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宵星の巫女―鬼封神楽―  作者: いろはにぽてと
序章・鬼と宿命の物語
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1話 従者と姫

――死ぬな。

まだ、死ぬな。


視界の端を、黒い触手がかすめた。

一瞬でも気を抜けば、次は喰われる。


私は歯を食いしばり、後ろへ下がる。

足がもつれ、膝が震える。

それでも、止まれない。


燃える光景が、何度も頭に浮かんだ。


ナタレ姫が――火に沈んだ夜。


悲鳴も、祈りも、涙も――

すべて炎に呑み込まれた。


私が毒から目を覚ました時、

燃える亡き骸を、

ただ見ていることしかできなかった。


だから、誓った。


たとえ地獄の底に沈もうと、

この手で姫を引き上げると。


――生き返らせる。必ず。


そのために、ここで死ぬわけにはいかない。


鬼の吐く熱が、肌を焼く。

鼻をつく死の臭いに、喉が詰まる。


それでも、私は刀を握り直す。


逃げれば、すべてが無駄になる。

姫の死も、私の誓いも。


「……来い」


声は掠れていた。

だが、迷いはない。


私は生きる。

姫を、生き返らせるために。


その思いだけが、

今も私を奮い立たせていた――。

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