01 転校編 1
息抜きで書いてたものです。一応新作になりますので宜しくお願いします
昼の11時、聖鳳学園の食堂。
「何だとテメェ!! 表に出ろ!!」
ガタイの良い男子生徒が隣の席に座っていた男子生徒に怒鳴る。
「……それは決闘と言う事か?」
黒髪の男子生徒はコーヒーを飲みながら答えた。
その余裕な態度を見た男子生徒は飲もうとしたコーヒーカップを殴り落とした。
殴り落とされたコーヒーカップは黒髪の男子生徒のズボンに掛かった後、床に落ちてコーヒーカップが割れた。
「あっ……つ」
黒髪の男子生徒はテーブルに置いてあるナプキンでズボンを拭いてから、肩に着いているエンブレムに手を添える。
「良い度胸だ。俺はケンカは苦手だが、ここまでされては黙ってないからな」
「ここの流儀ってのを教えてやるよ」
ガタイの良い男子生徒が肩に手を添えると、
『決闘が承認されました。決闘する生徒は外に出て下さい』
お互いのエンブレムが光り、システムボイスの様なアナウンスで2人に告げる。
二人の生徒は食堂の近くの扉から外に出て互いの距離を取ると、2人の生徒を囲む様に障壁が展開された。
2人の決闘が始まると、周りの生徒達はどちらが勝つか予想をし始める。
中にはギャンブルをする生徒もいた。そして、どちらが勝つかオッズ表が生徒達に展開される。
それを見たガタイの良い男子生徒は笑う。
「後悔してもおせぇぜ? 俺はランキング33位だからな。そして、俺のアルカナは……!」
男は拳を作り、戦闘態勢に入ると男の手に光が集まりゴツイ手甲が表れる。
「拳のアルカナだ!」
拳のアルカナを展開させると、決闘のカウントダウンが表示された。
黒髪の男は未だにアルカナを展開していないまま、カウントダウンしていく。
『バトルスタート』
システムボイスが開始の合図をした瞬間、ガタイの良い男子生徒が倒れた。
『バトルアウト』
システムボイスが告げると、黒髪の生徒はそのまま何処かへ立ち去った。
「俺のアルカナを使うまでもないじゃないか」
と去りながら呟くのであった。
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早朝の5時、1人ランニングを終え自宅に戻る青年。
「ただいまー」
玄関で靴を脱ぎ、かいた汗を流す為にお風呂場へ向かう。
「祐樹ー転校先の学園に間に合うのか?」
リビングから女性が祐樹に言う。
「ああー間に合うよ」
「そう。じゃあ、シャワー浴びてそれで朝飯食べようぜー」
「あいよー」
20分後、祐樹がお風呂場から出て制服に着替え直してからリビングに着く。
朝食はサラダに食パン2枚に目玉焼き、ワカメスープ。
「頂きます」
「おう、頂きます」
リビングで祐樹と一緒に手を合わせて言う。
祐樹の目の前にいる女性は、
「ねーちゃんの料理相変わらず上手い。そして、久々に食べた」
「おい、よせよぉ~照れるだろぅ~?」
上機嫌になった姉、浅間唯は鼻歌をしながら朝食を一緒に食べる。唯は祐樹の二つ上の姉である。
そんな姉を見た浅間祐樹は微笑んでから、おわんに入っているワカメスープを飲む。
「いままでごめんな。5年間も私ら家族と離れ離れの生活を祐樹だけさせて」
突然真剣な顔つきで言う唯に驚く祐樹。
「いや俺は元々体が弱かったから。でも、こうして戻ってこれたから大丈夫」
「あのジジィ共が後継者が欲しい。とか言わなければ、田舎の山の学校に行かなくて済んだだろうに……」
「アハハハ……。まぁ、でもねーちゃん達が都会の事も知らなきゃダメだ。って事で言わなかったら戻って来れなかったから、本当にありがとう」
感謝の気持ちしかなかった祐樹は満面の笑みで唯に向かって言う。
それを聞いた唯はその場で号泣し始めた。
「わぁあああ……祐樹がぁ……祐樹が物凄くいい子になってるぅー……」
人が変わった様にボロボロと涙を流して言う唯。
「ハハハ……、大袈裟だなぁ」
苦笑しながら言うと、テーブルに置いてあるティッシュを数枚取って唯は涙を拭く。
「まぁでも、もうあのジジィからは教える事はもう無い、好きなように生きてみろ。って言われたしね」
「……。そか、じゃあ何かやってみるか」
「彼女だな」
「うるさいよ」
「まぁでも、いなくてもねーちゃんが一生お前を養ってやるから」
「それはいいや。てか、そういうのは言わないのが普通だろ」
「えぇーねーちゃんは祐樹の事が心ぱ――」
話している最中に突然携帯が成り始める。
「あ? 誰だ幸せなひと時に水を差す奴は、馬にけられて死ね……」
「とりあえずでなよ」
「はーい。もしもし……、セフィロト共が取引を行う? デマでは無いのか?」
電話に出てから、唯の顔つきが先ほどとは別人の様に変わり真剣に話している。
「……分かった。直ぐに急行する。それと、これからは朝に電話すんな」
最後の部分を言ってから直ぐに電話を切る唯。
通話が終わると、いつもの雰囲気の唯に戻る。
「って事だ、祐樹。ねーちゃん直ぐに出ることになったから、遅れないで行くんだぞ?」
「あいよ、ねーちゃん仕事頑張ってな」
「おう。んじゃ、行ってくるわ」
そういうとスーツの上着を着てから家を出る唯であった。
つづく
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週間投稿を出来るだけさせて頂きます。
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