表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/19

5 襲いかかる脅威

な、なんだ・・・。なんだって言うんだ。斬られたはずなのに傷一つもつけてない。ましては死んでもいねぇ。わかってくれ。アイツに斬られたんだ。だけど生きてる。だが痛みだけが感じる。




時は遡る。


家康、源氏、咲、光、秀美、サリーと平香はお台場にあるショッピングモールで買い物しに来た。


「ところで家康くん、なんだその服は?」


見てみると、家康のTシャツにはアニメの絵が描かれていた。


「知らないのかい、『マジカルアイドルハイスクール』の水瀬絵梨だよ」

「着ていて恥ずかしくないのかい?」

「これぐらいどうだってことはない、平香もロリータファッションをして平気だから。そんなことより君もオタクだからそうしたっていいんだぜ?」

「これを着るのはアキバとブクロぐらいだよ。こんな公共の場で恥ずかしくて着れないよ」

「消極的だなぁ、もっとポジティブにいこうぜ」

「いや、すごい目立つほどのインパクトだが・・・」


秀美がツッコんだ。

家康がスマートウォッチで時刻を確認すると「そろそろおなか空かない? 鴨鍋食べたいな」とみんなに言いだした。

するとどこかで叫び声が聞こえた。

家康も叫び声の元へ向かった。



駆けつけると、一人の女性が男性の集団に絡まれていた。

家康が笑顔で止めに入った。


「おいおい、その辺にしておきな。彼女が困ってるんじゃないか」

「あぁ~ん? ガキが、名を名乗れ」

「俺は、徳川家康だ」

「トクガワ・・・イエヤス・・・?」


周囲がその名前にどよめきだした。

男の集団はしばらく黙った後、大声で笑いだした。その途端、家康の過去の記憶がフラッシュバックした。


「おまえ、マジで言ってんの? 徳川家康って・・・ お前ふざけてんじゃねぇのか? 馬鹿な名前を考えたなぁ、お前の親は。それにこの服装、親も本家将軍もあきれてるにちげーねぇ!」


さらに大声で笑いだした。家康は無言のまま下を向いた。


「いい加減にしろ!」大声で怒鳴ったのは光だった。


すると、家康が突然笑いだし、一斉にドン引きした。


「そうだよな、おかしいよな。こっちも笑っちゃうくらいだ! 俺もおかしいと思ったのさ、なんて名をつけたのだろうな俺の親は。納得するまでバカにすればいいさ!」


ケラケラと偉そうに笑いだす家康。

集団は呆れた顔をして「へっ、わかったよ。彼女に近づくなっていうんでしょ。今はこの辺にしとこう。だが、次あったら容赦しねぇからな」そういって彼女の拘束から解放され、「じゃあな、将軍さんよ」と高らかに笑いながらこの場から立ち去った。


「おい、家康、大丈夫か」

光が家康にそっと声を掛けた。


「え? あぁ気にすんな! これぐらいどうだってことねぇよ!」


いつもの笑顔を見せた家康。他のみんなは心配そうに家康を見つめていた。




その日の夜のこと、王子の川を流れる公園の高架下で、助けてほしいというSNSの反応を聞きつけ、東京捜査部が集まってきた。


「で、どうするの? またアイツらだぞ」


その助けのあるじはショッピングモールで助け出した女性だった。


「アイツら、二度と手を出さないって言ったろ」


光は大きくため息をついた。家康は無言のままだ。




午後9時をまわった頃、家康は一人、黒いパーカーをフードで顔を隠しポケットに両手を入れながら、あの日起きたショッピングモールにいた。店舗はすでに閉店し、ところどころシャッターが下ろされている。

誰かに見られている。一人ではない、複数いる。横から昼間の大男が姿を現し、こちらを恨み目線で近づいてきた。


「よぉ、将軍さんよぉ〜。一人で来るとはいい度胸だなぁ」


「一人じゃないぜ」と答え、フードを取ると同時に素顔を見せ、「彼女が大事なものをお前が持っていると噂で聞きつけた。返してもらおう」と本来ならば怒りを込めていると思いきや、普段ののほほんとした雰囲気で言った。


「ふん、タダで返すとは思うなよ」

「そうくると思ってた」

ヤンキーが刀を取り出した。


「ほぉ〜。そうくるか」


家康は納得するかのようにぼやき、家康も刀を抜こうとしようとした。と、とっさに相手のヤンキーから刀を構え、斬りかかった!

家康はその瞬間、独自の抜刀術でヤンキー大男を一瞬で斬りつけた。ヤンキー大男も奥から手前を倒すように刀を振り落とした。

その瞬間、一体どっちが勝ったか周りの人はうずくまった。何秒間両者とも同じ体勢を取っていたが、ついにヤンキー大男のほうが先に倒れた。同時に家康は斬る体勢から元に戻した。勝者は家康だと誰もが確信するはずだった。


すると、ヤンキーが起き上がった。ヤンキー大男の斬りついたあとには血が吹き出すどころか斬り口もなかった。


「安心せえ。単なる峰打ち・・・だ。俺は無用な殺生は好まないものでね」


と余裕の表情をする家康に男は憤り、


「なにぃ!? 馬鹿にしやがって!!」


家康に向かって思いっきり剣をふりかかろうとしたその時、


「あいたたたたたたたたたあ〜ぁ!!!!」


突然大男に斬ったところから激痛が走った。


「だが、その痛みは精神が思いやられるほど残る。命拾いしてもらったことをありがたく思え」


「や、野郎・・・。よくもリーダーを!!」


周りのヤンキーたちが一斉に刀や棒、バット、さらには釘バットを構え家康に襲いかかった。

一人は刀を縦に振りかざすも弾かれ、バットも棒もごとごとなく弾かれた。

一時、家康は苦戦を強いられたが、家康の見事な剣さばきになすすべなく、次々とヤンキーたちは倒れていった。それでもやはり斬られたヤンキーたちに血は出していなかった。しばらく経ってヤンキーたちに激痛を訴える嘆き苦み身体をうずくまり、バタバタした。ふと思った家康は最初に斬りかかったヤンキーに近づいた。


「や、やめてくれ・・・」

「そうじゃない。ちょっと見たいものがあってな。上半身裸になってもらおう」

「裸・・・だと・・・」


ヤンキーはとくに脱げと命令させたわけでもなく、なんも抵抗することなくその場でTシャツを脱いだ。

脱ぐと、今度は背を向けと命令させ、ゆっくりと背を向くと龍の刺青が描かれていた。


「やっぱり・・・」


家康は何かを確信したそうだ。とっさに家康はスマートフォンを取り出し、その刺青の写真を撮り続けた。


「ほーら、いい写真撮れるじゃん~♪」


すっかり気を取られると、


「見させておいたよ」

声の主は秀美だ。


「お、お前いつの間に!」

「やはり只者の剣客じゃないわね」


「ところで、その刺青を調べて何か思いついたの?」

「こいつは・・・、親父がもっとも嫌われ者だったヤクザ集団にちがいない・・・」

秀美は少し驚いた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ