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第一話 三度あることは四度ある

【登場人物紹介】

十乃(とおの) (めぐる)

 「妖しい、僕のまち」の主人公。

 お人よしで、人畜無害な好青年だが、天然の女妖殺し。

 降神町おりがみちょう役場特別住民支援課勤務。

 特殊能力なし、決め台詞なし、おまけにモテてる自覚なし。

 ハロウィンになると何かと受難。


乙手守(おてがみ) 文詠(ふみよ)

 「人妖抄録(じんようしょうろく)」に登場。

 真っ直ぐな努力家で、心優しい性格の女の子。

 降神町にある、とある郵便局で配達員をしている。

 正体は“文車妖妃(ふぐるまようひ)

 手紙や書物の中で朽ちた書き手の思念や怨念を、実体化させることができるが、本人が未熟なため、せいぜい空耳だったり、見間違い程度にしか認識されない。


柏宮(かしみや) 千尋(ちひろ)

 「妖しい、僕のまち」に登場。

 努力家で決して諦めない根性ガッツの持ち主。

 服飾ブランド「L'kono(ルコノ)」勤務のOL。

 正体は“機尋(はたひろ)

 自らの妖力(状況によって怨念も)を込めて作成した布類にかりそめの生命を与え、任意の対象を探索、或いは捕縛する能力を持たせることができる。


長久比(おさくび) 六佳(ろっか)

 「【6月6日「ろくろ首の日」記念短編】のびのび日和」に登場。

 やや垂れ目で、芸妓さんみたいに人受けが良さそうな女性。

 市内のとある企業に勤務するOL。

 正体は“轆轤首(ろくろくび)

 首を伸ばし、相手を驚かせ、恐慌状態に陥らせる妖力を持つ。


・フランチェスカ

 「Halloween Corps!-ハロウィンコープス-」より登場。

 正体は“雷電可動式人造人間フランケンシュタインズモンスター

 古風なメイド服に身を包み、百万馬力の怪力を誇る。

 小柄ながら、モンスターバイクを乗りこなすことができる。



巡「来ちゃったなぁ、ハロウィン。今年は何もないといいなぁ…毎年言ってるけど」


文詠「こんにちは、郵便でーす」


巡「あっ、乙手守さんじゃないですか!お久し振りですね!」


文詠「十乃さん!ご無沙汰してます!」


巡「もうすっかり一人前の郵便局員ですね。制服もよくお似合いですよ」


文詠「えへへ…ありがとうございます!」


千尋「こんにちはー」


六佳「お邪魔しまーす」


巡「柏宮さんに長久比さん!」


文詠「ちっひー!ろーちゃん」


六佳「ウソ!?ふーみん!?」


千尋「どうしてここに!?」


文詠「郵便物の配達だよ。二人共久し振りだね!」


巡「そう言えば、皆さん同期のセミナー卒業生でしたね」


文詠「そうなんです!でも、皆忙しくて、なかなか会うことが出来なくて…」


千尋「今日は、前に十乃さんに『たまには役場に遊びに来てください』って誘われたから、遊びに来ちゃったんだ。そしたら…」


六佳「ちっひーと偶然会っちゃってね。しかも、ふーみんまでここにいるんだもん、びっくりしちゃった!」


文詠「ホント、すごい偶然だよね…三人が三人共、ここに集まるなんて」


巡「もしかしたら…今日はハロウィンだからかな」


文詠「そう言えば…」


六佳「今日だったね、ハロウィン」


巡「ハロウィンは、元々はケルトの祭事で、現世と幽世(かくりょ)との間にある目に見えない『門』が開き、両方の世界を自由に行き来できると信じられているんです」


文詠「初めて知りました!」


巡「だから、本来会うことのない人達と出会うことが出来るのがハロウィンとも言えますね」


千尋「さすが十乃さんは、そういう方面に詳しいですね!」


巡「あはは、学生時代に勉強してたんで」


六佳「そっかぁ…じゃあ、私達がこうやって会うことが出来たのは、ハロウィンが起こした奇跡なのかも知れないわね」


千尋「それって、何かいいよね!」


文詠「ホント、ロマンチックな感じ!」


六佳「うふふ、それが本当なら、十乃君も意外な誰かと出会えるかもよ?」


巡「僕もですか…はは、個人的には出来れば今日一日は、出会いも無く静かに過ごしたいような…」


バルン!ドドドドドドドドドドドド…!!


文詠・千尋・六佳「!?」


巡「な、何の音…」


文詠「雷?」


千尋「何か、機械の音みたいだったけど…」


フランチェスカ「失礼します」


巡「あ、はい。こんにちは」


フランチェスカ「私はフランチェスカと申します。こちらに間車(まぐるま)様という方がいらっしゃると伺ったのですが…」


巡「間車ですか?はあ、確かにおりますが…失礼ですが、御用向きは?」


フランチェスカ「はい。実はこの前、私が“雷神(ドンナー・ゴッツ)”で走行中…あ、“雷神(ドンナー・ゴッツ)”とは私の愛用のバイクのGunbus 410FCフランチェスカ・カスタムなのですが」


巡「はあ…」


フランチェスカ「こちらの間車様に『走り屋として勝負をしやがれ』と挑まれまして」


巡「…」


フランチェスカ「私の予定が空き、天候および路面の状態も好調な様子なので、勝負をするには本日が最良と判断し、こうして参った次第です」


千尋「と、十乃さん?急に身支度を整えてどこに行くんです?」


巡「無論逃げます。あ、僕は今から早退しますので、皆さんこれで!」


六佳「ちょっと!(りん)ちゃんに会いに来たこの()はどうするの!?」


巡「申し訳ありませんが、僕は無関係です!帰らせてもらいます!」


文詠「ど、どうしたんですか、十乃さん!?すごく顔色が悪いですよ」


巡「間車さん絡みのスピードレースに関わると、毎回ロクでもない目に遭うんですよ!警察に追われたり、主任に追われたり!」


千尋「よ、よく分からないんでけど…何で間車さんのスピードレースと十乃さんが結びつくんですか?」


巡「僕自身もよく分からないんです!ただ、どういわけかレースと名前がつくと、僕が引っ張り出されるんです!」


フランチェスカ「あの、お取込み中すみませんが、間車さんは…」


巡「あ、間車さんなら駐車場をぶらぶらしていると思うので、当たってみてください」


フランチェスカ「了解しました」


六佳「行っちゃった…よかったの?あの娘」


巡「間車さんの居そうなところを教えたので、恐らく大丈夫でしょう。じゃ、僕はこれで!」


文詠「ほ、本当に帰っちゃうんですか!?」


巡「ええ。皆さんには申し訳ないんですが、このまま留まるとロクなことにならないのは明白なので!で、は、失礼します!」


六佳「十乃君も行っちゃった…このまま事務所空けていいのかしら?」


千尋「さあ…」


文詠「あんなに慌てて、よっぽどトラウマなんだね」


ブオン!ブオオオオオオオオオオオオン!!

ドッ!ドドドドドッドドドドドッ!!


巡「誰かああああああっ!!助けてぇぇぇぇぇっ!!」


文詠「…」


千尋「…」


六佳「…」


千尋「………ねぇ、今の…十乃さんの声だよ……ね?」


文詠「う、うん…」


六佳「輪ちゃんに捕まったようね…十乃君、本当に思わぬ出会いがあったみたい…」


※この後、三人はTV中継で爆走する車両の中で放心状態になっている巡の姿を見ることになる。



~おしまい~

※次回は20時に更新予定です。

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