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Arcadia

数字で整理すればするほど、web小説という形そのもののターニングポイント。



■2000年~2003年頃

■2004年~2007年頃

■2008年~2011年頃

■2012年~

 Arcadiaに関してはまず長期的なアクセスカウンターの推移を載せよう。

挿絵(By みてみん)

 特に重要なのが2008年末から2010年初頭頃、「一日のユニークPV15万」という最盛期が存在したことだ。

 前話で扱った当時の大手と呼べたサイト群は、多くても2万から日曜祝日で3万アクセスという範囲に収まるものであり、それはある意味原作単位・個人運営のホームページにおける限界だったのかもしれない。

 Arcadiaというサイトの人口規模はそれまでとは桁が違うものであり、この前後でweb小説に関わる人員の活動形態が全く異なる、という点は認識しておかなければならない。





■2000年~2003年頃

 Arcadiaは2000年08月に開設されたサイトだが、当初は管理人の自作小説と多少のメール投稿を受け入れていた、よくある個人ホームページといったものである。

 最初の変化は2002年に捜索掲示板を設置したこと。

挿絵(By みてみん)

 そして2003年には投稿掲示板を設置したこと。

挿絵(By みてみん)

 ただまぁ劇的なものではなく、この段階では日間1万アクセスに満たない、エヴァ二次の捜索を中心としたサイトであった。





■2004年~2007年頃

 少し話は戻るが2004年01月に発売され、エロゲ史上最大の売り上げを記録したのが、「Fate/stay night」という作品である。(※1)

 この二次創作に関しては当初「全自動月姫」を中心に展開していたが、2004年04月に投稿掲示板を含む、掲示板群全てを閉鎖する出来事があった。

 Arcadiaは2004~2005年を通じて急激な成長を遂げたのであるが、それはこの原作二次の投稿需要を一手に担ったという点が大きかったのだろう。

 2006年には日間5万アクセスとこの時期最大の規模に発展し、その後も「Muv-Luv Alternative」「真・恋姫†無双」と、エロゲ二次投稿における主要なサイトとなった。


 ただ2006~2007年にかけてその伸びは停滞を見せる。

 原作単位の集団形成におけるキャップもあったのだろうが、特に大きいのが2006年11月、「業者対策、SS以外の投稿制限、短いプロローグのみの投稿制限」として行った、5kB(≒2500字)の最小投稿サイズ制限だ。

 現在の小説投稿サイト群における制限からすると極めて厳しい数値と言え、Arcadiaにおける作品投稿は一時的な急減を見せることとなる。

挿絵(By みてみん)(※2)





■2008年~2011年頃

 この時期のweb小説の展開としては、分散的に成立していたサイト群、分断的だった界隈の決定的な統合が起きた、という一点に集約される。

挿絵(By みてみん)

 Arcadiaはそれまでも最大の規模を有するサイトではあったが、2008年という時期に至り、明確に抜きんでた存在となっていき、その一方でこれまで大手と呼べたサイト群は軒並み縮小の一途を辿った。


 2008年にArcadiaは各種リニューアルを行った。

 現在表示されているPV(※3)のカウント開始、感想掲示板は作品に付属する形に切り替えられ、ついでにかつての5kB規制が消失した。

 単純にこの時点でArcadiaが「最も便利なサイト」となった契機であり、10万人という規模の流入もそこに惹かれたというものなのだろう。


 PVカウントはこの時期から始まったものであり、古い時期の影響を排する形で、この時期の人気をそのまま写し取ることも可能だ。

挿絵(By みてみん)

 エヴァは新劇場版の公開等あったもののあまり振るわず、TYPE-MOONも発売から4年が経過し、以前の最有力原作という勢いは消失。

 エロゲ系原作として最大の存在だったのはMuv-Luvであり、恋姫がそこに次ぐ、という形となっている。(※4)

 特にPV100万以上で顕著なのだが、これらの人気作は逆行や原作主人公の魔改造的傾向が色濃く、同じ原作であってもにじファンで展開したものとは、かなり違った印象を受けるかと思う。


 最初のグラフに戻るがその後2010年後半まで来ると、アクセス量が急激に減少していったのが読み取れる。

 web小説の中心がArcadiaから小説家になろうへと移動していく時期の到来であり、2年ほどの間にほぼ半減という急落を示した。





■2012年~

 アクセス量の減少を続けていったArcadiaであるが、2012年夏~2013年初頭において、それも若干停滞を見せた。

 にじファン閉鎖に伴い、人口がある程度還流したというわけだ。

 ただその後は再度急激な減少に至っており、ハーメルンの運営が安定的と見做されたことで、移動が進行したのだろう。

(※1)PC-NEWSまとめ。

挿絵(By みてみん)

 web二次創作的に存在感のあった原作、ないしメーカー群に限った。

 この後すぐ廃刊となったので、特に2006年後半・2007年頃の作品は少なめの数字を示す。



(※2)全体の投稿量に関してはチラシの裏板の存在が極めて大きい。

挿絵(By みてみん)



(※3)ArcadiaでのPVという数値は、要はアクセスカウンターであり、第1話部分というか「小説トップページを踏んだ回数」である。

 小説家になろうやハーメルンで表示されるそれとは、全く異なることに注意。



(※4)一応「とらハ」原作はエロゲだが、StS以降爆発的に増加したなのは系二次集団を同一視するのは無理がある。

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