第二節 最初の客 その6
乗客が住所を言い間違えることはたまにあるようだが、住所がわからない乗客もたまにいるようだ。ギンレイはどのように対応するのか。
*このお話しは連載中の「しあわせのたぬき」
https://ncode.syosetu.com/n8347hk/
シリーズもの別編です。
第二節 最初の客
その6 わからない客
乗車拒否をするわけにはいかない。降車地不明であるがとりあえず「そこ」を目指して3999号車をタクシー乗り場から出して、更に順路に従ってショッピングセンターの敷地から出る。一方通行の道路を進んで最初の分かれ道、T字路前で、
「お客様、右に行きましょうか、左に行きましょうか」
と、聞く。
「うーん、住所はね、琴似駅の方なんだ」
フレンドが、
「琴似でしたら左です。あ、いや、ちょっと待ってください。えーっと、ショッピングセンターが山を背中に建っていて、反対に進んでいるから、こっちが山の方で、えーっと、右後ろの方です」
昼間は太陽や山が見えるから動物的に方角の検討がつきやすい。琴似がある札幌市西区は山側にある。右折を繰り返し駐車場から出てきて進んだ方向と逆方向へ、山を見ながら琴似を目指す。
「お客様、ご住所はどちらになりますか?」
とりあえずそこまで、と言われ、次に「琴似駅の近く」が行先とわかれば料金的にはそれほどのブレはなくお連れできるだろうと考える。あとは詳しい住所が確認できれば職務は全うできるのだが、ここからがなかなか険しい。
「住所はね、八軒1条1丁目なんだ」
八軒1条1丁目は線路をはさんで琴似1条1丁目の北側にある。出てきたショッピングセンターからは4キロメートルほど南西に位置する。八軒の1条1丁目は琴似駅から見てすぐ裏手なので「とりあえずそこまで」「琴似駅の方」「八軒1条1丁目」というおおざっぱではあるが、「そのあたりに住まいがある」という「行先の情報」としては間違いはないだろうと思う。
「女房に去年先立たれましてね。それまで身の回りのことや外出はほとんどみんな女房任せだったんですよ。買い物も銀行もタクシーに乗るときも、どこへ行けばいいかみんな女房がわかっていたから。ひとりになると何もできなくなってねえ。困ったもんです」
口調はしっかりしている。杖も持たずに歩いている。まだそれほど老け込んだ年齢には見えない。八軒に近づけばお住まいを思い出してくれるだろうと思うのだが、
フレンドが、
「ギンレイさん、八軒1条1丁目は八軒西1条1丁目と、八軒東1条1丁目があります」
と、言う。琴似駅を右手に見て、左手が西1条、交差点の前方が東1条というところにさしかかり、
「お客様、左手が八軒1条ですが」
「それなら家はこの近くです。背の高い大きなマンションの前にあるアパートなんですけど」
背の高い大きなマンションは八軒東にはなく、八軒西には数棟ある。八軒西1条1丁目で間違いないだろうと思う。あとは背の高い大きなマンションをたよりに2階建てのアパートを探せばいい。
「お客様、1条1丁目の何番地かおわかりになりますか?」
「番地ですか?えーっと、1条1丁目8の1だったかな」
フレンドにナビの画面を大きく出してもらって8番地へ向かうが、大きなマンションは建っていない。
「うーん、ここじゃないです。朝起きてね、カーテンを開けると居間の窓からいつも大きなマンションを見るんですよ」
8番地というのは記憶違いだろうか。居間は南向きだろうか。などと考えながら、大きなマンションが立ち並んでいる1番地、2番地の方へ3999号車を進める。サザンクロスが、
「このアパートはどうでしょうか?」
2階建てで居間と思われる大きな窓は南向き、建物の南側には大きなマンションが建っている。
「お客様、こちらのアパートは違いましたか」
「うーん、似ているけど、どうかなあ。階段はよく似ています。ちょうどこんな感じの階段で、うちは2階なんですよ。でも違うと思うなあ」
「お客様、アパートの名前はおわかりになりますか」
「アパートの名前は1条館です。目の前のマンションがグレイシスで。アパートの近くに床屋さんがあります」
サザンクロスが、
「床屋さんはさきほどの8番地で見かけましたけど、2階建てのアパートも大きなマンションも見ませんでしたね。無線でセンターに探してもらってはいかがでしょうか?」
と言う。
「なに、無線センターはそんなサービスをしてくれるのか?」
「一戸一戸の住宅地図があってそれを眺めるだけです。現地を見る方が正確だと言われるかもしれませんが」
乗客にお名前をお聞きする。
「お客様、失礼ながらお名前を教えていただけますでしょうか?」
「私は佐藤と申します」
試しに無線センターに問い合わせをしてみる。
「3999からセンターどうぞ」
『センターから3999どうぞ』
「賃走中ですが目的地の照会をお願いします。八軒1条近辺でグレイシスというマンション及び床屋が近くにある1条館というアパート、お客様のお住まいを探しています」
『3999了解、待機願います』
車両を道路脇にとめて無線センターの反応を待つ。
『センターから3999へ、八軒1条にグレイシスというマンションはありません。1条館というアパートもありません』
「3999からセンターへ、二階建てのアパートで、背の高いマンションが居間から見えるそうです」
『センターから3999へ、地図では二階建てか、背が高いかどうかまではわかりません。居間の間取りもわかりかねます』
「3999からセンターへ、床屋さんが近くにあるアパートは1条の中にありますか」
『・・・』
「3999からセンターへ、床屋さんが近くにある2階建てのアパートです」
『センターから3999へ、床屋さんらしき建物が8番地にあります。あとは現地で探してください』
「3999からセンターへ、お名前が佐藤様で、1丁目です。該当する番地、枝番があれば教えてください」
『・・・』
「3999からセンターへ、お名前が佐藤様です」
『センターから3999へ、佐藤様宅は複数軒あります。アパート、マンションにお住まいの佐藤様はセンターではわかりかねます。あとは交番に問い合わせをしてください。センターからは以上』
メーターの料金がまた上がる。目的地近くまで来ているのに料金が上がっては乗客には気の毒だ。ギンレイはメーターの「支払」ボタンを押し、
「お客様、一旦ここで清算しましょう。そのあとは私と一緒にお住まいを探しましょう」
そう言って代金をいただき、レシートを出す。お客様は、
「すみませんね。私、ここで降りますよ」
ここで降ろすと事件が起きかねない。もう夕暮れ時になる。八軒からも琴似からも離れて彷徨い歩くうちに事故にでも遭ったら大変だ。
「いえ、きっとすぐお近くでしょうから、一緒に探しましょう。何かご住所のわかるものはお持ちではありませんか?」
そう聞くと、持っていたバックからカード類を十数枚取り出す。
「なんだかよくわからないカードがたくさんありましてね。こういうのもみんな女房が使いわけていたようなんですが」
そう言ってカードを見せてくれるが名前の入ったものはあるが、住所の入ったものはひとつもない。主に診察券と商店のポイントカードだ。
「やっぱり運転手さんに悪いから、私ここで降ります」
「あ、いえ、そろそろ暗くなってきますし、まだ車に乗っていてください。診察券の病院へ問い合わせしますから、少し待っていていただけませんか」
「はあ、そうですか、すみませんね」
ギンレイは公衆電話をみつけ、眼科、歯医者、内科、皮膚科と、診察券の病院へ電話をするが、
「個人情報にあたりますのでお教えできません」
と電話をかけた先のそれぞれから断られる。
(やはり交番へ行くしかないのか)
フレンドが、
(身につまされます。方向音痴の私でも住処はなんとかして探し出せます。でも住処がどこかわからなくなるというのは恐ろしいことです)
サザンクロスが、
(以前にお乗せしたことのある乗客ならば記憶を頼りにご自宅を探し出せたかもしれないのですが。申し訳ないことです)
独居老人が認知症になった場合。外出は右も左もわからない外国をさまようようなものだ。次第に外へ出るのが恐くなって出不精になると普段の生活にも支障が起きてくるはずだ。まだ出歩けるほど健康な間は食糧などの買物にも行けるが、行く先も帰る場所も不安な認知症の老人はタクシーを頼りにする。ある意味、この老人と初対面の自分が運転手であったことも不運だったのだ。顔見知りの地元の個人タクシー運転手であったならば安全に自宅まで送り届けていたことだろう。
(それにしてもこの状況を放置しているこの社会はこれでいいのか?)
そう思ってしまう。放置しているわけでもない。実際、置き去りにすることなく交番に届けるべしというマニュアルがこのタクシー会社にはある。いまの自分にできることは警察に届けることだ。ただ、その警察にできることも正しい住所を見つけ出してパトカーで送り届けるまでであろう。
この界隈に住む人たちはどういう目でこの老人を見ているのだろうか。若いうちからちゃんとしておけばよかったのに、などと、後悔させるようなことを言ったり思ったりしている人間はゼロではないだろう。その現状を見て哀れに思う目はあってもつぶさに改善へ向かって対処できる手立ては多くはないのだ。
「お客様、それではご一緒に警察まで」と、言いかけたとき、
コンコン
ノックする音がして、運転席から窓の外を見ると白衣にカーディガンをはおった女性が立っている。ドアを開けると、
「あのう、さきほどお電話を頂戴した内科科医院のものです。そちら、佐藤さんのご住所、私、わかります」
そう言って、ドアから、
「佐藤さん、私、わかる?」
「ああ、えーっと、病院の人」
「佐藤さんのうちすぐそこですよ。ご一緒しましょう」
と、言う。ギンレイはドアを開け、乗客は降りてきて、
「みなさんにご迷惑をおかけして、申し訳ありません。年をとるというのは、いやあ、恐いものですね」
そう言って何度も頭を下げる。
看護婦さんとその乗客は並んで一緒に歩き、さきほどのアパートへ向かった。やはりさきほどのアパートが住居だった。アパートの1階から杖をついたお年寄りが出てきて「あれ佐藤さんまた道に迷ったのかい」と声をかけると、2階の隣室からも住人が出てきて、「まあ佐藤さん無事に帰ってきてよかったね、今度出かけるときは声をかけてね」などと話しをしている。
ドアの足元に小さな松の盆栽がひとつおかれている。霊力で松に問いかける。あの乗客のささやかな趣味だったようだ。奥様が健在だったときは夫婦で手入れをしていたようだ。枯れかけているが春の新芽がひとつ、めぶいている。
サザンクロスが、
「よかったですね、家に無事に着いて」
フレンドが、
「ご近所に優しい人達がいるみたいですね」
ご近所に優しい人達がいるのはあの乗客に人徳があったからだろう。自分の命を長らえさせるのは自己責任があたりまえの世界だ。若い頃から良い行いをし、人との縁を大切にすること、それができなければ見捨てられてしまう。果たしてそれでいいのだろうかとギンレイは思う。「若い頃から良い行いをし、人との縁を大切にすること」を怠ったから見捨てられるのだと、生活に困窮する独居老人を刺して成功者たちが主張しているような気がしてならない。
アパートや看護婦のみなさんに会釈をして3999号車を進ませる。「とっても親切な運転手さんで」という声が聞こえた。
午前中に「社会貢献もいいが営業に専念せよ」と父から叱責を受けたことを思い出す。今日の営業収入目標はまだ達成できていない。あと2時間、もう3、4件は乗客を得たい。
琴似駅前から山の手方面へ伸びる琴似栄町通りは片側一車線の繁華街で、
「ここは流しで乗客を取りやすいところです」
とサザンクロスが言う。片側一車線だが路肩が広くて停車しやすく転回も容易だ。昼間だというのに居酒屋やスナックが入った雑居ビルから盛んに人が出入りしている。反対車線で手を上げる人を見て、上下から来る車が途切れるのを見て転回し、歩道横に3999号車をつけて扉を開ける。
乗ってきた乗客は酒臭い。
「ああ、楽しかったあ、いい気分だ。まだ飲み足りないがもう帰らなくちゃ」
と上機嫌だが、
「お客様、どちらへいらっしゃいますか?」
と聞くと、
「ああ、とりあえずそこまで」
と、さきほどの乗客と同じことを言う。
「お客様、真っ直ぐでよろしいですか?」
「ああ、まっすぐ行って。線路を超えてすぐのとこだから」
「かしこまりました」
さきほどの老人と同じくらいか、少し年上くらいだろうか。首にかけたネックレスや腕時計や眼鏡から見て生活に余裕のある高齢者なのだろう。
「あんた酒好き?歌は何うたうの?」
などと、問いかけてきたかと思うと、首をガクッと倒して眠っている。すぐに さきほどの八軒西1条まで来る。
「お客様、どちらまで・・・」
ねぼけまなこで、
「ん、ここはどこ」
「線路をくぐって八軒1条まで来ておりま」
「ああ、あのね、背の高いマンションだから」
「番地と枝番はわかりますか」
「ああ、知らない。眠い」
そう言って眠ってしまう。ニシンが怒った顔でツンツンと瞼を突っ突いている。
マニュアルでは「手におえない」泥酔客も警察へ届けていいことになっている。せっかく気持ちよく酒に酔っているのだから警察に連れて行くのも気の毒だ。とりあえず、あたりで一番高いタワーマンションまでお連れする。
「お客様、ここのマンションでしょうか?琴似ロイヤルタワーですが?」
「ん?違う、違うぞ、お前バカか?隣だ、隣」
「申し訳ございません、向こうに見えている方ですね」
「そう、入口前に松の木があるって言っただろ」
そう言ってまたこの泥酔客は眠ってしまう。隣のタワーマンションへ移動する。よく手入れされた枝ぶりのいい松が二本、門柱のように立っている。
「お客様、つきましたよ、入口に松の木があるマンション。ここでよろしかったですか」
「ん?ここはどこだ。ああ、うちだ。いくら」
「750円です」
小銭入れを探し、中の500円玉を取り出して運転席横のトレーに乗せる。
「お客様、750円です」
「あ、それしかない、500円でいいだろ」
「お客様、750円です」
乗客はむくっと起きだして、酒臭い顔を運転席の方へ近づけ、
「お前、さっきマンション間違っただろ、500円でいい」
「お客様、750円です」
「うるせえ」
突然乗客は大声を出す。
「おれタチ悪いからな。お前、道を間違っただろ、金払わないからな、ドアあけろ、こら!」
「お客様、750円です」
「なんだこら!」
運転席のシートを蹴る。
「お客様、お支払いいただけないなら奥様をお呼びしますが」
乗客を睨みつけるギンレイ。奥様と聞いて急に酔いが冷めたようだ。
「は、冗談だよ、冗談、いくらだって?」
「750円です」
長財布を取り出して、1000円札をだし、
「おつりはいいから、ドアを開けてもらえますか」
「かしこまりました。釣銭の250円は盲導犬協会へ募金させていただきます」
「ん、そう」
ギンレイはドアを開け、「ありがとうございました」と言って送り出す。
運転席のドアを開け、外へ出て、乗客がふらふらしながらも出入り口の自動扉へ無事に入って行くのを見送り、そして振り返り、
「やあ、今日の営業成績はどうですか?」
と、声をかける。
後ろにタクシーが停まっていて、運転席から出た乗務員がそのタクシーの傍らに立ち、じっとギンレイを見ている。
「教えてください。どうして霊力を使って乗客の住所を探らないのですか?」
「私は人間として乗務したいので」
「僕はあの老人の記憶を探ってあのアパートが住居だとすぐにわかりました。霊力を使えば安全に乗客を運べるんです」
「そうかもしれない。だが、霊力を使わなかったからあの優しい人達に囲まれた美しい光景を見ることができた」
「あなたは人間になりきって人間達の観察をしているのですか?」
「まあ、そうだ」
ずっと跡をつけてきていたタクシーのドライバーだ。人間の姿をしているが動物から派生した精霊であり、おそらく、
「君はミンクだな」
「はい、そうです」
「すまないがいま仕事中なんだ。また今度ゆっくり話をしよう。アパートの乗客にもマンションの乗客にもご満足いただけなかったことについては反省をしている」
「さっきの酔客は警察に出してよかったのでは?」
「いや、楽しそうだったので」
「楽しそうだった?楽しそうだったなんて、アパートの老人と真逆じゃないですか?昼間から客に酒を飲ませて酔わせる店になんか出入りして、高級なマンションに住んで、タクシーの運転手をまるで下僕のように、あんな偉そうな態度で」
「だがあのお客様はとても楽しそうだった。酒を提供する店のサービス力は素晴らしいと思ったよ」
「酒も、酒を提供する店も、必要悪とは思わないんですか?」
「私は酒を飲まないのでわからなかったが・・・」
さきほどのマンションと、さきほどのアパートの方を見て、
「この人間界では酒でも飲まなければやってられないって気持ちが、今日は少しわかったよ」
そのミンクは口を半分ひらいたままじっとギンレイを見つめる。
「それじゃあ、また」
運転席へ戻ろうとするギンレイ。その運転手が呼び止めるように、
「僕と一緒に戦っていただけませんか?」
ギンレイは運転席のドアを開き、身体を3999号車へ向けながらその運転手を見て、
「ミンクの仲間割れが起きている、だがリーダー格のミンクは知らない顔をしている、と、いうことだな」
「ど、どうして?」
「すまん、いまちょっと霊力を使って君の心の中をのぞいた」
「素晴らしいです。あの酔客に奥さんがいることも見抜いていた」
「君の名前を聞いておこう、私はギンレイだ」
「人間としては中川と名乗っています。ミンクとしてはマークです」
「マーク、また会おう。今日はまだ営業収入が3000円ほど足りないんだ」
「そのくらい、霊力を使えばいいのに」
「いや、飽くまでも人間として仕事したいんだ。ちなみにあの酔客に奥さんがいるとわかったのは薬指に指輪をしていたのを見たからだ。霊力で探りを入れたのではない」
「そうなんですか。じゃあ、八軒1条1丁目の交差点でパトカーから気づかれないように右折したのは?」
「ん?」
「あそこは7時から22時まで右折禁止ですが」
「・・・それは、パトカーが気づかなかった、・・・だけだろう」
ギンレイは渋い表情で3999号車に乗り込む。マークも複雑な表情で車に乗り込む。マークは山の手方面へ、ギンレイは燃料給油場のある中央区へ車を進める。
サザンクロスが、
「てっきり霊力を使ってパトカーの目をそらせたのかと思っていましたよ」
フレンドが、
「パトカーに追いかけられなくてよかったですね」
ギンレイが、
「やってしまった・・・」
あと2時間で今日一日の仕事が終わる。人間は疲れる。ギンレイには酒を飲んで気分転換をはかるようなことはできないが、一日が終わったあとの「達成感」は味わいたい。なんとかして初日の営業収入目標を達成したいところである。
それにしても、
「あいつは一緒に戦ってほしいと言った。戦っている相手は誰なんだ?」
気になることがまたひとつ。どうやらタクシー乗務を職業に選んだのは正解だったようだ。目につくこと、気になることが後をたたない。
*
タクシー車両は国やが認める「公共交通機関」です。地域住民にとって欠かせない生活インフラですが、人々の思いや社会の矛盾と感じるようなことを目の当たりにするギンレイです。
※この続きは明日、20日にも投稿されます。
<筆者より>
病院の名前を聞き間違えたり、泥酔客に「奥様を呼びますよ」と言ったり、メーターをストップして認知症の乗客とアパートを探したり、これは実際の出来事を元にしています。ラッピングカーが火を噴いたり、魔物が後部座席についたり、ミンクの精霊があとをつけてきたのが本当かどうかはご想像にお任せします。
*このお話しは連載中の「しあわせのたぬき」
https://ncode.syosetu.com/n8347hk/
シリーズもの別編です。




