表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/89

騎竜の中の王

そろそろフラグ回収したいけれど説明回デス。

…そんなこんなで2週間立ちました。




「いい加減にしてくれっつーの…俺も暇じゃないんだってのに…!」

「はあ。俺も早く授業に戻りたいです」

「俺はこの行ったり来たりの生活をどうにかしてえ! 王城に戻るたびに片付ける雑務も増えるし最悪だああ!!」



サルート、います。

なんでやねん。





事の起こりは勿論の事、幼竜に起因する。

この幼竜、なんと『黒騎竜』だったのだ。俺も卵と接するたびなんか黒いなーこの子、とか思ってたんだから気付けよ、と言う話だが。

黒騎竜は読んで字のごとく真っ黒な騎竜。なんかちょっとカッコ良さそうだがこの色が大問題だった。


ちなみに竜の色は親からは決まらず、同じ色になったり混ざったり色々だったりするので完全ランダムだったりする。

陸竜は大多数が緑のようだが、それでもさまざまな色の竜がいる。騎竜は完全ランダムと見なされてるけど、陸竜見てると法則はあるのかもしれないな。

知ったところでどうということもないが。

話を戻そう。


幼竜が黒騎竜である事を知った王城は大騒ぎ。

幼竜であれば輸送可能だろうと見解を送ってきたものの、これは学校側が拒否った。

曰く。

黒騎竜は騎竜の中で最も気性が荒く、契約することも難しい『騎竜の中の王』と言われる存在。

幼竜と言えども意思と違った動きをすればどうなるかわからない、と。


まあ、そういうわけで大騒ぎある。

この黒騎竜、騎竜の中で一番強くて賢いのだ。


学校にいる騎竜は約30匹。

騎竜の王とも言える存在を怒らせて、契約竜全員にそっぽ向かれたらどうなるか。

ハッキリ言って学校の被害がヤバイなんてものじゃなくなる。


しかし一応契約あれば攻撃できないんじゃない? と思われるだろう。

大体、生まれたての幼竜なのにどうしてそんなに警戒するのかと。

逆なのだ。

竜にとって[子供は絶対的な庇護対象]のため、契約者だろうと攻撃するようになるのである。

ましてや幼竜を守るためとなったら…それはもう…契約陣ごと学校を吹き飛ばしかねない。

騎竜30匹の逆襲…それは怖い…怖すぎる…。


しかも幼竜のくせに黒騎竜だけあって…。

どうも色々分別が付いてしまっているらしく…[行かない][この人嫌い]と大騒ぎ。

そのたびに桃色騎竜の契約騎士のクララが必死で母親を通じてなだめていると言う。


クララかわいそう。


で、王側が戦略を変えてきたのが数日前。

以後、学校側はもっと大混乱に陥った。

すなわち。

勇者PTに入れるような猛者と合わせて契約させてしまおう大会。


「黒騎竜を従えたいというお偉いさんやら、騎士やら、傭兵やら…もう手紙でパンクしそうだっつーの…」

「ご愁傷様…叔父上何してるんです?」

「王に騎竜諦めるように進言しつつ、貴族の使えない奴らが来ないように毎晩社交界飛び回り」

「…うお…ご苦労様です…」

「万が一戦えない文系貴族とかに契約されたらお前勇者と一緒に戦えんのかよと声を大にして言いたい…ふざけんな畜生…」


団長(父上)に比べればマシなんだけどな、と疲れた息を吐きつつサルートがぐったりと俺のベッドに横たわる。

うん、もう見張りとかになってないよね。いつでも抜け出せるよね。

サルートがかわいそうだからやらないけど。


「もう[隷従の陣]を使おうって話にまでなってやがって…」

「…! まさか…」

「ふざけんなっての。黒騎竜の幼竜なのに隷従だと…力を制限させて無理に契約したところで、勇者PTのお荷物にしかならねぇだろうが…」


酒でも飲んでいるかのように力なくベッドをたたくサルート。

俺はと言えば、聞いたことに対して衝撃を受けていた。


竜と契約する方法は本当は3つある。二つと言ったのは最後の方法は騎竜士クラスでは使われないからだ。

一つ、契約の陣を使ってお互いに印を刻む方法。互いのどこかに印が出る。契約竜が上位になる事が多い。

二つ、血を飲ませ血の盟約を結ぶ。互いのどこかに印が出て、意思疎通が可能となる。契約者が上位になる事が多い。

そして最後の方法。禁呪とも呼ばれるその法は[隷従の陣]。相手の意思を無視し、相手へ印を刻む。ただしその能力は10分の1以下になるとも言われている。


本来の能力を10分の1以下にすれば殆どの場合飛べるだけのただの竜となれ果てる。

そのため3番目の方法がとられる事は実際は殆どない。

無理に隷従したところで無駄に騎竜の数を減らすだけだからだ。っていうか王族指定で狩るのは禁止になってるらしい(契約は可)。

ただし、100年に1匹とも言われる黒騎竜となると別だ。


数百年前隷従の陣を使って騎竜としたという文献が残っているくらいなのである。

そのくらい黒騎竜は契約することも難しく、通常は飛んでいる姿を見るだけでも拝まれるレベル…とかなんとか…。

ちなみにすべて授業の受け売りです。黒騎竜と、黒程ではないけど珍しい白騎竜に関しては真っ先に習ったのだ。

見かけたら教えてね的な意味で(…)


「とっとと契約が終わってくれりゃいいんだけどな…」

「なんでそこで俺を見るんです?」


ちら、と俺を見て溜息をつくサルート。

首を傾げる俺。


「まあ、父上に一応進言してあるんだが…お堅い上の連中じゃ難しいかもな…」

「何がです?」



そのサルートの言葉の意味を知れたのは、さらに1週間後だった。


盟約・契約・隷従の3つです

尚、陸竜は数も多い上意思疎通が難しい亜竜のため隷従させて使用するのも一般的。しかし速度に難があるので基本は契約で動いてます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ