表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生悪役令嬢の前途多難な没落計画   作者: 一花八華
第一章
7/107

落として差し上げてよ!

 春の風が、花弁を舞い上げ。

 幼い魔術師の卵達の門出を、晴れやかに祝福している。


 学園の門をくぐる少年少女達の顔は、少しの不安を混ぜながら、その愛らしい頬に朱色を忍ばせ…その瞳はこれからの未来を夢見、キラキラと輝いている。




…入学会場の外で項垂れる、二人を除いて……。





 なぜこうなってしまったのかしら……。


「まさか……俺まで入学だなんて……」


 隣で、学園の制服を着こんだハンスが何やらぶつぶつと呟いていますわ。

 あの白薔薇事件で、魔力が開花した(してしまった)ハンス。大急ぎで手続きをし、無事私と一緒の入学が決まりましたの。

 

 ええ。私が「ハンスと一緒でないなら、私も入学を来年まで引き延ばしますわ! 」っとごねたのが要因ですわ。


 焦ったお父様と、私の入学を心待ちにしていたブルーテスお兄様(現生徒会長)。そしてなぜか、王家からの圧力で、無理矢理ハンスの入学が捩じ込まれましたのよ?


 流石、悪役令嬢なヴィーちゃん。

 使える物は徹底的に利用しますのよ。オホホホホ。


(何故、王家が動いたのかしら?よくわからないわね。)


ハンスの私物は少なかったので、私が寮に入る日を2日程遅らせる事で、一緒に入寮する事ができましたわ。


 そして今……私達二人は、入学式の会場の外でボーッと、舞い散るサクラの花弁を見つめてますの。


 何故サクラが咲いてるのかですって? そこは、|運営<神>に突っ込んでいただけるかしら。

 確か、ゲームのオープニングでヒロインが門をくぐる際に、舞い散っていたからじゃなくて?


 ハンスったら、緑魔法の才能があるというのに……このサクラに酔ってしまい、顔面蒼白で俯いてますのよ。


それに……


「ハンス、貴方のその格好……なんというか……新鮮ね」

「似合ってないなら、似合ってないとおっしゃって下さって結構ですよ。お嬢様」


 はあぁぁっ。と深いため息を吐き、更に落ち込んでしまいましたわ。


 黒い詰襟に赤いライン(学年によって違う)アルファフォリスの制服は……ハンスには似合っていませんわ。オールバックがいけないのかしら? 普段の執事姿が、しっくりきすぎて目が慣れていないせい……そう。きっとそうだわ!


だから元気を出しなさい。ハンス! 卒業までの四年間それだけど、きっと見慣れれば怖くないわ!


っと言ったら、益々落ち込んでしまいましたの。もうっ! 一体どうしろと!?


 確かに13歳の少年少女の中に、18の男が混じるのはとても勇気がいると思いますわ。

気持ちはわかりますのよ? 成長前のこどもに混じって、成長しきった大人が学ぶのですもの。渾名が【おっさん】になり得るわよね。きっとなるわ。だけど、大丈夫よハンス。貴方の渾名がおっさんでも、私の愛は決して揺るぎませんわ。安心なさって?


そう慰めたら、いや……それを悲観してるわけでは、なくてですね…というかお嬢様。私の事を【おっさん】だと思っていらしたのですか? っと少し涙目で詰なじられましたの。


……どこかが悪かったのかしら?



一向に復活する様子を見せないハンスに、私は思わず


「何よ。貴方……私と一緒なのに嬉しくないの? 」


っと不貞腐れてしまいましたわ。


 アルファフォリスへの入学が決まってからというもの…ハンスの顔色は冴えないのです。私は、一緒に過ごせるという事が、こんなにも嬉しくて仕方がないというのに……。


「……貴女と同学年……というのが嫌なんですよ」


ーはぁああぁあ!?


  落ち込む貴方を心配し、励まそうと健気に振る舞うヴィーちゃんを指して、一緒が嫌ですってぇええぇえぇえ!?


  思わず首もとに手をかけ、締め上げてしまいそうになりましたわ。物理的にハンスを落とすとこでしたわ!だめよヴィー。ここでハンスをころ……落としたら、私の安心安全まったりendが消えてしまいますわ!


宜しい。ハンス。宜しくってよ。


そこまで貴方が私を嫌がるというのでしたら…私も意地でも貴方を、落として(※恋愛的意味で)見せますわ。


戦争よ。


必ず(恋愛面で)落として、貴方から愛を請わせてみせますわ!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ