軋む胸
「はぁ?ルビアナとハンスが付き合ってるって!?」
「しぃ!ちょっと!レオニダス!貴方声が大きいですわ!!」
慌ててレオニダスの口元を抑えますわ。紙袋を片手に抱えたレオニダスは、よろめきましたわ。
「だって、さっきのはハンスとルビアナでしょう?私達に内緒で街に来てたもの。答えはひとつですわ!」
ため息や食欲不振。元気のない二人。ルーファさんも言ってましたもの。あれは恋ですわ!そして推測できる二人の気持ちと繋がれた手の平。秘密の恋。
「好きあってるのよ。付き合ってるのよ。名推理でしょう?」
ホホホと笑う私の顔を、レオニダスは口をあんぐりとあけ見つめますわ。驚きのあまり声もでないようですわね。
「いや。なんでそう思い込み激しいんだ。ハンスから色々聞いてはいたけど・・・・ってあれがハンスとルビアナだとはまだ確定してないだろ?」
「あれは、ハンスよ!私がハンスを間違える筈がありませんわ!」
「じゃあ、ハンスで隣にいたのがルビアナだったとして、なんで二人が付き合ってるって事になるんだよ。」
「二人きりだったわ。」
「俺とお嬢も二人きりだけど?」
胸を張って応える私に、レオニダスは呆れたように言いますわ。
「だからなんですの。私と貴方が二人きりでも、誰も付き合ってるだなんて考えませんわ。」
「そりゃそーだろ。」
「私も貴方もハンスが好きですもの。」
「そこは違う。」
「私の前では、隠さなくていいのよ?」
理解者だと言ったじゃないですの。同志よ。
「あー。もういーや。めんどくせー。とにかく、男女が二人だからって付き合ってるとは限らねーって。俺とお嬢がそうなんだから。ってか俺もお嬢と二人で出掛けてるからって、誰かに勘違いされたらすっげー嫌なんだけど。」
ガシガシと頭をかき、心底迷惑そうに言うレオニダス。ちょっと、それって私に失礼じゃありませんの?そこまで言う必要ありまして?私と付き合ってると勘違いされるなんて、むしろ光栄だと胸を張りなさい。完全無欠の完璧美少女。ヴィクトリア・アクヤックがお相手ですのよ?まぁ。私も嫌ですけれど。イケメンノーセンキュー。要らぬ嫉妬やフラグは買いたくも建てたくもありませんわ。
「さっきのも、二人から何も聞いてないのに勝手に思い込むのもどうかと思うぞ?付き合ってるとか勝手に騒がれるの嫌だろ?特にルビアナはそういうの苦手そうだし。」
ムッとする私に、レオニダスが言いますわ。
「うっ・・・・でも、手を繋いでたわ。」
「見間違いとか?ってかハンスならエスコートとかで手をひきそうだよな。そこに恋愛感情があると限らねーだろ。・・・・ルビアナにハンスが恋心を・・・・ってのがそもそも・・・・」
「私、繋いでもらっていませんわ。」
私、手なんて繋いでませんわ。ハンスは、一歩下がった位置にいますもの。
「だから・・・・あれは付き合っているのよ・・・・。」
やだわ。自分の言葉に胸がギュッと締め付けられる。なんなんですの。こんな言葉ひとつで・・・・。痛い。胸が?それとも握りしめた手の平が?わからないわ。こんな感情知らない。
「・・・・なら、どーなんだよ。」
「え?」
俯く私に、レオニダスが静かに声を落としてきますわ。
「お嬢の言う通り。ハンスとルビアナが付き合ってたとして・・・・。」
「お嬢は、どーすんだよ。」
どーする?
何を?
ハンスとルビアナが、好きあって、付き合っているとしたら・・・・
私は、一体どーするの?




