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27話
そのまましばらく三人で調べ出ていた。鳴が持ってきた本ももうつきかけている。そろそろ別のものを持ってこないと、そう思いながら僅かに残った本に手を伸ばした。
と、その本の一ページ目に何か印刷ではない文字が書かれていた。
そこには落書きのような文字で
おしいけどそこじゃないよ。よーく思いだしてごらん。
朝露柚木
「朝霧柚木……?」
聞いたことがない。誰だろうか。
「雫、狐露さんこの人知ってる?」
瞬間雫ははっとして、まじまじとその名前を見つめた。
鳴が本を手渡すと雫はそれを広げて、その文字を見つめた。何かを確かめるように必死に。
「カノジョ……ユキ……」
やがて雫は小さくつぶやいた。