35話
柚木は自室でずっと考えていた。
ずっとあの子とはいれない。いつかずっとの別れが来る。
わかってる。
私がこの学校を去って、いなくなったあとどうなるのだろうか――私の中には不安しかなかった。
一応雫の所に行くように言ってある人はいる。しかし彼とうまくやっていけるのだろうか? 馴染めなくてまた孤独にならないだろうか。もしそうなってしまえばもう誰も気づかない。ずっと一人だ。
どうすればいいのだろうか、あれでもないこれでもない、ぐるぐると思考が流れ、流れた。そして最後にたどり着いたのは――
(そうだ)
ちょっとした謎を与えよう。雫一人では決して解決できない、雫が心を開いて彼らと協力しないとわからない。二人で力を合わせて解決するのだ、ならばきっとこれからもうまくいく。あの子のことだ。そんなに時間はかからないだろう。
柚木は手紙を書き始めた。
雫へ
この手紙を読んでいる、ということはもう私はきっとあなたの元から姿を消しているでしょう。ごめんなさい、別れの時に嘘をついて。私はもう卒業して学校にはいられないの。だから悲しいけど、あなたとはもう会えないの。
あなたといた時はとても楽しかった。これからもそんな風に、来る人来る人と楽しく生きて。私はそんな雫が一番好きだよ。だからもし悲しくなってもぐっと我慢して楽しいことに変えてね。
私からのせめてのプレゼントとして私の髪飾りを送ります。もし寂しくなったらこれを見て私のことを思い出せるように。
ではこれで本当のお別れです。さようなら。
朝霧柚木
柚木は手紙を手近な箱に入れると、そこについでに自分の髪から外して髪混ざりを入れた。そしてそれをカバンにしまうと、さらに計画を練りはじめた。
雫がこれらを見つけることを考えながら。その時のあの子の笑顔を考えながら。