イツカノキオク
初投稿作品です。
投稿頻度はまちまちになると思いますが、気長に読んでください、、、
□■ ???
どうしようか。
ああ。どうしたものか。
俺はどうしたらいいのだろうか。
『雑魚』『無能』『落ちこぼれ』『能無しは失せろ』『なんでお前なんかが』『弱すぎるわ』
頭の中で、いつもいつもいつも、聞かされていた言葉が反響する。
ああ。止めてくれ。お願いだ。
こんなチンケな言葉が、どれだけ僕を傷つけるか分かってるのか
見えないのか?苦しみ、震えながら必死に耳をふさぐ姿が。
分からないのか?言葉のナイフで切り付けられ、死にかけている僕の心が。
『お前のせいで、僕は』『何もできないのにでしゃばるなよ』『こっち来んなよ。雑魚が移る』
あぁ、ああ、嗚呼…。
どうして、そんなことを言うんだ。
俺が何をしたと言うんだ。
弱いのは、俺のせいじゃない。
じゃあ、誰のせいだ?
両親…違う。祖父母…違う。僕…そうだ。
才能が無いのが悪いんだ。全て、僕のせいだ。
でも、僕が何をしたというんだ。
昔から、人助けをした。人に優しくした。ゴミ拾いもした。
妹にだって優しくしてきた。
だけど、僕には、才能が無かった。戦う才能が。
探索者として生きるための力が、無かったんだ。
『大丈夫よ。あなたはただそれだけで―――』『安心しろ。お前は、俺が守ってやる』
温かい。温かい声。
聞くだけで、温もりを与えてくれる声。
懐かしい、声。慈愛の声。
だが、僕は知っている。
その言葉の裏に隠された諦観と安堵の思いを。
ねぇ、僕はもう、本当に要らないのかな。
『早く!早く逃げなさい!』『クソッ!なんでこんなところに…!』
待って。待ってくれ。
お願いだ。行かないでくれ!
僕を、おいていかないでくれ!
いつかの記憶が、遠ざかっていく。
温かい、それが遠ざかるのが分かった。
気持ちの悪い冷たさが、背筋に張り付く。
酷いめまいがする。吐き気がする。震えがもう、止まらない。
どうしてそんなに、戦えるんだ?
どうして、戦うんだ?
何のために、戦うんだ?
だってそんなのもう、必要ないじゃないか。
『大丈夫だ。だって、お前は俺たちの自慢の子だからな!』
嘘だ。嘘だ嘘だ嘘だ。
嘘だと言ってくれ。
そんな温かい言葉、全部嘘で偽りで取り繕いで、本心だなんていわないでくれ。
だって・・・・・だって・・・・・・そんなこと言われたら、
『あなたが、家族を守ってあげて…』
僕に残された家族はもう、妹しかいないじゃないか。
ダメだよ。僕なんて…僕なんか…。
家族を…大事な人を守る力なんて……ないよ。だって、自分を守る力すらないのに。
いつも守られてばっかりで、でも、そんなことにすら気付かないで…!
僕じゃなくて…。助けて。助けてくれよ。誰か。
僕に力をくれよ。人を、大切な人を守れる力を…。
「……!」「!!!」
んあ、誰かが。誰かが、呼んでいる。
まだだ。まだ、待ってくれ。僕は…。
「…に…ちゃ……きて!」「…!」
強く…強く強く強く強く。
僕は…僕は…――――――
どうしようもなく、最強に、なりたかった。
けど、もう・・・
ムリ、みたいです。
良ければ、☆や感想をください。
今後のモチベになるので。