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【MMT】現役世代に投資しない国、日本【過去の予算と令和4年予算を比較】  作者: 中将


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④MMT理論の課題と問題点

9、MMT理論の問題点


質問者:MMTという考え方は凄く画期的だと思います。ですが、世間にあまり広まっていないのはどうしてでしょうか?


筆者:一つは先ほど述べた他の通貨発行権を持っている先進諸国が少ないことによる固定観念。これが一つ挙げられます。

二つ目は“予算上限を定めるのが難しい“ことがあります。


質問者:え、どういうことでしょうか?


筆者:MMTの主な考え方としては『過度なインフレにならない限りにおいて、政府は借金をして支出を増やすべきだ』というものです。

ところがこの肝心要の“過度なインフレ”という定義がまず分かりませんし、どれぐらい公的支出をすればどれぐらいインフレになるのかも様々な因子がありますのでハッキリしません。このようなことからどれぐらいが国債を発行できる上限が見えてこないのです。


質問者:確かに、無限に国債を発行できないことを考えると上限を定めることが難しいのは危険ですね……。


筆者:そうですね。次の問題としては、国内のインフレの問題ばかりを見てきましたが国債を発行が多額になると“国際的な円の価値”が低下する可能性があります。

 言い方は悪いですが、これまでは他の国で戦争が起きると円高になる傾向がありました。円が安全な価値を感じる投資家が多かったためです。

 

 しかし、今は2月1日時点から比べて約10円ドル安がむしろ進行していっています。

 円の価値の下落というのは輸入品目の実質的な値上がりを意味します。食料自給率が40%を切っている日本としては見た目上の物価高だけでなくさらに上乗せの実質的な10%前後の物価高(全部の品目平均でも6%以上の物価高)を意味するのです。

 これは輸入品目は現時点では上がらなくても近々上がることを意味しています。価格に転嫁しなければ会社の経営危機に繋がりますからね。若しくは従業員の給与カットされてしまいます。給与カットだけはこのジワリジワリ全体物価高が進む中では最悪の選択肢だと思います。


質問者:なるほど、今の状況では国債を発行し続けることが更なる円安に繋がり日本人を苦しめる結果になる可能性もあるんですね……。



10、確かに対外資産は多いが……


筆者:話は変わりますが、MMTを推進している方では『日本はよく対外資産が多いから借金をしても大丈夫』という意見があります。それに対しては警鐘と反論しておきたいです。

 まず円借款という低金利での貸し付けがあります。これはほとんど政府開発援助(ODA)に近く、実は免除されていることも多いのです。一度の最大規模として最近のものとしては2014年にはミャンマーに対して5000億円の円借款が無償で免除されました。


質問者:えぇ……債権国とはいえ回収できなかったら問題じゃないですか?


筆者:これは日本の第二次大戦における太平洋諸国における賠償も兼ねている側面もあり債権放棄・免除することに関しては一概にはどうこういうことはできません。ですが、このような債権も“回収される債権”として“資産カウント”していくのはどうなのかな? というのが個人的な意見です。


また、一般的な貸し付けに関しても“借り換えを容認“することによって実質的な返済をしていない国もあると聞きます。そう言った”貸し倒れる可能性がある債権“や”短期的に回収見込みが薄い債権“というのもよく精査していく必要があります。

 これに関しては僕は調べてもよく分かりませんでしたので国のお偉いさん方が検討して欲しい点です。


質問者:なるほど……そういうこともあるのですね。


筆者:日本はあらゆる意味で“敗戦国“という足枷から未だに解き放たれていないと言えます。

 また、道路や橋といった明らかに他に売却できない資産というのも国の貸借対照表には存在しています。これらも含めて“資産が多い“と言われても正直言って困りますね。

いずれにせよ“資産“というのにはすぐに資金に換金できないものも多いのでやはり租税と国債とで対応していかないと厳しいモノがあるのです。


質問者:いずれにせよMMTを強く推進している人たちがいう程、日本の資産状況は楽観視すべき状況では無いんですね……。



11、それでも財政出動をしなければ日本は終わる


質問者:プラス面とマイナス面をそれぞれお聞きしましたが、結局のところ財政出動をしたほうが良いんでしょうか?


筆者:僕は“多少のリスクがあっても行うべき”というのが結論です。昨今様々な問題がありますが、お金による問題というのはお金でしか解決できません。今日、明日食べるものに苦労している人や、支払うことに苦慮している人に対しては精神論では解決できないからです。

 

質問者:なるほど……。


筆者:日本経済は失われた20年とも30年とも言われている状態です。更に感染症の問題で更に経済は落ち込んでいます。しかし、今大きく社会が変革している世の中だからこそ取り戻せるチャンスかもしれないのです。それには抜本的な考え方や発想の転換が必要です。特に、消費税の撤廃などはいま直ぐに出来ることです。

美辞麗句を政治家の方々は押し並べていますけど、それは国民生活を救うために何の役にも立ちません。

彼らは僕よりも遥かに学歴や経歴の優れた方々ばかりなのですから、多角的な視点でもって様々な角度から総合的に判断してもらって政策を決めて欲しいと思います。


質問者:辛辣ですね(笑)。それにしても、政治家の方々は国民のことを何とも思っていないのでしょうか……。


筆者:次回にも『日本の政治家は何故日本国民のために働かないのか』について解説していこうと思いますので、それについては少し置いておきます。


質問者:分かりました。


筆者:他国の戦争にもかかわらず円安が進んでいるのも日本に長期展望が見えないからだと思います。国債を上積みで発行しても海外からの長期的な展望が見えれば国際的な投資家の方々も再び日本の円に投資してくれようと思うのではないでしょうか? とにかく今の日本は改善しようという気概が見えません。


質問者:確かに、展望が見えない国に投資しようということは無いですよね……。


筆者:これはまた自論ですが追加の予算は“合理的な理由をつける”ことで国債を別建てすればいいと思うんですよね。例えば雇用対策のために使う“雇用対策国債”。少子化対策のための“少子化対策国債”など今ある建設国債みたいに名前を付けて使用用途を明確化し、同じ額を支出することで透明的な追加予算になると思うんです。


 今、MMTがネットなどで議論されていますが、何をどれぐらい追加予算を計上したらいいとかそう言った議論が少ないのが悲しいところです。それが、MMTの話から具体的な政治の話に結びつかない一因だと僕は思いますね。

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― 新着の感想 ―
[一言] まあ、MMTは『お金の理論』でしかない。言い換えれば『政策論』ではないので、どう運用するのかは自国通貨を発行できるそれぞれの国によるとしか言えない。 ……ただ、『一律10万円給付』 あれ…
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