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私の心


「ルル殿」


「は、はい!」



 家の中には私と彼の二人きりだ。先ほどのセドルの言葉で呆然としていた私だが、名前を呼ばれ我に返った。



「まずは謝罪させてほしい。身分を偽っていてすまなかった」


「あ、頭を上げてください!身分を偽っていたのは私も同じなのですから、ここはお互い様ということにしましょう?ね?」


「…あなたがそう望むのなら」



 転生した時に私の周りにいた人には情報収集のため魔法を使わせてもらったが、この地に来てから出会った人には使っていない。せっかくの二度目の人生、人との繋がりを大切にしたかったこともあり、魔法で相手のことを知ることはしなかった。だから彼がキュレール王国の王子だということに全く気がつかなかったのだ。



「えっと、その…」


「この花のことか?」


「…はい」


「ダイヤモンドスノウのことは?」


「知識としては知っていましたが、この目で見るのは初めてで…」


「そうか」


「すみません…」


「いや、気にしないでくれ。言葉にする勇気がなくてこの花に頼ってしまったんだ」


「……」


「だけどそれではダメだと気づかされた。それにちゃんと言葉にして伝えたい。だからルル、いやルルーシュ殿。どうか俺の言葉を聞いてほしい」


「…はい」



 彼の口から何を言われるかは、この状況からなんとなく想像はつく。だが想像がつくだけで、心臓が激しく鼓動を打つのを抑えることはできない。



「あなたが好きだ」


「っ」


「叶うのなら俺があなたを、セドルを守りたい」


「…私とセドルを?」


「ああ」


「…セドルは前の夫との子なのに?」


「関係ない。セドルは()()()()()だ」


「!」


「それに俺はセドルを懸命に育てているあなたに惹かれたんだ」



 転生してから今日まで私の最優先事項はいつだってセドルだった。セドルは前世とは違う世界で生きていくことに不安でいっぱいだった私の道標となってくれた。そんな私の大切なセドルを彼は守りたいと言ってくれている。彼の目を見ればその言葉は嘘ではなく、本心だというこはわかるが、私はそっと魔法を使った。




 名前:ロストニア・キュレール

 年齢:28

 職業:キュレール王国第三王子

  プラチナ級冒険者

 感情:あなたの大切なものを守りたい




 この世界で恋愛をするつもりはなかった。ただでさえ一度離婚している身であるし、自身のことよりもセドルの方が大切だったから。だけど目の前に私の大切なものを守ってくれると心から想ってくれる人がいる。その事実に激しく心が揺さぶられた。



 だから私は……



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