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【何も考えたくないあなたに捧ぐ3分で読み終わる発狂小説】上司がエビに見えたのでコケコッコーしたら最後に養豚場の鶏だった

掲載日:2026/04/02

なんとなく暇だったので、会社の外で車を眺めていた。


正面から見ると、ヘッドライトが目に見える。

グリルが口に見える。


つまり、顔だ。


「ああ、なるほど」


私は妙に納得した。


車は顔だった。


いや、顔が車なのかもしれない。


どっちでもいいかと思いながら、昼休憩が終わったので会社に戻った。


席に着いた瞬間、上司がキレた。


「お前さっきから何してたんだ!」


私は顔を上げた。


上司の顔を見た。


車だった。


ライトが光っている。

口が開閉している。


「……なるほど」


もう一度見た。


今度はエビだった。


寿司の上に乗っている、あのエビだ。


ぴくぴくしている。


「お前聞いてんのか!」


エビが怒鳴った。


いや、車かもしれない。


もうよくわからない。


どうでもよくなったので、私は鳴いた。


「コケコッコー」


静寂。


上司が止まった。


周囲の社員も固まった。


私はもう一度鳴いた。


「コケコッコー」


上司がゆっくりと口を開いた。


「……お前、頭おかしいのか?」


正論だった。


だがそのとき、何かが起きた。


上司が、小さく咳払いをした。


そして、


「……コケコッコー」


と言った。


うまかった。


異様にうまかった。


私は驚いた。


上司も驚いていた。


「……これ、ちょっと気持ちいいな」


そう言って、もう一度鳴いた。


「コケコッコー」


私も鳴いた。


「コケコッコー」


そのとき、別の上司がオフィスに戻ってきた。


手には親子丼。


鶏肉と卵。


完璧な構成だった。


私と上司は顔を見合わせた。


そして同時に理解した。


やるしかない。




「コケコッコー!!!!」


「コケコッコー!!!!」




オフィスが震えた。


コピー機が揺れた。


誰かが泣いた。


なぜか羽が舞い始めた。


白い羽。


どこから来たのかわからない羽。


気づけば床一面、羽だらけだった。


「……燃やすか」


誰かが言った。


たぶん私だった。


ライターで火をつけた。


羽は一瞬で燃え広がった。


白い煙。


焦げた匂い。


その光景を見て、私は突然、悲しくなった。


理由はわからない。


ただ、涙が止まらなかった。


気づけば、私は泣いていた。


大声で泣いていた。


止まらなかった。


どうしてこんなに悲しいのか、わからなかった。


でも、わかっている気もした。


そういえば。


私は人間じゃなかった。


養豚場で飼われている鶏だった。


なぜ豚の場所にいるのかはわからない。


でも、ここが現実だった。


遠くで、誰かが言った。


「コケコッコー」


私はゆっくりと顔を上げた。


トラックのヘッドライトが光っている。


あれは顔だ。


間違いない。


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