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007_APPENDIX:倉庫番は絶句する


■APPENDIX:倉庫番は絶句する


 ここはつい先ごろ【青】様が破滅神を滅ぼした空間です。


 とてつもなく強固に造られており、大神である【青】様が全力で力を振るってもびくともしません。そもそも【青】様と互角に戦った破滅神が異常なのです。


 星に棲まうモノたちの命はもとより、絶望、諦観といった精神の波長すらも喰らう破滅神。それは敗北を覚悟した土壇場でふたつの星に大量にダンジョンを追加で生成し、その際にダンジョンに喰われたモノの生命と魂を喰らうことで【青】様を僅かながらに凌駕しました。


 危うく滅ぼされるところであった【青】様を救った【黒】様。


 いえ、人間ですから【黒】様と、大神様と同様の扱うのは些か問題ですね。姉妹皆がそう噂しているものですから、つい“様”とつけてしまいますが。


 自らの命をも賭して破滅神に打撃を与えるとはたいしたものです。


 そのようなことができたのは、彼のイレギュラーたる、我らが姉様の主様だけです。


 ……いまだに呼び名が決まらないとのことですが、どうしてでしょう? 既に【白】様をも凌駕しているというイレギュラーっぷりだそうですが。


 先だって初めて姉様とお会いした時は感激したものです。


 さて、この戦闘空間の一角に、円形で囲われたエリアがあります。さして広いエリアではありません。直径にして10メートル程度です。


 そこが転移の中間点として利用されるエリアとなっています。故に、その場所に何らかの障害物となるようなものを置くことは禁止となります。そして当然ながら、そこに無闇に立ち入ることも禁止です。


 そのエリアの側には倉庫があります。といっても、棚の並んだエリアというだけですが。いわゆる物置です。


 サラがいうには、さした期間、物を置き続けることにはならないといっていましたが、嫌な予感がしたのでそれなりに広めに区画をとりました。


 この倉庫エリアには多数の荷役用の四足型自動人形(オートマトン)が配備されており、倉庫エリアに送られた物品を適切な位置に収めてくれます。


 この自動人形は特別性で、時間制御(いわゆる時間停止)の掛けられている倉庫エリアでも問題なく活動できる優れものです。私がうっかり倉庫エリアに踏み入れてしまっても、速やかにエリア外へと運び出して貰えます。


 えぇ、ですので、無様な彫像となったりはしません。


 では、私は倉庫番としてなにをしているのかというと、送られてきた物品の確認です。


 ダンジョンを攻略するとのことですからね。そこより産出された物もこちらに送られてくることでしょう。


 そしてダンジョンは、現状、あの破滅神の遺産というべきモノ。……産出される物品に関しては、ある程度確認をしておきたいところです。


 もしも厄介なものが産出するのであれば、過去にさかのぼり、人の手にあって問題となるモノが無かったのかをしらみつぶしに確認しなくてはなりません。


 ……できることなら、そんな面倒なことはしたくないのですが。


 まったく、破滅神は面倒な仕事を残してくれたものです。


 おや、倉庫の方の転移エリアに物品が送られてきましたね。


 ……これは、毛皮ですか。やたらと手触りがよいですね。


 受肉してよかったことは、こうした刺激を得ることができるようになったことです。楽しい、という言葉の意味を初めて理解できたような気がします。


 白い毛皮が更に送られてきます。


 このような物品であれば問題ないのですが。


 自動人形たちが毛皮を運んで行きます。


 ……今度は皮? が送られてきましたね。やたらと硬い――いや、柔軟性もそこそこありますね。これは丈夫というべき代物ですね。


 ふむ。意外とこの状況は新鮮ですね。【青】様の意向で受肉をしたわけですが、得られる情報経験が非常に楽しいです。形なき意識ある情報体であった時とは偉い違いです。


 他の神も受肉すればよいのです。そうすれば、くだらない野心に腐心するようなことにはならないでしょうに。


 おや、次の物品が届き――は?


 え? なんですかこの黒い巨大な代物は!? えっと、尻……尾?


 え? ドラゴン!? は? サラカエルはなにをやっているんです?


 ドラゴンなど、人の身でそうそう倒せるようなものではないでしょう?


 外傷もありませんし、サラカエルが邪眼でも使って――あ、首に穴が。


 え、【黒】殿? え、いまは幼女姿のハズですよね?


 え? え? え?


 ……。

 ……。

 ……。


 考えるのは止めましょう。その方が健康の為です。


 そして後でライラを問い詰めましょう、そうしましょう。






 なんで追加で4頭も送られて来るんですか!!


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