意識はなかったけどな。つまり、私はキレると何するか分からないから、さっさと案内をしろ」
「は、はい…」
賢者は卓生の脅しに屈した。
「じゃあ、少し待っていてくれ」
卓生は賢者に一声かけ、サーニャ達の待っている所へ行った。
「サーニャ、交渉は成功だ」
「よくやったタクオ!」
「じゃあ、行きましょうか!」
「うん!」
こうして、4人は賢者の集会所へ向かうルートが固まった。
「まだですか? ソウル様」
「ああ。待っていてくれ」
卓生達4人は、賢者の元へ戻って行った。
「この方々がお供ですか?」
「ああ。というわけで、俺達を案内してくれ」
「はい」
賢者は卓生達の案内を始めた。
※
「え? ここ?」
「はい。ここです」
卓生達(と賢者)はあの店の前にいた。あの店とは、卓生が以前尋ねた武器屋である。そこではどういうわけかスピリット・スパーダという名前の武器を売っていたのだ。そして、現在その武器は卓生の手元にある。ここの武器屋の主人はソウルに雇われたことが露見し、店を二度と出店できなくなっていた。そのため、この店は潰れ、廃墟同然になっている。
「ここに入り口があるのか?」
「はい。ついて来てください」
賢者は扉の前に立ち…
「開け、集会への入り口」
と念じ、扉が開けた。
「なんだこの能力」
「ここは廃墟なので、常に扉が閉じたままなんですよ。それで、私達賢者が念じることで、扉を開くのです」
賢者は丁寧に説明をした。
「なんだよそれ。チ―トかよ」
「お前が言うな」
サーニャはごもっともなツッコミを卓生にぶつけた。
「ほら、行きますよ皆さん」
賢者に案内され、卓生達は廃墟の中に入った。
「開け、集会への道…」
賢者は再び念じた。すると、かつて武器を収納していた空の棚が動き出した。棚の後ろは空洞になっていて、そこが集会へ行くための道だったのである。
「忍者みたいでかっこいい!」
ラファは目を輝かせていた。
(あれ? そもそも異世界に忍者なんて存在するか? 割とこの世界の基準ガバガバな気が…)
卓生はラファの言動に疑問を感じつつも、他の3人と共に賢者について行った。
「な、なんだここ…?」
卓生は空洞を抜けた先の光景に驚いていた。彼らがみたものは、アマゾン(ネットショッピングではない)の熱帯森林のような場所だからである。
「なんですか…ここ…」
「なんか、蛇とか襲ってきそうで怖い…」
「賢者さん。本当にこの道のりであっているんですよね?」
サーニャは少し不審に感じ、賢者にこの道のりが正しいか聞いた。
「はい。正しいです。ここが集会所行きの道のりだってことが。そして…」
賢者は懐から杖のようなものを取り出し
「あなた達があの世へ行く道のりです」




