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転生悪役令嬢の前途多難な没落計画   作者: 一花八華
第一章
3/107

★決意表明!ですわ


ーヴィクトリアちゃんの脱悪役令嬢計画ー


  私の明るい未来計画の為の第一歩。それは、性格改善ですわ。


  ゲーム内でのヴィクトリアは、とても高慢でプライドが高く、人を常に見下していたような嫌な性格の令嬢でしたわ。(ヒロイン目線)


 まだ五歳の私は、その愛らしさと素直さから、蝶よ花よと育てられ、天使と言っても過言ではないくらい美幼女ですのよ。ええ。どこで品曲がってしまったのかしら?


 成長過程で、素直さを落っことしてしまったに違いないわね。


    【素直が一番!心に謙虚を!】


 紙にでかでかと書き綴り、淡い紫色のメルヘンチックな壁にべたりと張り付ける。


 ヒロインのように、美しく清らかな心は持てそうにもない(寧ろ持つ気もない)けど、そこそこの謙虚さを抱いておけば、余計な争い事は避けられる筈だわ。


 高慢ちきちきなプライドなんてあっても、ライフ削れど好感度は上がりませんもの。憎まれる可能性は、極力カット!脱悪役令嬢計画の基本ですわね。私って頭がいい。


ニンマリと笑う、その後ろから


「・・・・ヴィー?これは、一体何が書かれてあるんだい?」


と透き通るようなソプラノボイスが・・・・。


「不思議な記号だね。もしかして・・・・文字か何かかな?」


振り返ると、私と同じく、金髪碧眼の見目麗しい美少年が、不思議そうな顔で壁に貼られた私の抱負を見つめていた。


挿絵(By みてみん)


「・・・・ブルーテスお兄様。嫌ですわ。レディの部屋にノックも無しに立ち入るなんて」


ムスっと剥れながら文句を言うと、その綺麗な顔を優しく緩め


「ごめんごめん。でも、ヴィーも部屋の扉を開けっ放しにしてたじゃないか。それに僕は、何度か声をかけたんだよ?一心不乱に何かに取り掛かってたのは、ヴィーなんだけどな」


 っと諭された。私と違い、お父様に似て、優しい目元のブルーテスお兄様。サラサラの金糸の髪に、光溢れる天使のわっか。そのキューティクルと直毛は、私の殺意の対象ですのよ!なんですの!同じ親から産まれたというのに!何故私は、つり目ドリルな悪役顔ですの!?


「これは、私の考えた文字ですわ」


 天使なお顔で小首を傾げるお兄様に、つーんと済ましてご説明しましたわ。これ、日本語ですのよ?こちらの文字でこの抱負を貼り出すのは、流石に恥ずかしいですもの。まるで私に、素直さと謙虚さが欠けているかのような文面ですものね。普通は、意識して持つものではありませんもの・・・・。


 ・・・・意識して持たないと、欠けてますのよ!悪かったですわね!くっ!いっそ、そっち方面に素直になってやろうかしら!!悪役令嬢を突き抜けるのも面白可笑しくて愉しそうですわね!!


っといけないいけない!

運営()の思惑に乗ってたまりますか!


「私、素敵な淑女になりたいのですわ。だけど、その抱負を誰かに知られるのは恥ずかしくて……自分だけがわかるように、秘密に掲げてみたのです」


 熱くなる頬を誤魔化しながら、お兄様に微笑み誤魔化す。


「そっか。それは、素敵な抱負だね」


 そう言って、優しく微笑み返してくれるブルーテスお兄様。


「でも、ヴィー。いいの?誰にも知られたくないのに、僕に知られちゃってるよ?」


クスクスとお兄様に笑われ、顔がカアッと熱くなるのを感じる。


「いっ・・・・いいのですわ!お兄様なら!お兄様は、私の味方ですもの!お兄様はきっと誰にも言ったりしませんわ!! 」


真っ赤になって焦る私の頭に、お兄様は優しく触れる。


「そうだね。ヴィー。僕は、ヴィーの味方だ。これは、二人だけの秘密だね。うんうん。ちゃんと内緒にしといてあげるよ」


 クスクスと笑い、くしゃりと髪を撫で上げると可愛らしい音を立て、私のおでこにキスを落とす。


「素敵な淑女になれるといいね。ヴィー。僕の可愛いお姫様」


 家族の親愛のキス。それが嬉しくてつい、お兄様の首にぎゅーっとしがみつく。


「ちょっと、ヴィー。そんなに強いと苦しいよ」

「ふふふ。私よりも3つも上ですのに、軟弱ですわね。お兄様」

「言ったな。ヴィー。こうしてやる! 」


 生意気を言う妹を懲らしめるように、こしょこしょと脇を擽ってくるお兄様。身をよじり悲鳴の声をあげる私。


「おっお兄ひゃまっ!ごめっ・・・・ゆるひて!」

「だーめー。もっと心から反省しないと許してあげなーい」


 その日、笑い過ぎたせいで、私の腹筋は数日筋肉痛を伴ったのは、苦い思い出なのですわ・・・・。


挿絵(By みてみん)

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