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登校中(笑顔編)
「・・・?先輩、どうしたんですか?」
と、いきなり立ち止まった先輩に尋ねると、少しむすっとした顔で、
「・・・頼智」
と言った。
「え?」
「頼智って言ってほしいなぁ。」
・・・んんん?
「え、だって、先輩じゃないですか」
「いいよ、咲良だから、許す!だから、敬語もなしで!」
と、いたずらをした子供のような笑顔で言われた。
「・・・、しょうがないですね、分かりました。」
「分かった、でしょ!」
「分かっ、た・・・。」
そう言うと、頼智は満面の笑みを浮かべ、軽い足取りで歩きだす。
「咲良、置いていくよー?」
「あ、え、待って!」
・・・あんな顔されたら断れるわけないよ。
可愛かったなぁ・・・。
もっと、いろんな顔が見たいな。
そう思いながら、私は頼智の後を追って駆け出した。
その後、自分が、その笑顔に振り回されるとも知らずに。