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はまじの危機 少年から中年編

だれでもある災難を書いてみました。よろしければ読んでください。

      ☆


 三十八歳の自分が今まで危機に遭ったの思い起こしたのを箇条書きに書くとこんな感じになる。

一、小学校三年時、戸川先生に殴られる。(九歳)

二、中学校一年時、カツアゲされた。(十三歳)

三、高波でのサーフィンで流された。(十六歳)

四、スケートボードで大転倒。(十七歳)

五、チンピラ的な男に追いかけられる。(十六歳)

六、腰の骨を折り入院する。(二十五歳)

七、陰部のコンジロームを焼く。(二十六歳)

八、脅迫状が送られて来た。(二十六歳)

九、酒気帯び運転で逮捕。(三十五歳)

と、こんな感じが危機と感じた。

一は『僕、はまじ』(彩図社)で述べ、三、四、六、七、九も他の文章として書いてある。そのため、ここで述べるのはカツアゲ、チンピラ、脅迫状になる。



中学一年時、僕と友人タカオは制服で学区外に行った。当時、学区外に行くには学生服でないと行けない。それを忠実に守り制服で買い物をしに行った。西友デパートをブラブラして屋上のゲームコーナーにいたら、四人のガラの悪い私服の不良たちに話しかけられた。『にいちゃん、金はあるか?』とリーダー的なやつに言われた。初めわからず僕らは黙っていた。『金貸してくれよー』と。とっさに揺すりとわかり、持っていない意志を言う。『どう、財布の中見せろ!』と、僕らは四人に囲まれた。だんだん恐怖感が襲い仕方なく財布の中を見せた。僕が四百円でタカオが七百円持っている。『じゃ、お前三百で、そっちは五百だ』と手を出していた。四人が僕らを睨み見てまわりを気にしていた。恐怖のあまり、それにしたがった。僕は幸いタカオより持ってないので三百円。タカオは五百円も取られた。当時五百円は紙幣もあり一応大金だ。そして、その不良らは最後に、『絶対警察に言うなよ』と捨て台詞まで言った。

僕とタカオはショック状態だった。当然、暗く自転車で帰り、カツアゲに遭ったのが恥ずかしく、警察や誰にも言えなかった。二人の秘密になった。



次にチンピラ的な男に追いかけられる話し。

東京新宿区に住んでいた時、求人誌を見てバイトの面接に行った。場所は新宿の町中で年令も十六歳から募集していた。早速、面接に行く。自転車で着くと十一階建てマンションだった。面接に行くY産業は七階の一室で、中に入れば十六畳程度のワンルーム部屋であった。

 僕を迎えたのは背が小さく、頭髪は茶色のパンチポーマで色黒顔の大阪弁人であった。

 彼が面接するようだ。つまりパンチパーマ男が社長らしい。まだ若い。年は二十歳位だ。面接した仕事の内容は表札売りの営業だった。それは家庭を訪問して売る商売だ。

 当然、僕は営業経験がない。でも未経験のほうがマニュアルを覚えれば出来るという。

 マニュアルとはセリフを覚えること。肝心の給料は歩合で無理と思った。もう一人、入り口の所に人がいた。背は高く髪の毛はスポーツ刈りで、やや太った無表情の男がいた。

 この男はただ入り口に立っているだけで、僕は面接中、入り口の男は何なんだと不思議に思っていた。

面接は即決で僕みたいな若い男が欲しかったらしい。多分、自分がまだ二十歳そこそこだから、年上では使いにくいだろう。

面接を終えたら僕に暇か聞いてきた。暇ならここにいてくれという。僕は暇だったから残った。室内にいると頻繁に電話がよく掛かってくる。まだ何人も面接があるようだ。

僕が残ったら入り口に立っていた無表情の男を帰した。そして、面接になった時に今度は僕がその入り口に立っていてくれとのこと。何だ、僕は無表情男の後がまかよ、と。

 これに時給は出るのかとも思った。そもそも、何で入り口に立っていなければならないか聞いた。そしたら、会社らしくなると大阪弁でいう。僕は全然思わなかった。

その後、パンチ社長と身上話しをしていると面接者が来た。僕はドアを開け、面接者を入れた後、入り口に立った。多分、面接者は僕が何で入り口に立っているのか、疑問に思っている。

それから面接者は続々と数人受けた。面接を外から観たのは初めてだった。話しを真面目に聞く人、仕事内容に突っ込む人、横柄な人など様々だ。横柄な人はパンチ社長より見た目は年上だ。

そして、女性も面接に現れた。ショートヘヤーで容姿は良く、当時テレビに出ていた中原理恵にそっくりだった。入り口で立って面接の模様を聞いていると、どうも事務員にするようだ。中原理恵似も乗る気であった。

中原理恵似の面接が終わるとパンチ社長は『今の女、良い女だな』と言う。僕は年上だし中原理恵はタイプではなかったが、一応パンチに話しを合わせた。しかもパンチは中原理恵似を明後日、絶対抱くと言っていた。明後日にまた来るらしい。中原理恵似はまだ別の仕事をしているらしく、明後日休みなため来ることになった。パンチに抱かれるということは、抱かれたのに働くのか、僕は疑問に思った。

 夕方になり気疲れからか、僕は帰りたくなった。パンチに言ったら、夕飯奢るから泊まっていけと言われた。風呂も入れという。

誘惑に負け、泊まることになった。夕飯の出前を取り御馳走になり風呂も入った。  

 その後、営業のマニュアルを覚えろと言われ、台詞の練習をしだす。人を騙す内容に近い。でも営業は騙すに近い商売だ。表札の値は三千五百円ととても値が張る訳ではないので割りと売れるよ、とパンチは言う。

パンチは夜、大阪に住む妻に電話した。なんと結婚していた。中原理恵似を抱くということは浮気するのだ。

夜になったらもう一人若い客が来た。年は僕と同じ十六歳で群馬県出身。髪はリーゼントでジーパンにジージャン姿。顔は面長で色男ではなく、指には数個の指輪をしている。

まさにロックンロールが好きとアピールしている男だった。だがなまっている。

ジージャン男は僕より前に面接して、夜に来ると言ったらしい。パンチは僕をジージャンに紹介して、ジージャンも紹介された。その夜は二人で台詞練習大会となった。そして夜も更け二つのベッドを繋ぎ三人は川の字で寝た。明日は早速、実践を教えるとパンチは言った。つまり営業に行き教わるのだ。

翌朝、七時半に起きパンチとジージャンと僕は下にある喫茶店で朝食を食べた。パンチの奢りである。そして、表札とドライバーなど、取り付け道具を持参して総武線へ乗った。

 切符を買うとき六千円あったのが一千円しかない。『まさか寝てる間、パンチが盗んだのか?』と電車中ずっと思っていた。でも一緒にいるし、サイフを開ければすぐバレるのにと、考えていた。パンチはそんなバカではなさそうだ。でもサギまがいな仕事だしパンチしかいない。ということは昨晩と朝のメシは自分の金ではないか。奢ると言って、僕の金で奢ったことになる。だんだん騙されている感じになった。 しかし、これから騙しの仕事を教わりなんとも言えない状態だ。

 千葉のどこだかの駅に降り住宅街に来た。パンチは、付いてきな、といい住宅街へ入って行く。断られたりの連続だったが、数十分で一件取った。こんな感じでやってみろとなり、ジージャンと二人で営業をやった。二人だと心強く三十分後、一件取った。パンチは既に三件取っていた。

そんな感じを夕方までやり、僕らは五件でパンチは十三件だった。さすがと言いたい所だが五千円を盗まれたため、褒めたくなかった。

その日は家に帰った。自宅に五千円はない。パンチに盗まれた。翌日は休むとパンチに電話で言った。パンチは惚けているのか? パンチは休むのは良いが会社には来いと言った。今日の給料を払うと言うからだ。本当か。

翌日、Y産業に行くと中原理恵似がソファーにいた。『あっそうだった、パンチは抱くんだ』と思い、僕はパンチに昨日のを取りに来たと言った。電話しないのがパンチは閥が悪そうで、夜七時にもう一回来てくれと言った。

 夜七時に行ったら、中原理恵似がまだいた。すっかり抱かれたようだ。会話がタメ口になっていた。パンチは浜崎のアパートへ行こうと言った。何で僕のアパートに行くのか? そもそもバイト代はよこさないではないか。パンチはいい加減な奴と心で思った。電車中では中原理恵似の抱いた模様を語っていた。彼女は今夜事務所に泊まるらしい。あまり良い女ではないという話しだった。

僕の家でバイト代をくれるのか? そんな奴に見えないと、電車中でいろいろ考えていた。アパートを見て驚いていた。『こんなに古いだー』と言っていた。中に入れると狭いなとも言った。ステレオを見て『いいのあるなー』と一言。パンチの目付きが変わった。

トランプをやろうとパンチが言う。僕は全然パンチとやる気がしない。だがパンチは平然と何知ってると言った。僕は頭に来て『社長、バイト代は?』と聞いた。パンチは『今日、銀行行けなかったから悪いな!』だけだった。嘘つけと僕は思っていた。

そしてポーカーを渋々やった。何回かやっていたらパンチは、『俺が勝ったらステレオ三千円で売ってくれ、負けたら浜崎に一万五千上げる』と言った。財布を開き所持金の一万五千円を見せた。悩んだが三回勝負で乗った。僕が勝ってもパンチはよこさないだろう。 結果は二敗だった。パンチは何かイカサマしたと思った。僕がテレビに観入っていた時かもしれない。

しっかり念書を書かされハンコも押した。この時僕はパンチを悪人と判断した。金は盗むし、バイト代は払わずステレオをゲームで勝ち取ろうとする。完全なインチキ詐欺師野郎だ。金を盗んだのはパンチと決まっていないが、今までの観察からパンチしかいない。

明日からパンチのY産業には行かないことにした。それと念書は書いたがステレオは絶対渡さないことにする。

翌日は行かなかった。パンチから電話もなかった。日曜日になったらジージャンが来た。ジージャンアパートと僕のアパートの距離は二キロ程度で場所は教えてあった。彼はステレオの件を知っていた。売るのやめた方がいいよと、助言もしてくれた。僕もそのつもりの主旨を言って、今までの金を盗まれた話しなどをした。

ジージャンが今日来た本当の理由は、浜崎の様子を見てこいと、パンチから言われたようだ。ジージャンはそこまで言ってくれたので信用することにした。

そして行かなくなったら、大家の呼び出し電話にパンチから仕事に来いと、電話があった。辞めると言ったのに掛かって来るのだ。そして、とうとうパンチから脅し電話も掛かって来た。大家も脅されたらしく、大家はどおしても僕に出て来れと言われた。それは大阪弁で、


「浜崎かっ、われ何トンズラしとるんやー、絶対逃がせへんからなっ、今から行くからな、ステレオ忘れてへんからなっ、念書書いたろがっボケ! 待ってろよ!」


と、罵声だった。大家は僕を心配していたが、僕は何でもないと言った。今からパンチが来るのかと思ったら気が滅入り出し、実家に帰ろうと思った。あの罵声は迫力があり実際に来る気がした。パンチは以前は暴走族には入っていたらしく、あのぐらいの脅しは当たり前だろう。

夜八時を廻っていたが早速、身支度をして電車に飛び乗った。僕は車中で東京は悪人が身じかにいると、つくづく思い知らされた。

半月後、アパートに帰ったらドアの下戸が外れていた。何回も蹴った感じだ。大家に事情を聴いたら電話は何回も掛かって来るし、三人位で部屋の前にいたりで、借金の取り立て人のようだと教えてくれた。ふと、三人とは誰だと思った。大家にどんな人か聞いても背が大きい人がいたとか、小さな人もいたり位しか判らないという。大家は老齢の人であまり聞けない。一人はパンチで確実だ。背が大きいとは無表情男かもしれない。だが、もう一人とは一体誰かだ。もしやジージャンか? 僕は大家に謝って事情を全て話した。

 大家も割りとすんなり納得してくれ、だいぶ迷惑を掛けてしまい申し訳なかった。

いつパンチが来るかわからないが、大家が協力してくれると言ったので安心して住みだす。それからは不思議なことにパンチ達は一度も来なかった。半月いなかったのが幸いしたのか、パンチは田舎に帰ったと思ったのだろう。

 悪人パンチは絶対にいつかシッペ返しがある。それが人生の常ではないのか。その後ジージャンのアパートへ様子を見に行ったが、ジージャンの四畳半部屋には誰も住んでいなかった。パンチの所へまだいるのか、いないのかわからない。田舎に帰るまでジージャンには一度も会わなかった。



脅迫状の話し。

実を言うと僕は脅迫状を送られたことがある。脅迫状とは脅しや強請を文面で書いてある手紙だ。刑事ドラマや実際の事件で度々登場する。

それを送られたのは僕が二十五歳頃だった。腰の骨を折り五十日入院して、会社を首になり失業手当を貰いながら、職探しとリハビリをしてた八月の夏だった。

当時は彼女がいて何かと職探しに焦りを感じていた。結構その彼女もうるさく言う。完璧主義的な女性だった。彼女とは通信高校が一緒で学年は違うが知り合った。

この事件が起きたのは付き合って一年以上過ぎた頃だ。親達と同居のY子は兄弟や姉もいたが、今は結婚して同居していない。母親、義父との三人家庭だった。しかし、Y子の家庭はたまに変なことが多い。僕がY子を誘おうと、彼女が家にいる日に電話すると、義理の父が出た。そしていないと言われたり、彼女が約束を守らないことが多々ある。何となく誰かがY子を操っているのかとも感じた。母も何かと変だ。電話時、最後の語尾を僕が話しているにも拘わらず、ガチャンと切ることがよくある。嫌われているのだと薄々は感じる。それでも好きになったので付き合っていた。

そんな無職の夏にそれは来た。一見、普通の市販封筒でカタカナワープロで僕の住所氏名。差し出し名しかない。差し出し名は『シンジュクコウギョウ・ナシ』と打ってあった。何かのダイレクトメールだろうと思い開封したら、紙切れ用紙に文字が打ってある。

「君と女のSEXをビデオで撮った。テープは何本もダビングをする予定。もし女と別れず返して貰いたいなら一千万円用意しろ。私達は君の行動を二十四時間監視している。また連絡する」

こんな文面だった。背中がゾクゾクとした。SEXをビデオに撮ったとなるとばか恥さらしになる。とっさに三階のベランダから外を見た。誰も監視はしていない。これは脅迫状だと思い、弟と母へ見せた。実際こんなことが自分にあると恐怖感が襲い、早速プロに任せるしかないと警察へ渡しに行く。

警察に行くと読んだ人の指紋を取ることになり母、弟も来た。でも警察なので嫌々来た感じ。このような脅迫状は身内や知人、友人などが怨恨で送る場合が多いらしく、刑事はY子の指紋、もしくはY子が書いた手紙も貸してくれとなった。

結果は僕らやY子の指紋以外にひとつあったという。過去の犯歴者の指紋にはヒットしないようだ。前科がない者の犯行となった。

それから一週間後の午前十時頃、脅迫状らしき者から電話があった。内容はこうなる。初めは母が出で僕に変わる。


『ナシだが、手紙行っただろ。まだ女と会ってるようだな、一千万出来たのか?(金はない)なにっ、ないだと! いいか、今夜九時田子ノ浦港に来い!』


と、言った。頭から冷たい空気が流れ、また背中がゾクゾクとした。この時、脅迫手紙は本当に起こった。本物の恐喝事件だ。僕はどこから撮影したのかを考えた。自分の部屋は三階だ。何度もY子とやったがカーテンは閉めるため撮影は無理だ。遠くから望遠かとも思うが、わざわざ高い機材を持つだろうか。しかも電話の声に聞き覚えがある。それはY子の義父の声に似ている。昔は携帯がなく家の固定電話に掛けるので、二回ほど義父が出た。その時の声と脅迫電話の声がどこか似ている。

刑事に脅迫電話があったのを報告すると、今からお宅に録音機材を付けますから、電話のたび録音してくれとなった。それは簡単な物だった。違う人なら停止ボタンで切れるのだ。

脅迫電話の声が彼女の義父の声に似ていることも言った。刑事は身内や知り合いであろうが、このテープが裁判の証拠になるから慎重に頼むと言う。脅迫電話のことをY子に詳しく事情を話し、彼女の家にも録音機材を付けるよう説得したが、嫌だとなり付けるのを諦めた。なぜと思った。刑事は電話での田子ノ浦港には行かなくていいという。

脅迫電話が来たその夜、思わぬ転回が起こった。

夜八時半頃、突然Y子が来た。彼女の話しによると、今日の昼間に突然、脅迫電話が来たと言った。一千万の要求とビデオを撮ったことや、お互いが別れろという話しだという。

Y子が電話に出たのかときいたら、義父が出たという。そのため脅迫電話の話し全部を義父から聞いたようだ。しかも、ここに義父と来たらしい。僕はこの時、今までかつてない怪しい雰囲気を感じた。

自作自演。

僕の義父とY子と、下に停めてあるY子義父の車へ向かった。

Y子の義父は車中で寝そべっていたが、僕らを見たら跳び起き座席を正した。何か考えていたのかと思った。

僕の義父が先制で話し、Y子の義父へ脅迫電話の内容を聞いている。その時Y子の義父の顔に焦りはないか僕は凝視していた。だが、そんな焦りは感じられない。脅迫電話などに場慣れしているのかとも思う。Y子の義父は国道のトンネルを維持管理する民間会社と聞いている。声質はやはり似ている。午前十時の声である。

Y子の義父は背が低いのが印象的だ。頭髪は白髪混じりのパンチパーマが延びた感じで顔は色黒気味の五十歳代、口調は早口タイプだ。どうしても犯人の声に似る。こういうタイプは嫌いだ。周りの人を寄せ付けない、つまらないタイプだ。

背が低いパンチパーマと言えば、新宿のパンチ野郎と似てくるがタイプは全然違う。こちらは身を隠しながらの犯罪だ。

以前にY子から義父はヤクザ映画のビデオをよく観ると言った。推測だが『シンジュクコウギョウ・ナシ』という脅迫状の差出人は、話しつけることをヤクザ用語で『ナシつける』と言う。僕も前ヤクザ映画で観たことがあり、そのような表現を使っていた。また、『シンジュクコウギョウ』などいかにも安い屋号だ。私達はヤクザ組織だとわからせるためだろうか。本物ヤクザは絶対組織名を出さないし使わないはずだ。

Y子の義父はヤクザ映画の観すぎだ。と言ってもY子義父が犯人とは決まってないが、僕が思うには犯人だ。

Y子の義父は僕の質問や僕の義父の質問を淡々と答えていたが、向こうからの質問はロクにない。そのくせ最後はY子義父が締めた。『犯人の言う通り、しばらくお互い会わない方がいいだろう』と言った。完全な自作自演だとわかる。まさか警察へ届けていたとは思わなかったのだろう。

帰り際、車にエンジンを掛け走り去る前、僕の前でとまり『浜崎君も日常の生活に気をつけた方がいいよ、後ろから車で跳ねられたら死ぬからさ』と言った。僕はさすがヤクザ映画好きだ。捨て台詞まで言うとは。脅迫状ならびに脅迫電話の犯人は完璧にこの親父とわかった。

家に入り、弟へ田子ノ浦港から電話はなかったか聞いたがなかったという。いま犯人は帰ったばかりであるから。

それと僕の義父はY子の義父を見たことがあるという。昔、義父が車で接触事故を起こしたらしい。その時の人がY子義父にそっくりで声も似ていたようだ。相手の車を直した明細書はないが、事故時の相手によく似ていたらしい。その時の親父も口うるさく言って来たようで、義父も結構参ったらしく印象的だったという。

因果応報だった。多分その時の親父はY子義父だ。悪さをすればいずれわが身へ返るし、いいことをすればいずれわが身に返るということ。Y子義父は僕義父と再開して嫌なことを神様は思い出させたのかもしれない。

その後、当たり前だが脅迫状や脅迫電話も来ない。Y子ともしばらく付き合ったが、やはり脅迫状のこともありで別れた。これ、実はY子義父が考えた長期戦での作戦勝ちなのかもしれない。多分、義父はY子を好きなのだろう。


つづく

ここまでは不採用原稿です。

人間生きていれば、なにかと不便、事故、事件が起きますかね。

その後のはまじは次回に持ち越します。



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