緑内障と白内障の手術
二〇二一年三月八日の月曜に二度目の眼科へ行った。ただ行きたくない理由で一カ月も延ばした。結構混んでいて待たされそうだった。その高価な薬で眼圧は下がったのだろうかも気にはなっていた。結果的には下がり、両目とも一五だった。
やはり高いだけ効くのだなと。だが点眼をやめれば上がる。眼圧検査のみだけではなく、目の写真も二機で撮影された。目へ光を次々と当て大丈夫だろうか。緑内障は四〇歳以上だと二〇人に一人といわれている。五〇以上は一〇人に一人ということか。
そして診察だ。眼圧は下がったがやはり手術が濃厚という。麻酔は点眼だが、メスを入れるだろうし、恐怖心は出る。それも目に見えている状態だ。それが曇って見えなければいい。しっかりと見えるだろう。もう一度、三カ月後の診察となった。たぶんそこで結審で手術のゴーだろう。それに金もだいぶかかる。もしや一〇万以上か。ただ高額医療制度があるため、それに該当しそうだ。いくらになるかを眼科医はいわないとならない。そこがダメだった。
この日も診察料がとても高い。四九〇〇円だ。なぜこんなに高いのかと領収書を見ると、どうも撮影が高値とわかった。そういえば整形外科も撮影が高い。ガンの発見や医療の撮影は高値となるのだろう。そうわかると、肛門科のジオン注は安い方になるのか。
三カ月後ということは、点眼液を増やさないとならない。あらかじめ先生にこれだけ残っていると袋を見せて伝えた。一本ずつ追加しただけで一八〇〇円ほどだった。これで三カ月は持つだろう。
ただ約七〇〇〇円を一瞬で失ったことは嫌悪感マックスだった。
次回は、日まで指定されたので延ばせない。また一万を一瞬でなくすのだろうか。
六月下旬、渋々眼科へ行った。視力検査や眼圧、目の撮影や視野検査だ。結果、眼圧は両目とも一五。視野検査もそれほど変わらないという。手術をいわれていたが伸びた感じだ。前回のように先生は押さなかった。ただ費用を聞けた。五万ほどという。もっと高いと思ったので、そんなものかと。緑内障というが、白内障の手術と一緒にすると聞いた。時間は二十分ほどという。でも今回は費用も聞け、術後のリスクもそんなにないことをいってくれた。それで手術を前向きに考えてしまった。ちなみにその日の診療代は五〇五〇円、薬代は三八〇〇円だった。やはりいつものように高いが、前回より先生との距離感は縮んでいた。
そして二〇二一年一〇月一日に眼科へ行った。眼科は薬代は高いが、点眼薬の効果を先生が知るためか三カ月に一度通わなければならなかった。
本当は九月下旬に行く予定だった。
予想で手術となるので一〇月頭にした。それは限度額認定を使うためだ。それを使えば手術代を入れて一カ月間で四万以内となるからだった。この作戦はユーチューブの眼科医で知り、ほんとためになった。
いつものように眼圧や視力、視野検査、目の撮影などを行った。眼圧は一五。前回と同じなので点眼液が効いているのだろう。いつも検査してくれる女性は四〇代くらいか、ぼくがぶつぶついうと、ため口で相手をしてくれる。黒髪ショートの少しまる子のかよこ似だ。
「……また視力が落ちた感じで見えにくくなった」
こんな感じで検査中はぶつぶついう。
「そう、白内障もあるからね、目が疲れてるんじゃない」
視野検査中も、
「なにこれ、小さすぎて見えたり見えなかったり……」
視野検査なのに、そういう。
「……見えない、見えたらスイッチ押して」
近年通った肛門科よりましと思うけど、眼科も毎度の検査で目が参る。しかも高値だ。
そして診察となり、先生がやはり手術を勧めるので従った。先生は今のうちしかない、もしやらなく延ばして更に悪くなれば、あの時期がよかったのに、とそんなこともいうのでそうした。
そして一三日に手術前の検査をして、一〇月一九日に手術となった。数人いるようで二〇分ほどで終わるという。手術の三日前から抗生物質の点眼液をするようにいわれた。そしてだ、術後に嫌気が出た。いつもの点眼薬以外に三本増える。それに当日は禁酒、眼帯したまま一夜を過ごし、翌日眼科で取る。
さらに五日ほど顔を洗ってはいけないという。洗髪と入浴はいいが、洗顔はダメだと。なにそれ。聞いただけで禁酒はしないだろうな。手術後は制約されるので嫌悪感は出た。目にバイ菌が入るから洗顔は五日もダメと。でも洗髪はいいとはおかしい。どう洗うのかと。顔の油はどうするのか、ベトベトするのに。看護師さんに顔を拭くよういわれた。というのなら五日間、シャワーを浴びない予定だ。その方がわかりやすい。結局、日帰り手術なのでそうなると聞く。病棟ならもっと統制されるから、それも嫌だった。次は緑内障と白内障の手術だ。いつもよりテンションは下がるだろう。
手術日。
風呂は入れるが五日ほど顔を洗えないため、朝は風呂へ入った。そして野菜うどんを食べた。緊張しているのか、三度も便が出た。
眼科へ入ると眼圧と視力検査があった。それと長さを計るという検査もあって、目の撮影をされた。目にいいわけない。光るのだ。
それと目薬を三度された。嫌になる。
診察が終わり、二階に行く。ここで驚いたことは、患者はエレベーターで行く。ここにエレベーターがあるとは。わずか二階でも患者にケガをさせないという想いだろうか。よく考えれば術後は眼帯をするので半分しか見えない。それが主だった。
十畳ほどの待合室にイスが三つあり、ロッカーに荷物を入れるよういわれた。七〇代ほどのメガネをかける男性がいて手術着を着ていた。血圧も計っている。自分もそうさせられ、血圧は二〇〇を超え、三度目に一九〇になった。看護師は呆れたのではないか。
そして待つこと二〇分ほどで七〇代の男性が終わった。
次は自分だ。
麻酔は効くのか、痛くないか、すぐに終わるのか、とそんな思いだった。手術室の前で待たされた。
そして呼ばれた。手術のイスに座ると電動で寝る体制となった。
笑気麻酔のため、鼻にチューブを入れ、目の周りを塗りサランラップのようなものをつけ、穴のみの布をあてられる。そして目を開いたままにさせる器具をつけられた。瞬きすると閉じているようにも感じた。
目になにかをかけられた。いよいよだ。
「光を見ててください」
なんだろうか、白く丸い光が現れた。もう始まったのか。
先生の姿は薄っすらとわかる程度。メスを使うのか、と不安もある。目に刃物だ、そんなことをしたら余計悪くなりそうだ。そんな思いが脳裏へ浮かぶ。
ロボットの声がする。なんだ。それにガーガーと音がする。この音がすると目が痛む。なにをしている。途中から白い光が青とピンク色になった。
圧力をかけられたような痛さが起きた。麻酔は効いているのか。意識はある。
「……あごを上げてて」
上げると、
「そこまで上げない」
少し下げると、
「そうそう、その位置」
段々と腹が立った。威張ったなと。
「……左見て、左」
「……前を見ないで、左、左」
と、こんないい方だ。
ガーガーとまたその音。そうなると痛む。英語の声がする。
なんだ、この手術は。
痛みが残った時、
「白内障は終わりました、次は緑内障」
と、聞こえた。なに、一緒に行っていると思っていたのに。別々
にやるのか、と
また痛みを絶えないとならない。そして目を動かせ、右見てと、
ため口でいう。イライラしているのだろうか。
自分が受けろといっただろ。眼科のドクターは人を物扱いするのか。腹が立った手術がやっと終わった。
それでも、ありがとうございました、はいった。
眼帯をして待合室に看護師と入った。手術は二八分と聞く。長めではないのか。それが普通なのか、手術中は時間を失う。
目にピンク色が残ったが青色は消えた。こんなことをして目にいいわけない。少し痛む目は明日、明後日はどうなっているのか。術後が心配だ。
一階に下りるもエレベーター。金をかけた最新鋭の眼科ではある。
気になる会計は二六九〇〇円。自動精算機に収めた。意外にも安
い。三万以上はすると思った。先出しの限度額認定の方がいいこと
を知った。
片目になると不便さもわかった。明日は術後の経過を見せに行く。
今後は術後の経過を知らせる。五十を過ぎて痔のジオン注と、白内障と緑 内障の手術をした。外科的なのが多くなったのはなぜか。
劣化しているのだろう。年を取るということはいいことではない。
何度もいうが若い時は買ってでもやりたいことを体験してほしい。
そして年寄りになれば、あの時こうだったと思い出がたくさん残る。年を取ってからでは体の老化でうまく動けない。あの時やっておけばよかった、と後悔しないように生きてほしい。
翌日。
昨夜は、目の痛みもあって二時間ほどの浅い眠りだった。
腹は減っていないけど、軽い朝食を取り薬を飲んだ。術後は大事だから。そして九時前に眼科へ入った。すでに三人待っていて、昨日一緒に手術をした、七十代ほどのメガネのおじさんもいたので声をかけた。
「術後の昨夜はどうでした?」
待合室の長いすへ腰掛けて話す。
「そうですね、目のゴロゴロが続き、今は大丈夫ですね」
ぼくは痛みがあるので聞いた。
「ぼくは手術時に痛みがありました。どうでしたか?」
おじさんはすぐに答えてくれる。昨日は杖などなかったが、持っていた。ただ足があまりよくない歩き方を昨日見ていた。
どうも痛みはなく、しっかり寝たようだ。自分との違いに、なぜ
痛みがないのかと、ジオン注の時の同僚も痛みはなかったことを思
い出した。
「……わたしは、ここに来る前に手術のできない眼科に行ってしま
い、手術がいいことを聞いてこちらに来ました」
おじさんは手術の志願だった。その後も聞けば、わずか初診一カ
月で手術を行ったようだ。ぼくの手術嫌いとは真逆だ。
「ぼくはなかなか手術の返事をしませんでした。今月頭に視野欠損の進行で白内障と緑内障の同時手術を決めました……」
その後おじさんの話しから、どうも緑内障の持ち主だった。だが
眼圧は九と一桁で、視野が少し欠けているらしい。眼圧が低いなら、
ここの先生は手術を勧めないはずだ。自分は両方なので進められた。そもそも緑内障のための手術で、やるのならばついでに白内障も行ったということ。この違いを理解しないとならない。
そして彼が呼ばれた。視野検査などをやっていた。自分が呼ばれて処置室に入ると、眼帯をいきなり外してくれた。
最初、もう見えている。それになんとなく明るい気がした。これはなんだ、と。しばらくあちらこちら見ていた。やはり明るかった。
笑みも出てしまうほど。今まで右目は薄く、見えづらくてピントも合わなかった。これが手術のおかげだ。そしておじさんは検査が終わったらしく、先生との診察を待っていた。自分は視力検査をした。度は入れたが下まで見えたのだった。えー、と。白内障の手術はここまで凄いのか。一・二まで視力が上がった。でもまだ眼球の痛みがあった。そしてぼくもおじさんの横に座り、話した。だいぶ見え方が明るくなったことを。
彼もうなずき、来週が楽しみです、という。聞くところ、右目も白内障の手術を行うようだ。そんな短期間でいいものかといえば、限度額認定書のことをいった。そういうことかと理解した。一カ月いくらかかっても定額だからだった。それなら自分もと思ったけど、ずっと嫌悪感に包まれていたので、このままでいいか。時期が来れば先生も教えてくれそうだ。ただ、右目がよく見えるが、緑内障は進行ずみだ。それと今度は左の方が白っぽいのが目立ってきた。いずれ白内障もやらないとならないだろう。たしかに一緒にやればいいことを、限度額認定で知らされた。すでに二〇日だ。急にはいえなかった。次は今週末、土曜の経過診察だった。本日は寝る時の保護のため眼帯を買った。一〇〇円ショップだったが。
一一月に入り、時折り目が痛む。その後の経過はピントが合わない。それは術前より感じる。
それと診察での眼圧は一五で以前と変わらない。月日が変われば後々落ちるのだろうか。水の詰まりを通りよくしたはず。とにかくメガネを作り直さないとならなく、目の大切さを改めて思った。
結構痛かったけど、痔の手術よりはいいです。目も肛門様も大事にしないとなりません。