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2000年代二次創作

「数量的に確からしい」ということのみに絞っていくので、文量的には少なめです。



■2000年~2003年頃

■2004年~2007年頃

■2000年~2003年頃

 社会的背景としては、2001年頃からADSLによる定額常時接続の普及が進み、一般家庭でのPC保有とインターネット利用が増加していく時期。

 当時におけるweb上での小説掲載というのは、ほぼ「自前の個人ホームページを開設する」というのと同義であり、小規模のサイト群がネット上に散在していたという点から、全体像を把握することが極めて困難と言える。



 そんな中で有力な資料となるのが、「Arcadia捜索掲示板」の存在。

挿絵(By みてみん)

 2002年01月からの運営であり、現存するサイトの中では極めて古く、広い範囲の情報収集が可能。

 注意点を挙げるとすれば、エヴァの検索量が顕著なのだが、上述の「小規模のサイト群がネット上に散在」という度合いが強ければ強いほど、量的にやたら多いという傾向にある。

 2003年度までのArcadiaの日間アクセスはせいぜい1万未満ということを考えると、web小説に関わる人口の増加に反し、とにかく古い時代ほど利用が盛んだったとも言えよう。

 また後述の「かのんSS-Links」など、自前の捜索掲示板を運営していたサイトも存在した点に注意。



 これ以外では多くのサイトが設置していた「アクセスカウンター」を通じて、規模の大小を測ることもある程度は可能。

挿絵(By みてみん)

 2003年以前という時期における最大のサイトは、「かのんSS-Links」「小説大好き!」と言ってしまっていいだろう。

 アクセスカウンターを平均化すれば、日間2万アクセスほどという人口規模になろうか。


 前者は名前の通り「Kanon」二次小説のリンク集にあたる。

 当時のネットにおいて、「エロゲ」というのは極めて大きな存在感を持っていた。

挿絵(By みてみん)

 販売本数上のピークを迎えたのがこの時期だったことに加え、当時のネットアクセスにおける必須媒体である「PC用のゲーム」として展開したことで、プレイヤー密度が高かったという点もあったのだろう。

 エヴァやナデシコの二次創作では「FF(ファンフィクション)」という表現がよく用いられたのだが、ここから「SS」(※1)が後のスタンダードになっていったのは、エロゲ二次系の影響が大きいかと思う。


 後者は多数存在する個人ホームページの情報をまとめ、更新通知を行っていたサイト。

 原作は問わないものの、「エヴァ」「アニメ・ゲーム」「オリジナル」という分類を行っており、この時期におけるエヴァ二次の存在感の大きさを窺わせる一例。


 これら以外では、ナデシコ系の「Action」とGS美神系の「夜に咲く話の華」が、2003年末時点で1000万アクセス超の巨大サイトとして挙げられる。

 これらはメールによる小説投稿を集める形で巨大化したタイプであり、当時の人気原作の一角と言っていいだろう。





■2004年~2007年頃

 社会的背景としては、携帯電話においてパケット定額制の普及が進み、PC以外のインターネットアクセスが徐々に増加していく時期。

 この時期のweb小説に関しては、自前の個人ホームページを開設し、リンク集に登録する、といった行動は徐々に下火になっていった。

挿絵(By みてみん)

 代わりに顕著となるのが、主に「投稿掲示板」を有する特定サイトへの集中であり、原作を基本単位とした中核的なサイト群の形成が進行する。

 その最たるものが「Arcadia」なのだが、こちらは次話で扱う。



 2004年08月にはGS美神系の人気サイトだった「夜に咲く話の華」閉鎖に伴い、複数の後継サイト群が成立。

 その中でも「Night Talker」は、原作を問わない投稿掲示板を運営し、この時期における最大級のサイトの一角となった。

挿絵(By みてみん)



 またこの期間を通じて顕著となるのが、旧世紀の二次創作集団からの連続性が稀薄な、新しい世代による界隈の形成。

 特に2005年冬春のアニメ放送と同期して急激に巨大化したのが、「ネギま」二次創作であった。

 当初は「ネギまのベル」を中心として展開したのだが、このサイトは翌年早々にクロスオーバーの禁止騒動、その後閉鎖という運びとなる。

 その受け皿となったのが、「風牙亭」「投稿図書」であり、2006~2007年という時期における最大級のサイトの一角を成した。


 なぜこれらについて触れるのかといえば、単純に規模が大きかったのは勿論のこと、その後の二次小説展開に対する影響性。

 オリキャラを主人公にするという創作は、それ以前にも無かったわけではないが、それ以前の時期に成立した二次創作集団からすれば、極めて少数派だったのは間違いない。

挿絵(By みてみん)(※2)

 ネギま二次は「オリ主」というギミックが最も急激に膨れ上がった集団であり、後世の創作に対する影響が大きかったと言えよう。



 そして2007年に入って急激に規模を拡大したのが、「なのは」と「ゼロ魔」という原作の二次創作。

 なのはに関しては2007年04月のアニメ3期放送期間を通じて、強いていえば「生まれたての風」「PAINWEST」が規模の大きいサイトだったと言えるが、どちらかといえば多数のサイトで分散的に展開。

 Google検索量に関してもArcadia捜索掲示板と同様、サイトが分散的であるほど増える傾向にあると言える。(※3)


 ゼロ魔に関しては2007年07月のアニメ2期放送という点も影響しただろうものの、それに先行する形で「2ちゃんねる」で成立したスレの存在が極めて大きかったと言えよう。

挿絵(By みてみん)

 一般に「ゼロ魔のクロスオーバー」といった場合に指すのはこちらであり、Arcadia及びにじファンでの人気作品は転生オリ主的傾向が極めて強い。(※4)

(※1)表現に関しては、公式サイトが運営していた掲示板で用いていたものが引き継がれたかと思われる。

・Leaf:即興小説コーナー

・Tactics:ショートストーリー

 「即興で書き上げたお話など」

・Key:SS掲示板

 「サイドストーリー・ショートストーリー、即興小説など」


 少し外れるが小説投稿サイトとしての「2ちゃんねる」を考える上で、なかなか便利な表現と思えてならない。

 専門板やBBSPINK(&保管庫)で見られた、作品及びキャラのファンスレで展開したものを「ショートストーリー」、ニュー速VIP(&まとめブログ)で展開したものを「即興小説」と捉えると、説明が容易では無かろうか。



(※2)とらハの検索時には「オリ主」が溢れてしまったので、「オリ主+なのは」を用いた。

 あまり適切な方法ではないのだが、エロゲとらハ二次とアニメなのは二次が混在した時期では、呼び分け用に表記が求められたことから、影響がまだ軽微な語と考えている。


 また「オリキャラ+主人公」の推移に関しても載せておこう。

挿絵(By みてみん)

 このあたりの作品要素類は、別で取り扱う予定。



(※3)2007~2009年頃のArcadiaで特に人気だった原作として「マブラヴ」が挙げられるが、この二次創作はほぼArcadia内に限って展開しており、Google検索量としては極めて低調。



(※4)ArcadiaでPV100万超のゼロ魔二次は12作存在するが、うち7作が転生オリ主。

 にじファン閉鎖直前の累計100作中、ゼロ魔二次は17作存在したが、うち15作が転生オリ主。

 この範囲だとクロスはどちらも「雪風と風の旅人」1作のみ。

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