はまじ、嫌々耳鼻科に行く(脚本)
ブログの方でリクエストがあったので書きました。
よかったらお読みください。
☆
まる子が教室へ入るところ。
席に座っているたまちゃんへ向けた。
(まる子)おはよう
(たまえ)あ、まるちゃん、おはよう。
(まる子)今日の体育嫌だねー。
(たまえ)うん、リレー大会の練習だもんね。
まる子は教科書を机にしまう時、前席のはまじが机で寝そべっている様子を見る。横のブー太郎も心配の様子。
(まる子)はまじなんかあったの。
(たまえ)なんか、耳が痛いだって。
(まる子)えー、耳が?
(たまえ)そうみたい。なんか耳鼻科に行きたくないっていってて、そのまま寝そべってるよ。
(まる子)寝そべってるなんて珍しいよ、あんたも危機になるんだね。
と、まる子は寝そべる背中へ向ける。
はまじはゆっくりと振り返る。
(はまじ)聞こえたからな、オレだって人間だぞ。
(まる子)ごめんごめん、耳痛くても聞こえるんだね。
(はまじ)おー、嫌な耳鼻科に行かないとならん、やだぜー。体育休むからな…
はまじ再び寝そべる。
(たまえ)なんか耳鼻科って耳や鼻をいじるからわたしも嫌いなの。
(まる子)わかるよ、鼻とか奥まで入れられたことあった。あたしも大ッ嫌い。はまじの気持ちはよーくわかる。
まる子とたまえは、うつ伏せのはまじを見守る…
キンコンカンコーンーー
落ち込んでいるはまじ、耳を気にしながらランドセンを背負う。
(まる子)ねぇ、なんで耳が痛くなったの?
(はまじ)…昨夜なんだ、左耳が突然と痒くなったもんで、母ちゃんのひざ枕で耳かきをピンどめでやってもらったんだ…
(たまえ)えー、ピンどめ?
(はまじ)おお、それしかないからな、気持ちよかったんだけど、母ちゃんがぶつぶついってるときにだ。あーーいてーよー、となったんだ。なんかでかいのがあっただと。それからやめてもらって痛くなったんだ。それで耳鼻科へ行けとなった。帰ったら机にお金と保健証が置いてあるはず。
(まる子)ピンどめでわたしもたまにほじるよ。で、医者に行くんだ。
それを聞いたたまえは首をかしげた。(まるちゃん、ピンどめはよくなさそうだよ)
(はまじ)仕方ない、母ちゃんに怒られるし…
暗いはまじにまる子は思いつく。
(まる子)たまちゃん、はまじの応援にいかない?
(たまえ)そうだね、こんな落ち込みは珍しいからね。
(ブー太郎)オレも行くブー。
(はまじ)なんだよ、応援って…
といい、うつむいて教室を出た。
はまじが暗いと、3人も暗そうな表情になり続いた。
3人は曲がり角で一度別れた。
(まる子)ただいまー
まる子はいそいそするが、母のいる台所で立ち止まる。
(まる子)母さん、はまじが耳鼻科に行くんだって、それでとても嫌そうだったので、はまじを応援に行ってくるよ。
(すみれ)耳鼻科に行くの、それはかわいそうね。
(まる子)あのはまじがだよ、1日暗くて死んでたよ。
(すみれ)浜崎くんもそんな時があるんだね。まあ、励ましてやってきなよ。でも患者さんに迷惑かけないようにしなさい、病院だから。
まる子は部屋の机にカバンを載せると部屋を出た。
(まる子)いってきまーす。
はまじの家へ向かう。
途中、たまえ、プー太郎と会う。
楽しそうに3人は歩く。
「浜崎家」の表札のアップ。
ちょうどはまじが玄関から暗く出て来た。
(はまじ)なんだ、来たのか…
その時玄関が開いた。
(辰五郎)の~り~た~か~、忘れもん~。
辰五郎の手には保険証があり、はまじは渋々取りに行く。
(たまえ)はまじ、元気出して。痛くないかもよ。
(まる子)そうだよ、耳鼻科に行くだけで痛いなんてわからないよ。
(ブー太郎)そうだブー!
もはや死神にでも取りつかれる顔である。
(はまじ)わかるんだ…、1年の時に行ってとても痛くて泣いて耳アカを取ったんだ…
小1時代の泣いている回想シーン。
はまじは死神そのもので答えながら前を歩いた。その後ろをさっきまで楽しかったまる子たちも続いた。まる子ははまじの後ろを歩く。
(たまえ)ダメだって、はまじの応援に来たんだから、同じになってる。
(ブー太郎)そうだブー。はまじ、オレたちがいるからな。
(はまじ)…ブー太郎も痛かったことあったろ…
(ブー太郎)そうだブー。
ブー太郎も過去の痛かったことを思い出す。
(たまえ)だからって、そんな落ち込んでいないでよ。
まる子ははまじの後ろにいるので同じ死神状態だった。
(たまえ)まるちゃん、まるちゃん、まるちゃんってば!
(まる子)…ああ、たまちゃん。わたしなんかあった?
洗脳状態から解かれ我に返った。
たまえははまじを指す。
(まる子)そうそうはまじ、わたしっちがついてるからね。こうなったら応援しよう。いいね、たまちゃんとブー太郎。いくよ、フレー、フレー、はーまーじー、それーー!
まる子は突然大声になった。すると、
(たま&ブー)フレフレはまじ、フレフレはまじ、がんばれがんばれはまじ、がんばれがんばれはまじ!
まるで運動会の各教室の応援だった。
バシャっと近所の家の窓が開き、頑固じいさんがにらんでいる。
(はまじ)おいおい…、こんなところでよしてくれよ…
(まる子)これだけいってもダメかー。どうしよう?
まる子、たまえ、ブー太郎は3人でなにやら相談。
はまじはずんずん医院へ向かって行く。
先回りした3人はあることを試す。それは10円を落としておく。いつものはまじなら、拾ってとても喜びそうだからだ。
しかしだった。はまじは落ちていた10円を見ず、死神のまま通過してしまった。
(まる子)こんなことってあるんだね、これではいつものはまじにもどらないじゃん。
すでに耳鼻科まで数十メートル。
(ブー太郎)野口だブー。
ブー太郎は耳鼻科に入る野口を指した。
(たまえ)野口さん耳鼻科に入ったよ。
(まる子)ほんとだね、耳かな。
3人ははまじの入るところを見届ける。
はまじは受付を済ませた時、野口が座っていることに気づく。
野口は耳を押さえていた。はまじは待合室の後ろに座った。
(はまじ)(野口も耳が痛いんだ)
(看護婦)野口さん、野口笑子さん。
野口は診察室へ入った。
(はまじ)(野口は耳が痛くても治そうとしている。オレは嫌々来ている…)
野口さんの勇気を見たはまじは、徐々に思いが変わる。
(はまじ)…なんか野口はなにも嫌な顔をしていない。オレは女子に負けてるのか。いやいやダメだ、オレは男だ…
よし!
そうつぶやくと、1度外へ出た。
3人が外で笑って話していた。
(はまじ)おーい、さくらっち、オレは大丈夫だ。野口がいたんだー。
と、さっきの死神は消え、これからだれかと対戦でもするような、りりしい表情となっていた。
はまじは耳鼻科に入った。3人はなにがあったんだと、ポカーンとしている。
その時、声が掛かる。
(友蔵)おや、まる子。
小さなバッグを持った友蔵はにこにこしている。
ブー太郎とたまえはあいさつをした。
(まる子)おじいちゃん、どこいってたの。
(友蔵)敬老会の寄り合いにな、まる子たちはなにをしているんだ?
(まる子)はまじが嫌々耳鼻科に行くから応援に来てさ、ずっとしょんぼりした死神みたくてね。
(友蔵)ほー、あのはまじんが。
(たまえ)それが野口さんも耳鼻科に入っていて見つけたらしいの。そうしたら、まったくの別人に変わった戦士のようになってさ。
(友蔵)ほー、はまじんは行きたくない耳鼻科に行くのをまる子たちが応援に来たが、まったく動じず暗く医院へ入った。だが野口さんを見つけたら立ち向かう戦士になった…
「はまじんよ、原石を見つけ、魔法とく」友蔵心の一句をはまじんへ…
(まる子)なにそれ、はまじなのにいつもおじいちゃんは、はまじん、だもん、ゲラゲラゲラ。
(たまえ)ハハハハ、面白いです。
(ブー太郎)ブーブブーブブーブーブブブ…
それぞれが友蔵へ笑っていた。友蔵は出来の悪さを思い、また考えようとする。が、手を叩く。
(友蔵)そうじゃ、これまる子に上げるつもりだったけど、みんなで食べなさい。
おまんじゅう、安部川もちをバッグから出した。
(まる子)えー、わたしにくれるはずだったの、でもみんなで食べようっと。
(たま&ブー)うわー、ありかとうございます。
そして4人で来た道を戻っていく。
その時、耳鼻科から野口が出て来た。そしてさくらたちの後ろ姿を見ている。
野口は何かを感じ医院の先の電柱へ隠れる。
数十分後、勢いよく扉が開いた。
(はまじ)おーい、ブー太郎っち! あれ、どこいったんだオレの応援団は…、せっかく薬だけになったというのによ…
はまじは辺りを見回す。
電柱の陰からは笑い声。
(キートン)はまじは野口さんから勇気をもらったというのに、実は鼻の治療の彼女のおかげで元気になった。応援団は、はまじの元気になった顔を見たので、おいしい食べ物を食べながら楽しく帰ってしまったのだった。
(野口)あんたが耳痛そうだったから演技したんだよ。わたしは鼻なのにね、クックックックッ…
(了)
実際に耳鼻科へ行ったのです。外耳炎でした。点耳薬という聞きなれない薬をもらいました。
いまだに治らない雰囲気です。