第1章ー11「剣と魂」
卓生とキョウがダストを襲撃した同じ頃…
「よし、とりあえず、カモを探すとするか! ミュル!」
「そうね。とりあえず、迷い込んできたやつらを脅しましょう。トラッシュ」
「ああ。それに、この剣さえあれば、簡単に脅すことができる」
トラッシュは盗んだ剣を見つめ、うっとりしていた。
「おっ、そう言っているうちに、カモが来たぜ…」
「ええ…」
一人の男性が路地裏に迷い込んできた。彼は少し不安な表情をしていたため、どうやら迷ってきたようである。
「ミュル。ここは俺だけにやらしてくれ」
トラッシュは剣を構えた。
「え? でも」
「いいから。まずはこの剣の凄さも試したいしな」
「分かったわ」
「じゃあ、行くぜ」
トラッシュは男性の前に飛び出してきた。
「うわっ! なんだ!」
「おい! そこのにーちゃんよォ! 有り金さっさと置いてこい!」
「な、なんだお前は! そんなことするもんか!」
男性は懐から短剣を取りだした。
「はっ、お前のそのへなちょこの剣が俺の剣に叶うかな?」
トラッシュは剣を男性に向けた。
「な、なんだこの剣は…目が…頭が…ぐ…」
男性は身体に異変を感じ、目を抑えた。
「おじけづいたか…分かったからさっさと…!?」
トラッシュは調子に乗り、男性に追い打ちをかけようとしたが、彼の身体にも異変が起きた。
(なんだこの感じは…剣が…?)
トラッシュの剣が黒色から紫色に輝いていた。それと同時に彼の顔に黒色の紋章らしきものが現れた。
「ぐっ…がっ…」
次の瞬間、トラッシュは倒れた。
「トラッシュ!?」
「…」
ミュルは倒れたトラッシュの元へ駆け寄った。男性はその隙に逃げ出した。
「大丈夫!?」
「なんだ今の感じは…」
トラッシュは何事もなかったかのように立ち上がった。そして、彼の顔からは紋章が消えていた。
「い、一体何が…? 剣に異変があったのは覚えているんだが…」
「もしかして、その剣になにかあるんじゃない?」
「多分そうかもな…だが、俺はこの剣を使い続けるぜ…」
トラッシュは立ち上がり、隣に落ちている剣を拾い上げた。
「さっきの男はこの剣に怖気づいていた。これさえあればそこらへんの奴らもこき使えるし、盗むことだって可能だ」
「でも…」
「うるせぇな…この剣を持っている俺に逆らうのか!?」
「!?」
トラッシュはミュルに剣を向けた。その時の彼の黒色の目が何故か紫色になっていた。
「っと…悪い悪い。軽い冗談だよ」
トラッシュは剣をしまい、威圧したことをミュルに軽く謝罪した。
「え、ええ…」
しかし、ミュルは少し怯えていた。それは、トラッシュに威圧されたわけじゃなく、彼の身体に少し違和感を覚えたからである。
「さて、そろそろ行くか」
「そうね」
2人が路地裏から去ろうとした途端、トラッシュのパーティウォッチから着信音が聞こえた。
「リーダーから連絡だ」
トラッシュはシャイセのリーダー、ダストからの着信に応じた。
「もしもし。リーダー、どうかしたか?」
『気をつけろ…あいつら…史上最強の戦士の奴らが無理矢理決闘を仕掛けてきたがった…』
「え? マジですか!?」
『ああ…俺はウォッチを奪われ、承認されてしまった。お前等も気をつけろ…』
「ああ。分かっ…」
次の瞬間、トラッシュとミュルの上に2人の人影が現れた。
「な、なんだ!?」
「パーティウォッチを奪わせて貰うぜ!」
サーニャはトラッシュの腕を火炎魔法で攻撃した。
「ぐわあああああああああああ!」
「よし!」
サーニャはパーティウォッチを奪い、承認するを押した。そして
「はあああああああああ!」
ラファは剣を駆使し、ミュルの腕を斬りつけ、痛みで悶えている隙にパーティウォッチを奪った。
「承認するっ!」
ラファも承認するを押した。
「これでお前らは私達と決闘は確定だ。明日に集会所集合な」
「てめぇ…」
「くっ…」
トラッシュとミュルは悔しそうな顔をした。
「大体…なんで役立たずがここにいるんだよ! お前は洞窟に置いて行ったはずだろ!?」
トラッシュはラファに指をさした。
「私達が助けたんだ。放っておけなくてな」
「なんでだよ! こんな役立たず、お前等のパーティーに入れたらお荷物になるだけだろ! ここで俺がアドバイスしてやろう…こいつは今すぐパーティーから外した方がいいぜ!」
トラッシュは剣を振り、ラファに襲いかかった。その時
「な!?」
卓生とキョウが現れ、卓生はラファを庇い、トラッシュの剣を弾いた。そして
「お前、俺の仲間を馬鹿にしやがったな…俺の仲間をを汚すとは…絶対に許さん!」
卓生の黒色の目が青くなり、そのままトラッシュに襲いかかった。
「おらぁ!」
「な、なんだこいつ…」
卓生の拳をトラッシュは腕で防いだ。しかし、パワーは思った以上に凄く、トラッシュは歯を食いしばっていた。
「貴様…この剣はどうだ!」
トラッシュは剣を卓生達に見せた。その時
「な、なんだ…?」
「あ、頭が痛い…」
「め、目が…」
サーニャ、ラファ、キョウは身体に異変を感じだ。しかし
「お前ら、大丈夫か!?」
卓生の身体だけはとくに異常は起きなかった。
「行くぜ! おらぁ!」
トラッシュが卓生に襲いかかろうとした途端
「待て!」
何者かの声がした。トラッシュは声の主に気づき、動きを止めた。
「リ、リーダー…!?」
「待てトラッシュ。どういう形であれ、俺達は決闘することになった。だから、ここで無闇な戦闘はするな」
ダストはトラッシュを咎めた。
「わかったよ…」
トラッシュは剣を鞘にしまった。
「行くぞ。史上最強の戦士のお前ら、決闘は明日だ。明日の昼に集会所集合でいいな」
「ああ…」
ダストはトラッシュとミュルを連れ、路地裏を去った。
「俺達も行くか」
「そうだな」
卓生も皆を連れ、路地裏を後にした。
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