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34話
鳴は部屋のパイプ椅子を使って一番高い本棚の一番上のところを見た。そして思わずむせた。
ひどい埃だった。何年置いておけばこんなになるのか、聞きたくなるぐらい大量に積もっていた。
と、その埃の中に何かがあるのを見つけた。鳴がとって埃を払うとそれが何かわかった。
それは金属製の小さな箱があった。元は綺麗な箱だったのだろうが、錆びてしまって銅色が目立つだけになってしまっている。
「これがきっと、カノジョ――柚木さんが君に渡したかったものだよ」
椅子から降りてその箱を雫に渡した。雫は信じられないようにしばらく呆然と箱を見つめていたが、やがてゆっくりとそれを開けた。
箱の中には紙切れと、小さな髪飾りが入っていた。紙も外装同様、色落ちしてその多くが白色を失っていた。
雫はまず紙を広げた。そのまま読もうとして、しかしそれを畳むととてとてと鳴に近づいて、
「鳴、これいっしょに読もう」
雫はその紙を鳴に渡してきた。鳴は頷くと、雫に見えるようにそれを広げ読み始めた――