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最終話 これから


「トウヤ。改めて感謝する」

「いえ。自分は当然のことをしたまでです」


 あれから無事に今回の件は解決した。


 翌日、トウヤは皐月に呼び出されていた。彼は後ろで手を組み、毅然とした態度で皐月との会話を続ける。


 もちろん、この話は極秘事項なため皐月によって厳重な結界が張られている。


「しかし、まさか零級特務退魔官エクストラナンバーの情報をあえて漏らしていたとは」

「百鬼夜行でトウヤの存在が世界的に認知されているのは分かっていた。それを敢えてコードネームだけ漏らしてみたが、思ったよりも大物が釣れたな。ルーク=ラザフォードと彼の部下たちは全て捕縛。取り調べも進んでいくだろう」

「なるほど」

「ま、流石に今回の件はイギリス政府も無視はできないだろう。こちらとしても、有利に動くことができる。それに、日本の戦力を改めて示すことができた。トウヤ、感謝する」


 そう。今回の件は、全て皐月の手のひらの上の出来事だったのだ。トウヤは後になってその情報を共有されたが、彼は流石だと思った。


 ただトウヤには気になることがあった。


 それは──アリアの処遇についてである。


「アリアは……どうなるのですか?」

「彼女の身元は──日本で預かることになる。正式に帰化する手続きも進んでいる」

「え……そうなのですか? しかしそれは流石に色々と問題があるのでは? 退魔師の帰化はかなり厳しい条件があると聞きますが」

「今回は特例だ。それにこれは本人の強い意志もある。イギリスに戻る選択肢もあったが、彼女は日本の退魔師として活動していくらしい。ま、本人の意思を尊重した形だな。流石にあのルークという退魔師のしてきたことは、許されることではないからな」

「……ですね」


 トウヤだけではなく、皐月もすでにアリアの事情は把握している。ラザフォード家における非道な実験に末に生まれたアリア。彼女のその境遇は、同情すべきものだと皐月も判断したのだ。


「何か新しい情報が入れたばまた共有する」

「分かりました。では、自分は失礼する」

「あぁ。そうそう」


 トウヤが部屋から出て行こうとすると、皐月は彼に話しかけた。


「奇しくも、私の予想通りになったな」


 ニヤッと皐月は笑みを浮かべていた。


「なんの話ですか?」

「そこは自分で考えてみろ」

「はぁ……分かりました」


 トウヤは皐月が何を知っているのか、ピンと来ていなかった。そして彼は教室へと向かうのだった。


「トウヤさん……!」

「アリア」


 教室に戻る途中、トウヤはアリアと出会う。


「改めてその……本当にありがとうございました」


 アリアはとても深く頭を下げた。表情はもう暗い影はなく、すっきりとした表情を浮かべていた。


「アリアが無事なら良かった。後聞いたが、日本に残るらしいな」

「はい。もう私の居場所はありませんから」


 少しだけ寂しそうな顔をするアリアを見て、トウヤは思ったことを口にする。


「じゃあ、ここがアリアの居場所だな」

「え?」

「居場所がないなら、新しく作ればいい。俺も、妹の栞も大歓迎だ」

「トウヤさん……


 微かに潤む瞳。今にもアリアはトウヤに抱きつきそうだったが──


「ちょ、ちょっと待って! え!? 二人、いつの間にそんなに親密になったの!?」


 そこにやって来るのは葵だった。ここ最近はトウヤとすれ違ってばかりだった葵は、とある危機感を覚えていた。


「ん? まぁ普通だが」

「えぇ。普通ですよ」


 トウヤに特に変化はないが、アリアの瞳は潤み、頬が紅潮している。トウヤを見つめる姿はまるで──


「ふぅん。ラザフォードさん。ううん。アリアちゃん、ちょっとお話聞いても良いかな?」

「はい。もちろんです」


 そしてアリアと葵の二人が歩みを進めていく。


「俺も行くか──」


 トウヤもまた歩みを進めていく。


 確かな覚悟を持って、彼は今後も戦い続ける──。

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