戸惑いと、後悔と
均衡を破ったのは、予想通り一本のブレスだった。
「トリス!」
「任せてください!」
最小限に、けれど頑丈に。
ブレスの一撃を弾き飛ばす結界を張り、トリスがそのまま反射させる。
想定通りの威力だったのか難なく反射をこなしたトリスは、ブレスが異形に当たるのを見ないまま別方向へ移動し始める。
「兄上は上へ!」
「ノエル! みゆき!」
「ファティマさんはダイチ君の方へ!」
「わかった!」
ブレスの硬直タイムを見越して、俺はいつも通りみゆきの手を取るとノエルに乗せる。
この辺りの連携は何度となくこなしていたので、みゆきもノエルが大きくなった場合は焦らない。
そのまま羽ばたくノエルにふたりで飛び乗ると、俺は手を寄せて方向を見定める。
「ノエル、ブレスは俺の方に飛んでくる可能性が高い。気を付けてくれ」
『任せてなの!』
「上は当たらなさそうか…? 少し高度をあげてくれ」
幸い上空に上限はなく、空気が薄いということもなさそうだ。
薄暗く塗りつぶされた上空は空も天井も感じさせない空虚な空間が広がるだけだが、距離だけは高めにとれる。
ブレスの勢いを考えつつ距離を取り相手の視線を奪いつつ、下にいる彼らの様子を観察する。
まず一手目を取ったのは、俺の位置とは逆に回り込んだファティマだ。
剣が折れては話にならないので防御用に何か光をまとわせつつ、尻尾らしきモノの攻撃を軽く避けて一撃。
狙った位置は尻尾の根元、あたりだろうか。
黒い靄で具体的な形がはっきり見えないが、ファティマにはドラゴンの形で見えているのかもしれない。
比較的ダメージが通りそうなところを狙うあたりさすがだが、剣は当たりはしたものの、ファティマはすぐ顔をしかめて距離を取った。
どうやら硬すぎるみたいだ。
「ファティマ! どんな感じだ?」
「硬くはない! だがダメージが通った感じは一切しない!」
確実に声を届かせるなら魔力を使うべきだが、その魔力すらも俺は惜しい。
動線に気を配りつつ近づき回答を得ると、また離脱する。
ファティマの方も慣れたものでまた離れていくが、回答が気にかかる。
硬くない、のか?
ゴムみたいな感触なのか、それとも実態がないのか?
弾かれたようにも見えなかったが、吸収でもされるのかファティマは牽制はするものの当てようとはしなくなった。
ダメージが通らないので陽動に徹して、次の手に移るらしい。
心得たようにファティマの方へ異形が向いたとたん、今度は後ろから走りこんでいたらしきダイチの攻撃が胴辺りに炸裂した。
いつの間にそこまで距離を詰めていたんだろう。
ばちり、と今度は光が走る。
先ほどとは違う反応。
俺は今度はダイチに近づき、回り込んでみる。
「ダイチ! 攻撃通りそうか!?」
『……無理っぽい! 弾かれた!!』
あ、日本語にするの忘れた。でも何とか意図は伝わったらしい返答に眉を寄せる。
ダイチの攻撃は弾かれるのか。
ファティマとダイチの攻撃の違いはなんだろう。
ダイチの剣には特に補正がかかってないみたいだが、剣が壊れた様子はない。
単純に何かに弾かれた、そんな感じの反応だった。
牽制は二人に任せ、少しまた距離を取る。
隆大は? と周りを見回してみると、こちらも少しだけ距離を取った状態で控えていた。
手から流れ出る血は止まっているようだが、顔色は良くない。
飛んだままでは会話が出来ない気がするが、みゆきを下ろすわけにもいかず、異形の視線がこちらを向いている状態で近づきすぎるわけにもいかず。
どうしたもんか、と近くに寄ったところで隆大が反応した。
「ゆ……ユリス、ちょっとこっち」
出た言葉はこちらの言葉。
日本語でないことに安心しつつ、ブレスの範囲から外れるように遠ざかって合流する。
視線は感じるが、ファティマとダイチの二人に近くで切りかかられているせいか、ダイチが近くにいるせいなのか、とりあえずはこちらに意識を向けられないようだ。
手短に済ませるべく寄っていくと、隆大の険しい表情が出迎えてくれた。
「あれは……」
「何だと思う?」
ファティマの攻撃は通らず、ダイチの攻撃は弾かれた。
明確な違いといえば、ダイチの攻撃の方は判定があった、ということ。
それが意味するのは恐らく一つしかない。
「ユリスはわかったのか?」
「……神子は、神子のままってことみたいだな」
この世界の魔術は、指定をすれば相手を選んで攻撃できる。
明確な敵意を持った二人の攻撃が通らなかった、弾かれたということは。
魔術の判定レベルで二人は攻撃できる相手じゃない、ということになる。
つまり。
「ダメージを通せるの、多分隆大、お前だけだわ」
「はぁ?」
「あれ、勇者側」
「……あんな禍々しい勇者の従者ってどうなんだよ……!」
知るか。
俺も言っていて微妙な気分になるが、集めた情報から導き出せる答えは一つしかない。
勇者を排除するために出てきたらしきあれが、そもそも勇者側のままって何の冗談かと。
しかし、嘆いても現実はそこにある。
「お前だって通せるんじゃないか、たぶん」
「どうだろうな……そもそも俺の腕じゃアレに切りかかるのも無理だし、魔術はそもそも陣を途中起動したままだから無理」
魔力を減らすのもそもそも問題があるしな。
いくら陽動があったとしても、俺が剣であれに攻撃する選択肢はぶっちゃけない。
「ところで隆大、召喚陣は今どこにある?」
防御をかけている隆大なら位置がわかるだろうと振ってみると、返ってきたのはさらに険しい表情。
「……アレの真下、だ」
「……そうか」
そもそも召喚陣の上で神子が発動したのだから、それは当然の話で。
アレをどかさないことには何もできないのが確定した。
そしてさっき距離を取ったところで追いかけてこなかったことを見ると、恐らくアレは動くことはない。
倒すか、何らかの形で排除しなければ起動も無理って事だろう。
俺もアレを乗せたまま全員が召喚陣の範囲に入って無理やり陣を起動させる、とか考えるだけで恐ろしい。
間違いなく起動前にブレスで全員消し飛ぶ。
「どかすのも無理、隙を見て起動させるのも無理、別の転移陣を起動させるにもここがどこかわからない時点で起動できるか不明」
「となると、倒すしかないな」
「お前がな」
「……」
どうしてこうなった、という顔をしているが俺もどうしてこうなったと言いたいところだよ。
確かに俺は勇者に魔王を殺させたくないとは思った。
思ったがそれを曲げようとした結果、構図が勇者+魔王VS勇者の神子、になるとは思わないだろう。
どうしてこうなった。
隆大が言う通りに魔王だけ倒していれば神子はそのまま力を失っていただろうし、今ここで全員の命が危険にさらされることもなかった。
だがもうそれはすでに仮定でしかない。
俺たちが今やれることは、アレをどうにかしてここから抜け出すこと。
アレを倒したらここから出られる、とも限らないので全員で召喚陣でここから脱出するしかない。
後のことはそれから考えよう。
……何かとんでもないことを後回しにしているような気もするが。
『あ、あの、隆大さん!』
『ん? なんだいみゆちゃん』
『わたし……私にも何か出来る事がないですか……っ』
二人して顔を見合わせ沈黙しているのを見て、みゆきが意を決した様に割り込んできた。
言葉が通じない状態でいるために、ひたすら俺たちがやることを見ていた彼女だが、隆大には言葉が通じるためようやく言葉を出せた、と言ったところだろうか。
『何か、って? 支援は出来るんじゃ?』
『でも、日本語じゃ発動できない……!』
『……え?』
何故か隆大が驚いたようにこちらを見る。
ってお前、ダイチが日本語しか喋ってないの気付いていなかったのか……。
考えてみれば隆大は、みゆきたちと同じように召喚されてこちらへ来ているわけだから、喋る相手によって自動翻訳されているのかもしれない。
当然召喚された陣が違うから、隆大は此処に来た影響もなくそのまま喋れていたのだろう。
隆大に訴えながらも、戸惑ったようにこちらを見る瞳に答えに詰まる。
そういえば隆大は、俺のことをどこまでみゆきに話したのだろう?
再会した後は予想外な出来事の連続で、みゆきとまともに会話をしていられる状態ではなかったため、俺も目をそらし続けていたのだ。
そのことを視線に突きつけられ、俺はどう答えていいのだろうかと思案する。
「どうやらみゆきとダイチの翻訳機能は切れてるみたいなんだ」
「は? なんでだよ」
「わからん。ここが魔王側の空間だからかもしれないし、神子が何らかの形で勇者側の召喚陣に何かしたのかもしれない。わかってるのはみゆきが喋れないことだけ。恐らくダイチも無理だ、さっき日本語で喋ってた」
「……」
手持ちの魔法陣を渡すにも、みゆきはダイチとは逆に魔術を使いこなせていたため、あまり陣に頼っておらず半分もわからないだろう。
かといって隆大にいちいち通訳させ教えるのでは時間がかかる。
だが、俺の前世を今までみゆきにはずっと話さずに来た。
その俺が、いきなり日本語をしゃべりだしたらどう思うのか。
何故言わなかったんだと責められるならまだいい。
知っていて黙っていたことに、何か俺の思惑とは別のことを思われたら……と思うと、身体がすくむ。
「ところで隆大、みゆきには俺の事なんて言ったんだ?」
「あ、普通に話したけど」
……。
ええぇぇ。。
「……お前、本当に空気読まないよな……!?」
「別に黙ってることでもないし。みゆちゃんもびっくりはしてたが、お前の態度がモノを言ってたらしくて普通に納得してたぞ」
「……」
「黙ってたことに対しては、まぁ普通信じないだろ? だからだよって言ったら、そうですかってさ」
みゆきを思わず見ると、そこにあるのは戸惑ったような……どこか縋る表情で。
俺はそこから目をそらすと、手持ちの陣を出して見せた。
『……陣を使えば、みゆきにも支援、何とか、できると思うから』
『は……はい!』
『ふたりがこのままでは持たない、行こう』
説明はノエルの上でやればいいと思い、そのままノエルに飛び乗らせる。
みゆきを引き上げてノエルを撫でると、俺自身も飛び乗った。
『隆大、チャンスは二人に作らせる。トドメ、外すなよ?』
『おー。わかった』
『……後のことはそれからだ、わかったな!?』
『はいはい』
イマイチ真剣みの欠ける返事だが、隆大はやると言った事をやらないことは絶対にない。
そのまま気をそらさせ続けているふたりの元へ飛び、作戦を伝えることにする。
『みゆき、とりあえず二人に疲労軽減を。それからこれが補助』
『これと…これですね』
『魔力は込められそうか?』
『疲労軽減は何度もかけたことあります……はい、大丈夫そうです』
みゆきと顔を合わせずに、指示だけを飛ばす。
近寄ってきた俺に気づいた異形が俺の後を追うが、ノエルの速度ではブレスを当てるのは難しいらしく背後の空間にブレスが飛んで行った。
それを尻目に二人とすれ違い、それぞれに支援をかけてもらう。
トリス自身はどこにいるのだろう。
支援よりも魔術で目くらましをしたり、ファティマが攻撃できるタイミングを作ったりしているのか、近くにはいないがところどころ魔力の残滓が見える。
どちらかというと魔力を保持しつつ、後方支援のような形を取っているかんじかな?
一度魔法を放ってダメージが通らなかったか何かしたのだろう、トリスはそういった即断は得意そうだしな。
「ファティマ! とりあえずトドメを違う奴がやるから、ダイチとタイミングを合わせてどうにか隙を作ってくれ」
「わかった!」
誰がトドメを指すのか言わなかったが、ファティマはただ俺の指示に従うように一つ頷いただけだった。
ダイチの側にも回り、同じように指示を出す。
隆大がすることを伝えても良いんだが、現状止まられたら死亡フラグしかないしな……まぁ二人とも、俺の指示に難色を示したことはないから、信用はされてるってことだろう。
あんまり考えないでおこう。うん。
ぐるりと旋回してブレスを下へ吐かせないようにしつつ、ノエルの速度を調整して動く。
現状近づきすぎると、魔術の攻撃なんてはじかれる可能性が高い。
ダイチはともかくファティマの前に出てくるとは思えないから、まぁきっと自分でどうにかしてくれるだろう。
……たぶん。
不安は残るが、そもそも俺は隆大の戦闘能力なんて知らないからな……。
元々運動神経は良かったはずだから、信じておこう。
ブレスは俺へ向けさせることで何とかなっても、尻尾(?)の攻撃は避けられないだろうし、全方向に警戒を向けているのがここからでも見て取れる。
俺たちが出来るのは、ひたすら一方方向に隙を作らせることだけ。
「トリス! 聞こえてたらこっちへ!」
背後に隙を作っても、そちらからトリスが攻撃したら隆大の邪魔になる可能性がある。
声をかければ多分出てくるだろうと思っていたら、思ったより近くにいたらしく手招きしているのが見えた。
「兄上、結局どうしますか!?」
「倒せそうだから倒す!」
誰が、とも言わなくともトリスは察したらしい。
一つ頷くと陽動に僕も入ります! とファティマの方へ駆けていった。
……そこでダイチの方へ行かないのは、まぁ、うん。
お察しだな。まぁ俺がダイチの方のフォローに入るからいいけど。
『……なんとか、なります、よね』
『ああ、勿論だ』
飛んでいる間黙り込んでいたみゆきが、ぼそりと呟く。
彼女は基本的に後方支援で、怪我をした時に回復するために常時ダイチから目を離してはいないし無駄口を叩くこともほとんどない。
だが、いつもより沈黙は重かった。
……俺の、気持ちのせいかもしれないが。
口を引き結び、俺は背後のみゆきに声をかける。
『……隆大に、聞いたんだ、よな?』
『……はい』
どう思った、と訊くのはさすがに難しい。
だが、何を話せばいいのだろう。
目の前に集中しなければ、と思う反面――後ろの娘の反応が怖くて、気が反れそうになる。
すると。
『ぅわ!』
『きゃあっ!』
「きゅーぅ!」
がくっ、と高度を下げられて慌てて姿勢を立て直すも、さらにノエルは振り切るように二度三度と揺れた。
俺は慣れているが、みゆきが乗っているときにこんな風に荒ぶった動きをされたことはない。
何事だ、と思うも、声を出す前に背中から回った小さな手に腰を掴まれて、俺の言葉は途中で途切れた。
『み、みゆき……?』
前を見るが、異形の動きは変わっていない。
何故、ノエルがバランスを崩したのかわからず彼女の様子を見るが、やはり変わったところはなくて。
首を傾げながら旋回させると、ノエルは何かを訴えるようにまたきゅーぅ、と鳴いた。
『……私、ちゃんとやれて、ますか』
『!』
『少しでも、いいんです。私は――――役に立って、ますか』
ダイチがファティマとタイミングを合わせ、交差しながら異形の視線を集める。
俺が近くに行けば俺を見るが、存在が似ているのか勇者であるからなのか、ダイチが動くとそちらに意識がそれる。
それを利用して何度か攻撃をしながら、少しずつ――少しずつ、方向を絞っていく。
『……もちろんだよ』
『ほ、んとう、に?』
『ああ。みゆきもこの戦いに、欠かせないさ。特にアイツにとっては、もっと、な』
チラ、とこちらに目線を向けるダイチに苦笑が漏れる。
みゆきが俺に抱き付いていることに動揺はしているみたいだが、今は戦闘中のために意思で押しとどめているらしい。
少しふくれっ面っぽいのが気になるが、みゆきは娘だぞ?
苦笑しながら、回された手に手を重ねると、みゆきはぴくりと怯えたように反応した。
『でも、私……足を引っ張って、ばかりです……』
ダイチに支援をかけなおし、みゆきはつぶやく。
目線は戦場から離れてはいない、でも何かを気にする様に俺の背中に縋りつく
不安そうな様子に俺が振り返ると、そこにあったのは今にも泣きそうな少女の顔だった。
『ごめん……ごめんなさい……! 私……勝手に動いて、いっぱい皆に無理、させました……。あの時ダイチと隆大さんをちゃんと、会わせるようにしてたら、こんなことになってなかった。一人で動くな――そう、言われてたのに、私、一人で勝手に思い悩んで、皆を巻き込んで、なのに私、あんなに頑張って練習した魔法すらもほとんど使えないなんて……!』
勝手に隆大について行ったことを、気にしていたのだろう。
謝るタイミングを逃し、俺が自分にとってなんであるかを聞いて、さらに言葉を詰まらせていた。
役に立っていることも気にしているから、ダイチの様子を窺いつつではあるが、その瞳には涙がたまっていた。
気にするな、というのは容易い。
そんな気にすることじゃないよと言えば、彼女はその言葉に表面上は納得するのだろう。
でも、彼女が望んでいるのはそんな優しい言葉じゃないような気がした。
ずっと我慢して静かにしていたが、きっと自分の不甲斐なさを突きつけられて、悔しかったのだろう。
祈るように、懺悔するように、硬く結ばれた手が痛々しいほどの決意を俺に伝えてきていた。
ここで俺に求められているのはきっと、別の言葉。
俺を父と聞いたみゆきが求めているのは、きっと――。
『みゆき』
『は、い……』
『ファティマは、騎士だし。ダイチは、戦いを前にしている勇者だ。でも、みゆきは違うだろう?』
ファティマが一太刀浴びせ、すぐに離脱した。
近づく、離れる、そのたびに異形に突き立てる位置をしめしてダイチに攻撃を誘導している。
ああ、ダイチの方の攻撃は一応判定されてることに気づいたのか。
いつの間にかダイチが攻撃役にうつり、ファティマがトリスの位置を気にしつつ動く立回りになっていく。
狙いは恐らく――足元。
ダメージが通らなくても、反発やちょっとした動きであれは揺れている。
異形の元は騎竜だから、騎竜の特性を知っているファティマはバランスを崩させるために動いているらしい。
その無駄のない動きは、先ほどの迷いを微塵も感じさせないもので、それはまさに騎士にふさわしい動きだ。
『みゆきにはみゆきの役割が必ずある。――だから、今は目の前に、集中だ』
そうだろう? ともう一度振り返ると、ようやくみゆきは吹っ切れたようにこちらを見てくれた。
うん。
後悔はいつだってできるが、今はまだやるべきことがある。
俺に言えるのは、今やるべきこと――、迷った娘に、意思を伝える事だけだ。
『それに回復なんて、出る機会がない方がいいんだぞ? それだけ有利、ってことだからな』
『……はい! わかりましたユリスさ……。あ、おと――えっといえ、ええと……』
『……どっちでも、いいよ?』
ぶっちゃけファティマ以外、知ってるし。
そう思いつつ、少しだけ頬を染めたみゆきに、俺は思ってしまった。
……可愛すぎてダイチに勿体なさ過ぎる。




