第四話 決戦!巌流マジ!?
、【登場人物紹介】
・十逢 頼都
「Halloween Corps! -ハロウィンコープス-」の主人公。
黒づくめの嫌世的な青年。
正体は“鬼火南瓜”で、狩魔軍団「Halloween Corps」の隊長。
その出自から不老不死であり、地獄の炎を自在に操る。
・ロウ
「GUN-KNIGHTS - ガンナイツ -」の主人公。
荒野をさすらう極貧青年。
正体は魔銃騎士。
“失われた文明”である銃を使う騎士。
飄々としているが「戦場の悪魔」として恐れられた百戦錬磨の強者。
・???
今回の勝負の裁定人。
果たして、その正体は?
ここは巌流島。
いま、ここで二人の男が相対していた。
一人は宮頼都 武蔵…不老不死を持て余し、ヒマつぶしに「最強」を目指す男。
一人は佐々木 小次ロウ…極貧を貫き、宛てど無くさすらい「最強」より「食料」を求める男。
二人は互いにその存在を認め、遂に雌雄を決することとなった(べべーん ← 琵琶の音)。
ロウ「…ってことで、二大主人公共演となったわけだが…」
頼都「くだらねぇ…毎度毎度思うんだが、うちの作者はバカだな。バカだろ。バカしかねぇ」
ロウ「同感だが…招かれた以上、与えられた役割はこなさにゃならん。貴重な出番だし」
頼都「不定期かつ短編掲載作品のツライところだな」
ロウ「くあ、余裕の発言だな、オイ。元々はうちと同じ一話完結の短編作品だったクセに」
頼都「何とでも言え。第一、連載化だって辛いんだぞ。十乃の作品に比べて全然PV伸びねぇし」
ロウ「目ェうるんでるぞ」
頼都「やかましい。それより勝負だ、勝負。骨の髄まで焼き尽くしてやるから覚悟しな、極貧ガンマン」
ロウ「おーおー、不老不死の化け物はホントに余裕だね。なら、どこまで死なないか、悪魔のやり方で試してみるか」
頼都「Trick or…」
ロウ「作戦名『全殺し』」
???「ちょっと待った…!」
頼都・ロウ「!?」
???「せっかくの饗宴の夜に殺し合いは良くないぞ!」
頼都「お前さんは…」
ロウ「確か…」
陽想華「うむ!降神高校生徒会長、詩騙 陽想華だ!」
頼都「…あー俺、パス」
ロウ「いきなりどうした?カボチャの旦那」
頼都「俺、コメディ路線はちょっと…」
陽想華「ふむ?どういうことだ?」
ロウ「自覚ねーぞ、この生徒会長サマ」
頼都「…余計に危険なにおいがする…」
陽想華「何を案じているのか分からんが、この私が来たからには安心しろ。『万事急す』だ」
頼都「急するのか」
ロウ「『窮する』の間違いだろ」
頼都「あんたが言うと説得力あり過ぎるな、極貧ガンマン」
ロウ「うるせぇ。脳天に鉛玉食らわすぞ、カボチャ頭」
陽想華「とにかく、決着方法がただ切った張ったでは盛り上がるまい。ここはこの詩騙 陽想華に任してもらおう!」
ロウ「あんなこと言ってるぞ」
頼都「不安で心臓が止まりそうだ」
ロウ「呆気ねぇ不老不死だな…気持ちは分かるが」
陽想華「さて、では最初の戦いだ。一戦目は『アツアツ!おでん早食い競争』ー!」
頼都「待て。色々と待て」
ロウ「乗った!」
頼都「おいおい(汗)」
ロウ「飯が食えるなら、何だってやるぜ!」
頼都「プライドより飯の奴に何を言っても無駄か…」
陽想華「さて、それでは始めるぞ。各々の目の前にあるアツアツのおでんを先に食べきった方が勝ちだ。それではよーい…はじめっ!」
頼都「うおっ!?何で筋肉ムキムキのマッチョ共にいきなり羽交い絞めされなきゃなんねぇんだ!?しかも、アツアツのおでんを箸で掴んでにじり寄って来やがるし!」
陽想華「様式美というやつだ。気にしないでくれたまえ」
ロウ「ってことはまさか…うお熱っ!!!!」
頼都「バカ野郎、近付くな!それ以上近付いたら消し炭にすんぞ!」
陽想華「さあ、遠慮なく食べたまえ」
ロウ「ほっ!ふうう!熱っ!だが、久し振りの飯だ!全部食ってやる…!」
頼都「おい!マジでやめろ…ぶおっ!!熱っちい!」
陽想華「おやおや、十逢氏は熱に強いんじゃなかったかな?」
頼都「炎で傷つくことは確かにねぇが、おでんは別格だろ!ぶるああああ!デコにつけんじゃねぇ!!」
ロウ「はふっ!ほふっ!う、美味いっ!!でも熱いっ!!」
陽想華「対するロウ氏はいい根性見せているな…これは勝負あったか」
ロウ「うおおおおおおっ!完食っ!」
陽想華「勝者、佐々木 小次ロウ!」
ロウ「いよっしゃー!…って誰か水くれ、水!」
頼都「くそっ、くだらねぇ勝負だけに、負けた時ムカつく!」
陽想華「ふふふ…十逢氏もいい感じで盛り上がってきたようだ。では、第二戦と洒落込もうか!」
ロウ「おう!このままぶっちぎりで勝つぜ!あと、出来たら食い物系勝負で頼むぜ!」
頼都「まだ食うのかよ!?」
陽想華「第二戦は…『魚釣り』!」
ロウ「よっしゃ!釣った魚は食ってもいいんだよな、勿論!」
頼都「…また、しょうもない予感がする」
陽想華「こちらを見たまえ!」
どぉーーーーーーん
頼都「何だ、この布に包まれた怪しいデカ物は?」
陽想華「フッ…正体は、これだ!」
ロウ「水槽!?しかし、デケェな!」
陽想華「両氏にはこの中にいる魚を釣り上げ、その数を競ってもらう」
頼都・ロウ「…」
陽想華「む?どうした、二人共」
頼都「いや、よ…釣り勝負とか水槽とか、どうでもいいんだけどよ」
陽想華「うん」
ロウ「中にいるのは、どう見ても魚じゃなくて、人魚の恰好をした人間だろ…?」
陽想華「そう言うだろうと思ったので、説明しよう。まずは妖怪“磯撫で”の海桐 凪氏!」
凪「…!!………!!」
頼都「…水槽を叩いて、何かを必死に訴えかけているな」
ロウ「イケメンもこうなると無残だな…」
陽想華「もう一人…じゃなくて、一匹は“影鰐”の影流 鏡冶氏!」
鏡冶「……」
ロウ「こっちは諦め顔だな」
頼都「心底同情するぜ」
陽想華「最後の一匹は“悪樓”の勇魚氏!」
勇魚「( ≧▽≦)ノシwww」
ロウ「満面の笑みで手ェ振ってる…」
頼都「…心底呆れるぜ」
陽想華「さあ、見事この三匹を釣り上げた者が勝利だ!準備はいいかな?それではよーい…はじめっ!」
ロウ「はじめっ!とか言われてもな…こんなのどうやって釣るんだよ。普通にやっても、釣れないぞ、こりゃ」
陽想華「ちなみに自分の道具や能力を使うのもアリだぞ」
頼都「…へぇ。そいつはいいことを聞いたぜ」
ロウ「あん?どうする気だよ、カボチャの旦那」
頼都「こうするのさ…点火!」
ボッ!!
凪・鏡冶・勇魚「!?」
頼都「お前さん方には恨みはねぇが、こんなイベントに不用意に参加した我が身を呪うんだな」
ぐつぐつ…
凪・鏡冶・勇魚「「「熱いっ!!!!」」」
ばしゃーん!びちびち
ロウ「すげぇ!三匹全部釣り上げた(?)」
頼都「一丁上がりだ」
陽想華「勝者、宮頼都 武蔵!」
頼都「これで一勝一敗か」
ロウ「おう」
陽想華「さて、それでは最後の勝負だ」
頼都「やれやれ…ようやくこのバカげた勝負もおしまいか。せいせいするぜ」
ロウ「俺は飯が食えるんならもっとやりたかったな」
頼都「本当に意地汚ぇな」
ロウ「うるせぇ。食うものが無くて地虫を食う気分が、お前さんに分かるかってんだ」
頼都「確かにそいつは勘弁だ」
陽想華「最後の勝負は…執事勝負だ!」
頼都・ロウ「「はあ?」」
陽想華「二人にはこの執事服を着てもらう。そして、私をお嬢様役として、十分にもてなして欲しい」
頼都・ロウ「…」
陽想華「その奉仕具合により優劣をつけよう。名付けて『乙女の夢!執事ご奉仕対決』だ!」
頼都「…おい」
ロウ「ああ」
ごそごそ…ばーん!
陽想華「おおっ!二人共、執事服がよく似合っているではないか!やはり、私の見立ては間違っていなかったな!」
頼都「それでは早速ですが…お嬢様、紅茶でございます」
陽想華「ほう、気が利くな。では、いただこう。だが、私は最高級のダージリン以外は受け付けないから……」
がしっ!
陽想華「なっ!?」
ロウ「それでは私めがお手伝いさせていただきます」
陽想華「な、何をする!?」
頼都「何と申されましても、ティータイムでございます」
陽想華「ティータイムで、何故に羽交い絞めされるのだ!?」
ロウ「勿論、美味しい紅茶をお飲みいただくためですよ、お嬢様」
頼都「このアツアツグラグラの紅茶をね」
陽想華「ひっ!?」
頼都「…『乙女の夢』?迂闊だったな、生徒会長さんよ」
ロウ「個人的な欲望がダダ漏れだってーの」
頼都「今までの奇天烈な勝負方法で俺達を弄んだ挙句『執事』とか『乙女の夢』とか…そろそろお灸のすえ時だな」
陽想華「ま、待ちたまえ!話せばわかる!」
ロウ「問答無用」
頼都「さあ、おもてなしの時間だぜ」
陽想華「や、止め…やめて…ああああああああああああああああっ!!!!!!!」
この後。
勝負の行方がどうなったのか。
その全容は、深い闇の中である。
《完》
※次回は23時更新予定です。