好きではありません
やってしまった。
あろう事か、お嬢様に「捨てないでくれ」っと哀願してしまった。
泣きながら。
大の男が・・・・少女に縋りついて・・・・捨てないで・・・・。っと
捨てられるのが嫌で、俺はとんでもない痴態をお嬢様に晒してしまった。常に大人で・・・・完璧を心掛けてきた【執事】な俺が、壊れた。ガラガラと音を立てて・・・・【執事のハンス】が崩壊した。
死ぬ。
死ねる。
いや、死にたい。
誰か!ひとおもいに殺ってくれ!
息も絶え絶え・・・・死に体な俺に・・・・お嬢様は、容赦なく止めを刺した。
「ハンスはルビアナと付き合っているのよね?」
付き合ってる俺達の邪魔になりたくない。だから傍にいるのが辛い。執事を辞めて欲しい。と
意味がわからない。お嬢様の仰る言語が理解不能だ。お嬢様は、一体何語を喋られているのだろうか?猛烈に頭が痛い。痛む頭を抱えて翻訳に努めた。
お嬢様が仰るには、俺とルビアナ嬢は好きあっていて、付き合っているらしい。アルテでデートを見かけた。ルビアナ嬢にも確認をとった。・・・・と。
アルテ・・・・あー・・・・なるほど。
あの日か。
ルーファのつきそいで、ルビアナ嬢を含めて街に出たあの日か・・・・。街で見かけて、思い込んで、暴走して・・・・今に至ると・・・・。
なるほどなー・・・・。
ルーファの申し出に応えたせいで、こうなってるのか。あの時、ルーファでなくお嬢様を優先していれば、誤解を産むこともなかったのか?いや、ルーファの希望なんて聞かず、ルビアナ嬢とアルテに行かなければよかったわけだ!!
お嬢様に、ルビアナ嬢に対する好意について説明する。好きじゃないと言っても多分信じてもらえない。ならその種類を伝えた方が、まだ納得するだろう。ついでにルーファも巻き込んで、誤解を徹底的に解く。
【執事】を解雇されてたまるか。
これは、俺の居場所だ。
お嬢様を隣で見守るのは、俺の特権だ。
誰にもやらない。
譲るつもりもない。
今回の件で、己の闇を自覚する。
病みすぎだろ。俺は歪んでる。お嬢様には相応しくない。きっと彼女を不幸にする。俺が傍に居ない方がいいのは、わかっている。お嬢様の入学が決まり、離れる事になった時・・・・ホッとしたんだ。距離ができれば、心も離れると・・・・でも、手遅れだ。気がおかしくなる程、お嬢様に執着している。お嬢様の【執事】でいたい。【執事】でいれば、傍に居られる。
こうやって・・・・お嬢様の髪に触れられるのも・・・・執事でいるからだ。
お嬢様の為に作ったバレッタ。完成品をルーファ伝いに受け取った。喜ばせたくて内緒にしていたが、結果的にお嬢様を悲しませた事に胸が苦しくなる。
バレッタを付ける為、お嬢様の金色の髪を手に取る。白いうなじが見え、胸の鼓動が速まる。
・・・・思わず。口付けていた。
お嬢様の髪に。
「・・・・ん。」
お嬢様が身動ぎ、慌ててバレッタを留める。
何をやってるんだ・・・・俺は・・・・本当に・・・・。
こんなのバレたら、今度こそ、お嬢様に嫌われてしまう。嫌われないように必死に隠す俺を、お嬢様は平気で煽ってくる。
「ハンスは、私の事好き?」
ため息が零れそうになる。好き?好き。好き・・・・。お嬢様は、俺に好きだと告げてくる。告げられる度に痛感する。
俺とお嬢様の想いは、似ているようで違うのだと。
俺は【好き】ではない。
【好き】で片付けられるような想いじゃない。
「私は、お嬢様は好きではありません。」
好きでは、語れぬこの想い。貴女を不幸にしたいと想う程に、貴女の幸せを願いながら抱く感情。
だから、
「私は、お嬢様にその言葉は言いません。」
歪んだ俺の愛情は、心の奥底にそっと飲み込む。
心からお慕い申し上げます。
ずっと傍で・・・・
貴女を
愛しています
お嬢様。
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ハンスside・・・・レクリエーションからの不運続きで、ハンス崩壊でした。
デレる前に病んでどうする!




