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誰に愛されている?

答えはそのうちわかります

陸竜がようやく落ち着いたところで竜車に乗り、王都より少し外れた処にある騎士養成学校へ。

なんでも、騎士見習いは王都で学ぶらしいが、学校自体はいろいろ実習があるため郊外にあるらしい。

と言うか基本学校は郊外。やる事が大規模だからのようだ。


つーか俺の家、本当に名家だったんだね。

まさか居城から屋根しか見えない大きな建物が王城とは知らなかったよ俺。塔すら登らせてもらえなかったから、遠くまでは見れなかったんだよなあ。

俺の行動範囲と言えば、部屋(居城奥の1F)、中庭(教師以外来ない)、図書室(重要機密が有りすぎて家族以外入れない)、魔力場(転移門もあるが、基本俺は魔法が使えないので入れるけどあまり行かない)、食堂(基本部屋でしか食べないからめったに行かない)、程度だったからなあ…。


と言うかあんまり気にしてなかったんだけど俺引き篭りだったんじゃないの?

やべ、元々が研究職の超インドアだから全然気にしてなかったよ…!

剣使えば運動不足解消とか余裕だったし…!


思い当たった事にがっくりしつつ、竜車の窓から外を覗くと。

色とりどりのお店が見えた。


「城の外はこうなってたんですねー」

「…は?」


怪訝そうな声を出すサルートを振り返らず、俺は目に見えているものを焼き付けるように覚えていく。


「…カイラードの家は、魔力暴走が起こる可能性があるため…発現まで、外を出られない。…ですよね?」

「……あ…」


どの家にも家訓や決まりごとはある。

俺の家…カイラード家は、魔術師の家系だから。魔力の発現と制御が完成されるまで、基本的には外へ出られないのだ。

勿論顔出し等もあるし、魔力病(魔力が強すぎて暴走する病気)等にならない限りは、親について外出することもあるが…。


俺には、どれも当てはまらなかった。

そもそも基準となる発露がなかったのだから。


「そう、か…ユリスは今まで出た事、なかったのか」

「はい」

「そうか…すまん…」

「いえ」


サルートはまだ24と若い。俺が習い始めた7歳のころだと、騎士になりたてで殆ど王都に帰ってくる事はなかった。

たまに帰って来ては顔を出してくれ、次までの予習を決めてくれ…俺にとっては感謝する事はあっても、謝られる事は一切ない相手だ。


「悪かった…気づいてれば、連れ出したのに…」

「駄目ですよ。いつ暴走するかわからないじゃないですか」


魔力値0なのに?

と言いそうになるが、そもそも魔力値0と言う測定値があり得ないのだ。

何が起こるかわからない…故に、出せない。

神の寵愛を受けている子供だからこそ、なおの事慎重にならざるを得なかったのだろうとは思う。思うが…。


「だが…10才を超えても外に出てないなんて…」


異常。

そう呟きかけたのだろう、口をつぐむサルートを振り返らず、俺は窓の外を見続ける。


「…いいんですよ、今見てますから」


窓の外に見える珍獣大集合とかを。


「…なんか外、騒がしくない…か?」

「多分気のせいです。走り抜けましょう」


目線があった牛さん(多分)とか、おっきい鳥(?)とかなんか使役されてるっぽい黒っぽい物体(多分魔物?)とか、ちょっとこっちに寄ってきてた気がするけど、まぁ竜車の速さには追い付くまい。

王都内には専用道路があるぐらい疾走感やばいからねこの子たち!


かわいいよ竜!



俺は窓の外の動物以外を見ることにした。

神の寵愛は動物を見る時には不便と言う事を初めての外出で俺は学んだ。





ところ変わり、翌日。

竜車の中で一晩過ごした俺たちは、学校へたどり着いた。

すごいな、昨日の午後結構遅くに出たのに朝にはついたよ。御者頑張りすぎ。

…と思ったら。


「いやあ…まったくもってぐずりませんでしたからね…こいつら…」

…陸竜、ぐずるのか。


また真下に行くと、褒めて!!! と言わんばかりに目をキラキラさせて頭を下げてくるので、俺は愛おしくなって頭をなでる。そうするともう一匹も頭だけ寄せてきたので、こちらも撫でる。

きゅー。

きゅー。

鳴き声マジかわいいな! ホント1匹くれないかなこれ!


「本来陸竜は気難しいですし、そのために餌や隷従の陣や色々用意してあるんですがね。今回はもう、全速力で駆け抜けましたよ…」

「真面目に威力すごいな。普通にこの能力だけで強いんじゃないのか?」


そんな気もしてきたな。

べろん、と舐められつつも御者に礼を言い、名残惜しそうにする陸竜1匹1匹にお礼を言ってたしなめると、キュ! と鳴いて彼らは素直に帰っていった。

…しかも命令まで聞くのか。頭いい上にかわいいってどういう事。


ちなみに通常馬で学校へ来る時は近くの村に立ち寄るのが通例だが、俺の場合身分が身分なのと、竜車自体揺れも少なく出来ていて、しかも豪華なため下手な宿より快適との判断で村には立ち寄らなかった。


なのでいまだ同世代の人間には会っていない。


「さて、行くか」

「はいお願いします」


いざ、いかん。

学校内へ。



…ところで見渡す限り塀と門しか見えないんだけど降りるのここで良かったの?

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やっと、たどり着いた。10年くらい経ってもう一度読みたくなって、ブクマ見たら無くて、記憶している、神、契約、封印、魔力無し、貴族のワード検索にも引っかからず、6月から探して、2025/07/16、再発…
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