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ジャグリング

   ☆


 二〇〇七年、ぼくは市内の演芸場に勤めていた。ここには漫談、紙きり、マジック、漫才、曲芸など寄席を披露する場であった。名も知らない人ばかりだが、東京の演芸場では毎日寄席をやっていた。静岡でも毎日やることになったため、従業員を募集したので自分が入った。

 そして道具運びなどの黒子となった。常に袖にいて、演者を見れるわけだ。

 マジックはタネもわかるが、曲芸は練習のみ。大道芸と考えればいい。その曲芸に必ずお手玉が基本になる、ジャグリングがある。ぼくはそれに興味がわき、練習を始めた。四十一のときだった。

 とにかくボールと手、目の位置に早くなれることを感じたので、常に丸めた軍手をポッケへ入れていた。布で軽いせいか風で舞うこともあったが、練習するとはまった。仕事中や自宅でもやる。お手玉はなかなか困難である。一度成功すると得意げになるが、次にやると失敗する。それになぜか軍手が前進してしまう。これは相当な訓練が必要と察した。

 仕事場の朝も練習し一週間がたつとそれでも三回連続で、できるようになった。そのころボールに慣れたくなり、百金でテニスボール三つを買い練習した。ボールは重みもあり風には強いが落とすとあちらこちらに転がるのだ。拾いに行くのが大変になり、再び軍手で練習する。

 そして基本のパターンが二十日ほど掛かりできた。前にも出なく、連続でできるようになった。でもそのころ、ジャグリングは何種類もの回すパターンがあるのを知った。ぼくはようやく基本パターンができ、何種類のパターンも練習するのかと少し憂うつに思った。

 その後、一カ月がたち、二カ月、三カ月がたったころ基本は安定し、半年が過ぎると何種類もジャグリングができた。会社はぼくの練習を生かし、ミニミニ大道芸を団体相手に披露することになった。道具も本物を買ってくれぼくは舞台に立った。少しは緊張したが、経験をつみこなせるようになった。しまいにはボール四つになった。これはさすがに大変だが日々練習しできるようになった。

二〇〇八年二月下旬、ぼくはすんぷ演芸場を辞めた。理由は寄席がなくなったためだ。

また職探しとアマ作家活動になる。せっかく得たジャグリングの腕を落とすのはもったいない。図書館の広場で開館前に練習した。それは三十分以上は行った。

 四月初旬、朝の練習を終えて図書館のいすに座ると、腰に激痛が走った。

 これは癖になっているぎっくり腰と感じた。立つときなどかなり痛かった。でも三日ほどでいつもは痛みが治まるので、そのまま物語を書いていた。トイレへ立つときなど、次第に痛みが増す。朝の練習がわるかったのはわかるが、今まで一年練習したが、これほど痛むことはなかった。その日が木曜で、翌金曜は少し治まる感じだが、図書館でトイレへ立つときは痛い。実はこの時点でコルセットをすることや医者へ行くべきだった。

 腰は痛むが独り生活だ。トイレやご飯の支度、風呂などを自身がやらなくてはならない。

 腰をカバーするのか、次第に背中も痛む。土曜は最悪だ。起きるとき非常に痛む。背中、腰はどうなっているのか。起きるまで時間は掛かり、トイレに座っても痛む。腰はどうしたのだろう、と。

 この時点でもコルセットはしなかった。この日は図書館はむりと判断し、一日寝ていた。一日アパートにいるのもつらいが飯の支度はもっと大変だった。日曜は土曜よりよく

なりここでコルセットをした。まったく遅いと今から後悔する。

 月曜もまだ痛むので接骨医へ行った。何度も行ったことのある接骨医はお決まりの低周

波やマッサージだったが、それでも少しはよくなった。なぜ医者を拒むのは、お金が掛か

るため。無職はなるべく金を掛けたくない。でも今回は整形外科へ行くべきだった。四十

二となり厄年でもあり、体が悲鳴を上げていたのだろうか。むりな技のジャグリングをや

ったのがいけないのか、とにかく腰は大事なことを、独り生活で身に染みた。



ギックリ腰は2度となりたくないですね。

腰をかばい気を付けてください。

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