罪と罰則3
温室に少し、焦げ臭い匂いが漂いますわ。溜息を付きながら、オズワルド皇子の頭に雪を降らせるグレイ様。
「発火とかしないでよね?オズ。ここでボヤ騒ぎは、洒落にならないから」
「だっ大丈夫だ!発火などしない!」
ムッとしながら返すオズワルド皇子の近くで、あからさまに顔を顰め腕組みをするフィロス。
「そうよ。罰則からは、やっと今日で解放されるのに延長なんてやめてよね。馬鹿皇子!」
フィロス、貴女さすがにそれはだめよ!?思っていても言ってはならない言葉ってあるのよ??
「なっ!?誰が馬鹿だと!?」
「えっそれもわからないの!?皇子は、ここに一人しかいないでしょ?大体ちょっと興奮しただけでボヤ騒ぎを起こすようなお馬鹿って…あなたしかいないと思うけど?」
また始まりましたわ・・・・。貴方達は何故こうも、顔を合わせる度に喧嘩になりますの?
「言わせておけば・・・・・・消し炭にしてやろうか!このセクハラ女!」
「はぁー?貴方にセクハラなんてした覚えないけどー?」
「当たり前だ!貴様如きに俺様が触れられると思うな!俺様がいっているのは、ヴィクトリアに対してのお前の行動だー!!」
「なぁにー?それって羨ましいから?男の嫉妬程、みっともないのよ?悔しかったら皇子もヴィーちゃんに触ればー?」
フィロスの言葉に、わなわなと怒りを顕にし右手を掲げるオズワルド皇子。不味いわ!それは非常に不味い!!
「ちょっと!魔法はお辞めになって!」
「やだー。怖ーい。ヴィーちゃん助けてー」
庇う私に、フィロスが怯えて抱き着いてきますわ。
本当に何を考えてらして!?
女の子を魔法で脅すなんて…
「うふふ。ヴィーちゃんって柔らかくていい匂いがするー。気持ちいいー」
「ひゃっ!フィロス!また貴女、変な所を!やっ!だめよそこは!?」
フィロス!!貴女怯えて震えてたのではなくて!?
「だから!ヴィクトリアに気安く触るな!この阿婆擦れが!!」
「やーだよー。これは、私の特権だもーん。クラスも部屋も一緒~。羨ましいでしょーへへーん。貴方は、男だもんねー。こんな風にできなくて悔しい?ねぇ悔しい?今、どんな気持ち?」
私の後ろで、べろべろばーっとオズワルド皇子を挑発するフィロス・・・・えっと・・・・ヒロインと攻略対象・・・・よね?貴方達。
「フィロス。いい加減にしろよー。オズを挑発するなってー。此処を火の海にしたいのかよ。それこそ罰則延長確定だぞ?部活動ならまだしも・・・・反省文とか俺苦手なんだからなー」
「そうだよ、フィロスちゃん。オズワルド先輩をこれ以上怒らせないで。ねっ。ねっ?」
レオニダスとルビアナが、慌てて止めに入りますわ。
何故ヒロインと攻略対象が、こうもいがみ合うの?
おかしいわ。おかしい・・・・
険悪な仲が、やがて愛に発展するストーリーなのかしら?
私の役どころは?
この二週間、仲が深まる所か溝が深まっていますわよ?
運営の考えている事が、まったくもってわかりませんわ・・・・。
◆◆◆
「ハンス。君はいいの?止めなくて」
少し離れた場所で、ハンスとグレイは四人の様子を眺める。
「ルビアナ嬢とレオが止めに入っただろ。俺まで行く必要はないと思うが?」
「・・・・やり過ぎだと思わない?」
「あぁ、確かにオズワルドは、もう少し心に余裕を持つべきだな。まぁ、まだ14だし・・・・仕方ないだろ」
苦笑するハンスを、グレイは掴み所のない顔で見る。
「気にするのは、そこじゃないと思うけど」
「ん?何がだ?」
「・・・・大人ぶって余裕かましていると、思わぬ所で痛い目みるよ?後悔するのはハンスだと思うけど」
「それは、どーいう意味だ?グレイ」
「傍で居られるからって、自分がいつまでも【一番でいられる】なんて思ってたら・・・・危ないよって話」
目を細め笑うグレイに、ハンスは黙り込む。
ー後悔なんてしないさ。
俺は、一番じゃなくていい。
お嬢様が幸せならそれで・・・・
ハンスは、わいわいと騒ぐ四人を見つめ、小さく呟いた。




