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「ルルちゃん、いつものやつを貰えるかい?」


「あらバルドさん。シップ薬ですね」


「ルルちゃんのはよく効くからな」


「ふふ、それならよかった。はいどうぞ」


「いつも助かるよ。じゃあまた」


「ありがとうございます」



 私は今辺境の地で薬師のルルとして暮らしている。


 三年前、城には戻らずに他の地でセドルと暮らしたいと父と母にお願いしたのだ。当然反対されたが何度も頼み込んで、最終的には身の安全を守るために魔道具で髪の色を変えること、侍女と護衛を連れていくことを条件に折れてくれた。

 準備期間のため半年ほど城でお世話になったあと、家族に見送られ辺境の地へと旅立ったのだ。


 私が第二の人生の場に選んだのは、帝国の北に位置するバートナー辺境伯領。ここで私は鑑定魔法と前世の知識を活かして小さな薬屋を営んでいるのだ。




 ◇◇◇




「ただいま」


「おかえりー!」


「いい子にしてたかしら?」


「うん!ね、レミア!」


「はい。セドル様は今日も元気に過ごしていらっしゃいました」


「そう。セドル偉いわね」



 セドルの柔らかい髪を撫でる。今は魔道具を使っているので私もセドルも髪の色は茶色だ。



「えへへ」


「レミア、いつもありがとう」


「いえ!ルルーシュ様のお役に立てることが私の幸せですから!」


「またそんなこと言って。でもあなたは新婚でしょ?」


「そ、そういう設定なんです!」


「そうだったわね。でもあなたとケビン、お似合いだと思うのだけど…」


「ル、ルルーシュ様!」


「ふふ、からかいすぎちゃったわね?」


「レミア、おかおがあかいよ?」


「もう!セドル様まで!」



 レミアとケビンは侍女と護衛だ。家族には二人だけでは少ないと言われたが、これ以上の人員を連れていては静かに生活ができないと訴え、なんとか納得してもらった。

 レミアとケビンはルルーシュが幼い頃から仕えてくれている。連れていくならこの二人だと決めていて、もしも断られたら諦めるつもりだったが、二人とも快く引き受けてくれた。

 ただ私は市井で暮らすので、侍女と護衛がいるのは目立ってしかたがない。だからレミアとケビンには新婚夫婦という設定で、私の家の隣に住んでもらっているのだ。普段はレミアにセドルを預け、私は仕事をしている。


 気づけばここでの生活も二年が経ち、生活にも慣れ順調に過ごしていた。

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