表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/22

申し出


「まだ早いけど、今日はもうお店を閉めないと」


 

 閉店準備に取り掛かろうとすると、店の入り口が開いた。



「すみません、今日はもう閉店で…って、ロストさん?」



 店の入り口には常連であり、セドルの先生であるロストさんがいた。



「今日はもう終わりか?」


「そうなんです。何かお急ぎですか?」


「いや、ただ寄っただけだから大丈夫だ。ルル殿こそ何か用事が?」


「ええ。この後冒険者ギルドに行く予定でして」


「ギルドに?」


「はい。依頼をしに行くんです」



 今日はいつもセドル達を連れて採取している場所ではなく、森の奥に採取に行きたいと考えていた。森の奥は獣や魔物が出る可能性もあるのでセドルはもちろん、セドルの世話と護衛としてレミアとケビンも連れてはいけない。しかしさすがに私一人で森に入るのは危険なので、護衛を頼むために今から冒険者ギルドに行く予定なのだ。



「どんな依頼なんだ?」


「えっと、護衛をお願いしようと」


「護衛?どこかに行くのか?」


「ええ。森の奥に薬草を採りに行きたいのですが、さすがに一人では危険でしょう?だから依頼をしようと思って」


「じゃあ俺にルル殿の護衛をさせてほしい」


「え?」


「ダメか?」



 まさかの申し出に驚いた。ありがたい申し出ではあるが、さすがにプラチナ級の彼が受けるような仕事ではない。



「その、すごくありがたいのですが、ロストさん程の方に頼むような仕事ではないですし、大した報酬は払えなくて…」


「報酬はいらない」


「いえ、仕事を依頼するのですからそういうわけには…」


「では報酬は受け取る」


「でもそれだけじゃ…」



 本当に大した金額の報酬ではない。どうすればいいのかと迷っていると、ロストさんから提案された。



「…じゃあ、一つ頼みを聞いてもらえないか」


「頼み、ですか?」


「ああ。どうだろうか」


「……わかりました」



 彼の親切心をこれ以上断るのも失礼だと思い、私は提案を受け入れることにした。正直に言えば全くの初対面の人に護衛してもらうより、彼の方が安心できる。



「ありがとうございます」


「いや、俺が望んだことだから気にしないでくれ」


「ふふ。やっぱりロストさんは優しいですね」


「……それはあなただから」


「ロストさん?」


「護衛は今からか?」


「あ、はい。お店を閉めたらすぐに出掛けたいのですが、大丈夫ですか?」


「大丈夫だ」


「じゃあすぐに準備しますので、よろしくお願いします」


「ああ」



 ロストさんに護衛をしてもらい、無事に薬草を採取することができた。

 そして約束通り報酬を支払った後、私は彼からの頼みごとを一つ聞き入れたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ