音声記録の書き起こし027
あー、えっと……今、宮木奏を見つけました。
時間は23時を過ぎたくらいで、森の中です。
あいつが人を殺す瞬間を撮りました。
暗いので誰がやられたのかは見えません。
でも、宮木は死体を引きずってどこかに移動しています。
このままこっそり追いかけます……。
今夜は、土砂降りです。
視界は悪いけど、この雨のおかげで追跡はバレづらいはずです。
三か月かかって、やっと尻尾を掴みました。
あとは宮木の潜伏先を突き止めたら、村の皆に伝えるだけです。
それで、すべて解決するはずです。
やっぱり宮木奏は、殺人鬼でした。
斧で……人間の頭を叩き割ってました……。
あんなにとぼけてたのに、嘘つきだったんです。
僕が村を救う……もう、手遅れかもしれないけど……いや、大丈夫。
まだギリギリ間に合うはず。
人は減ったけど立て直せると思います。
だから、僕は――。
「あれ、何してんの?」
み、宮木っ!?
なんでここに……さっき前にいたじゃないか!
「変な気配がしたから戻ってきたんだよ。大正解だったね」
ふざけんな!
おっ、お前がみんなを殺したんだな!?
「うん。そうだよ」
この人殺しがッ!
よくも平気な顔でいられるな、クズめ!
「……その発言、ブーメランじゃない?」
は?
何言ってんだよ。
「カニバリズムの因習村の人間が、よくそういうことを言えるよね。笑えるんだけど」
俺達のは殺人じゃない!
村の掟に従って暮らしているだけだ!
お前の快楽殺人とは違う!
「同じだよ。まったく同じ。いや、悪意がないだけ余計にダメかもね」
馬鹿が!
すぐそうやって罪を誤魔化すな!
待ってろ、すぐに村のみんなを呼んで――。
「呼ばせるわけないじゃん」
あっ、うぁっ!?
僕の腕がっ!
「馬鹿はそっちだよねぇ。丸腰であたしに近付くなんてさ。殺人鬼だって疑ってたんなら、護身具くらい持ち歩くでしょ。まあ、何を持っててもあたしは負けないけどね」
よ、よせ!
やめろって!
うぎゃあああああああああぁっ!
「うるさいから騒ぐなって。ちょっと手足を切り落としただけじゃん」
お、お前……こんなの、だめじゃないか……。
犯罪になるだろ……。
「だからブーメランだって。この村の因習も犯罪だから。まあ、安心してよ。村はぶっ潰してあげるから。生き残ってる連中もすぐ地獄に送るよ」
な、にを……。
「ん? なにこれ。日記? ちょうどいいじゃん、あたしが続きを書いちゃおうかな。村を滅ぼすまでを記録してあげる。君の日記もネットに投稿してあげるねー」




