2.エルフ
…エルフ視点
私はエズ。種族はエルフ。性別はもちろん女。それだけ。
私は、吸血鬼に会った。
自分のことを俺って呼んでいる女性の吸血鬼。
私は今、公園でその吸血鬼を待っている最中。
実はついさっき、通り魔に襲われてるところを庇ってくれたんだ。
公園で待ってろって言われて、肌寒い中、ベンチに座って1、2個の街灯を眺めて待っている。
「よっ、待たせたな。」
そう声が聞こえた。聞こえたんだけど、周りを見渡しても見当たらない。確かに声は聞こえたはず…
「ここだ、ここ。」
まさか、そのまさかだった。
声のした方を見ると、そこにはさっきまで眺めていた街灯の上に立っている高校生の姿があった。
いや、吸血鬼だっていうのは会ったすぐに分かっていたけど、高校生の姿でそんなことされると違和感しかないよ。
「あ、さっきはありがとうございます。私を庇ってくれて、」
感謝した。この吸血鬼が助けてくれなければ私はどうなっていたことか。
「例には及ばない。」
ドヤ顔だ。腕を組んでドヤ顔をかましている。
そして私は聞いた。
「どうして助けてくれたんですか?」と。
本来、吸血鬼というのはエルフを襲うはず、なのにどうして助けたのだろう。
吸血鬼はキョトンとした顔で答える。
「ん?そんなの、目的のものを失ってしまっては、俺が頑張って探した意味がないだろう。」
目的のもの?それって私のこと?え?
逃げた方がいいかもしれない。
「あ、ちょ、早まるな、何もしない。大丈夫だ。安心しろ。ただ…」
そう言った瞬間、吸血鬼はいつのまにか私の背後に回って、
「ひゃぁ!」
私の両肩を掴んだ。
もしかして、噛まれる?噛まれちゃう?
と、思ったんだけど、何もしてこないまま、吸血鬼は両手を離した。
「なに、噛まないさ。」
ふぅ、びっくりした。
そして急に、
「俺の名前はエコン。君は?」
「私は、エズ。」
「そうか。これからよろしく。それじゃ、俺はさっきの人を食ってくる。」
え?え?
さっきの人を食べる?あ、吸血鬼か、いやいや、肩を触ったのはなに?どういうこと?
あ、どっか行っちゃった。
私が戸惑っていると、おばあちゃんが心配も兼ねて挨拶をしてきた。
もうこんな時間か、日が登ってきている。
私はおばあちゃんに挨拶をし、こっそりと無言の詠唱をして、そのおばあちゃんに健康を与えた。
そう、私の本来の役割。
人に癒しを与えること。




