第三話 奴隷
「痛い…」
俺はそう言いながらパッと目を開ける。俺はいつの間にか横たわっていた。体はだるかったがそよ風がとても気持ちがいい。
俺はなんとか体を起こす。どうやら草原のような場所のようだ。
頭痛がするが、これはきっと神の言っていた言語理解のためなのだろう。脳に直接なんたらと言っていたしな。
「まずは状況確認だ…」
ここはさっきも言った通り、草原のようだ。野生のポ○モンに出くわしそうなほど周りは草原だらけだった。
そしてその草原の中、一つ存在感を主張しているような荷車一つがあった。
どうやら、これが神に頼んでおいた物資なのか。
だがそれにしても、
「ここが、異世界か…」
そう思わずにはいられない。
俺が何年間も憧れ、いつかは行ってみたいと思っていた場所。魔法があって、勉強しなくていい楽しい世界。
俺の夢みたいな物が叶った瞬間だった。
スポーン地点が草原だから実体感が湧かないが…。
「とりあえず、行動しよう」
考えていても始まらない。まずは、物資の確認かな。
俺は近くにある荷車を引き寄せて、中身を確認しようとする
いや荷車というより、馬車の馬がないバージョンのようだ。
神様仕事してくれ。馬車から馬とっても車にはなんねえよ。
俺は中に入った。少しボロく、キシキシと鳴っているが、すぐ壊れそうなわけでもなく、俺は一つずつ丁寧に何があるか探して行く。結果食料、小麦、衣服、アクセサリ、武器など様々な物があり、どうやら少しの間だが充分に生活でき、商売もできそうであった。
だが問題が一つあった。
人里がどこかだ。
地図もなければ、看板もない。
要するに道が分からん。
物資の中にも地図がなく、相変わらず気がきかねえなと思ったがこうなってしまってはどうしようもない。
取り敢えずは適当に歩いて行こう。
「く、くしゅん」
そんな時だった。荷台からくしゃみが聞こえてきたのは。
荷台に誰かいる?
俺は警戒しながら、荷台の中に入っていく。
敵ではない方がいいが、是非ともカウンターを試していきたいところはある。
俺がゆっくりと進んでいくと、まだ見ていない奥の場所から寝息が聞こえてきた。
そこには美男子一名と美少女二名、合わせて三名の手錠をされたいわゆる奴隷らしき人がいた。