サーチ・ランキングサイト
00年代のオリジナルweb小説活動理解の上で必要ではあるが……、規模的に影響性を疑念視する面もある。
■1.小説家になろうとの関係性
■2.ネット小説ランキング
■3.ネット小説更新チェック
■4.アルファポリス
個人でホームページを開設し、サーチサイトないしランキングサイトに登録するという行動は、2000年代半ば頃までの間には最も一般的な、オリジナルweb小説の活動形態だったと言える。
著名なサイトとしては「楽園」など。
ただ本稿では主に小説家になろうとの関係性、という部分にフォーカスして見ていきたい。
■1.小説家になろうとの関係性
小説家になろうでは2007年04月30日、ランキングタグの設置、ランキングサイトへの登録が可能となった。
当時の公式ブログには「これに登録するのとしないのではアクセス数に大きな差が出ます。読者数を増やしたいのであれば、必ず登録するようにしましょう」と記載され、なろう公式で大きく推奨していたことが窺える。
小説家になろうも基本的に2007年頃まではほぼ無名と言ってよく、サイト内にも有力な読者導線を持たなかった。
少なくとも評価が無制限加点方式へ移行する2008年01月末まで、「人気ある作品にアクセスしたい」という場合は外部サイトの利用が必須な、作品置き場という傾向があったと言えよう。
大きな数字が出ている「小説大好き!」は、二次創作向けサービスの方が主体であり、当時のネット上でのオリジナル小説というものの存在感が窺える一例。
■2.ネット小説ランキング
そうした中で最大手として、当時のなろうに極めて強い影響を有したのが、「ネット小説ランキング」というサイト。
ここで上位の数字をとれれば、なろうランキングで上位になるという図式がほぼ成立していたほどに、非常に強力な導線として機能していた。
なろうにおける「異世界モノ」展開の基礎、特に召喚・トリップ・迷い込みという語を用いる作品の流行に関しては、こうした経路を通じて流入したという面が強いだろう。
ただまぁ有効性が認知されるほど、劣悪な利用者も増えていくというもので、ランキングタグ設置可能になって1ヶ月で苦情が届くに至る。
その後も改善されることなく、2008年11月末にはなろう作者の利用は禁止され、登録済み作品も順次削除されていった。
■3.ネット小説更新チェック
メールによって作品の更新を通知してくれるサービスであり、かつては長くなろうトップページ上にも掲載されていた。
なろうがブックマークによる更新通知機能を持つのは2009年09月30日リニューアル以後であり、その役割を代替していた存在とも言え、その後も2011年頃まではかなりの利用者を有していたようだ。
また昔のなろうのランキングは1月・4月・7月・10月初めに、「前の四半期に入った評価を集計して記載する」というものであり、大きなタイムラグがあった。
一方でこちらは更新通知を受け取ることにした人数がリアルタイムで加算されていくものであり、当時の人気作品を探るという意味ではずっと有意義な存在とも言える。
■4.アルファポリス
現在では小説投稿サイト、あるいはwebコミックのサイトという印象が先行するだろうものの、投稿機能を持つようになるのは「2014年10月」以降の話である。
アルファポリスは本来あくまで個人HP間のハブとなるランキングサイトであり、その構造を通じて最も古いweb書籍化を展開した出版社であった。
書籍化関係の話は別で扱うものの、特に女性向け作品に関しては、2011年頃まで強力な導線の1つであったと思われる。
「楽園」に関しては一般的単語すぎてGoogleトレンドが機能しない。
ただ2005/06には機能停止だったので、とりあえずなろうとは一切関係を持たない。
こうしたサーチサイトというのは男性向けジャンルでは早々に廃れた一方、女性向けジャンルだと比較的息が長く続いたようで、「恋愛遊牧民」などは代表的存在。
オリジナルに限らず、二次創作でも同様の傾向を有する。