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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

春夏秋冬

フユ

作者: 柏木ひな

読みにくい箇所や事実と多少違う事もあると思います

ご指摘くだされば直しますので教えてください


粉雪が好きでそれを表す好きな表現を使いました

少しでも皆様に伝われば幸いです

季節は木枯らしの吹く寒い季節だった

街行く人々はコート等で厚着をして歩いている


そんな寒さの中男はゴミ箱を漁っていた

アルミ缶、漫画雑誌、新聞紙、色んな物を漁っていた

男の服はボロボロで軍手も所々穴が空いている


今日も90リットルの袋いっぱいのアルミ缶をいくつも背負い買い取ってくれる廃棄産業場へ行く

そこでは古雑誌等も取り扱っているため、漫画雑誌や新聞紙等も集めていた


辺りが暗くなり夜になると男は動く

最初は駅構内や駅ビルのゴミ箱を漁る

駅ビルが閉まり駅が終わる頃には公園や街路等のゴミ箱を漁る

その作業を朝まで続け、朝になると廃棄産業場に持って行き、河川敷の橋の下の段ボールと端切れ板とブルーシートで作った簡易な家に戻り商売道具のリアカーを置く

そして公園でやっている炊き出しを貰いに行き一日の食事をすまし家に戻り夜まで眠る

この繰り返しの毎日である


男の住んでいる小屋の河川敷の反対側を見上げると立派なオフィス街になっている

男はたまにそこをぼんやりと見上げている

男は以前はオフィス街側の人間であった


男は実業家であった

最初は小さくもどんどん成長し上場企業にまで発展させた

結婚もし子供も生まれた

可愛い女の子だ

とても恵まれた環境であった


しかし社員の一人が不祥事を起こし瞬く間に会社は倒産、家族は離婚、立派であった一等地の一軒家まで売り男は全てを失った


どうして俺はここにいるんだろう


今は不祥事を起こした社員への恨みも長年のホームレス生活で消えていた

ただ河川敷のこちら側と向こう側の差をぼーっと見上げるだけであった

戻りたい、そんな気持ちももうとうの昔に消えていた

いつも河川敷の向こう側の景色を見ながら男は眠りについた


眠りから覚めお金を集めに行く支度をし駅に向かった

今日は小雨が降っていた

駅に向かう途中いつの間にか雨音は消え空から雪が舞い降りてきた

男の頭や肩に舞い落ちる粉雪が寒さを一層際立たせる

男は寒さを我慢しいつも通りゴミを漁っていた


おかしい

男はいつもと違う異変に気付きながらもいつも通りの作業をしていた

駅が終わる頃いつもの街路を歩きながら自販機を見つけてはアルミ缶を拾っていく

そして男がいつも行く公園に辿り着いた


やはりおかしい

目の前は霧がかかったように霞み始め足が鉛の様に重い

リアカーを引く腕にも力が入らなかった


少し休めば落ち着くはずだ

男はゴミ箱近くのベンチに座り一息ついた

落ち着きベンチから立ち上がったとたん異変が起こった

何も見えなくなり力が抜け男はその場に倒れ込んだ

男は指一つさえも動かす力は残っていなかった


粉雪はハラハラと舞い降りた

この季節で粉雪が降る夜になると人通りもまばらである

誰一人として男に気付く事はなかった


翌朝ジョギングをしていた女性がいつものコースの公園を通るとびっしょり濡れたゴミの山のリアカーとぐっしょりと濡れた倒れた男の遺体があった

女性は驚き悲鳴をあげそれに気付いた近くの通行人が119番通報をした


普段の生活から一変して慌ただしくなった公園で男の顔はとても安らかに眠る様であった

これは作者が中学の時に書いた処女作です

色々手は加えてますがもう20年以上も前の作品です

春夏秋冬シリーズはここから始まりました

季節と死

この二つを結び付ける話をずっと練っていました

20年以上の前の作品を手直しして世に送り出せたのは嬉しいです

ご感想やご指摘など頂けると嬉しいです

読んで頂きありがとうございました

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― 新着の感想 ―
[良い点] 全部のシリーズ読みました。 描写がリアルで読み入ってしまいました。 学生が書いたとは思えないほどの表現力です。 [気になる点] 全ての主人公の結末が死であること 経験しなければわからない表…
[良い点] 実業家であったてん。 [気になる点] 厚着をして歩いているてん。 [一言] と舞い降りたてん。
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