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人見知り魔法使いののんびりきままな錬金店  作者: 牛乳寒天


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9.新たな商品

 師匠によって設置された看板は物件の雰囲気と馴染んでいた。私が看板に入れた文字、『雑貨屋』も浮くかと思ったけどいい感じだ。…雑貨屋だけって簡潔だと思うかもしれないけど、私には洒落た名前を付けれるセンスなんてないし仕方ないでしょ。


 それにこれからいろんなものを売っていくつもりだし。…私には扱えないものとかいらないものとかね。有効活用してくれる人のところに渡ってほしい。侑李とかに押し付ければその人のところに言ってくれると思うんだ。


「少しは店らしくなりましたね。では、中を拝見してもいいでしょうか」

「大丈夫です!」


 私はドアを開け、師匠を中へと案内した。すると師匠がため息をついた。…えっ、なにかダメなところあったかな?


「この広い空間を見事に無駄使いしてますね。せめて棚以外も置いたらどうですか?」

「…お店に棚以外必要あります?」


 自動決済できる仕組みになってるからカウンターとか設置する必要ないし、他に何が必要なんだろう?私にはわかんないや。


「さすがに殺風景すぎるでしょう。私もそこまで詳しくはありませんが…光源を置いてみてはいかがですか?後棚が窓を潰しています」


 ああ、だから全然明るくなかったんだ!この販売エリアが随分暗いから変だと思ったんだ。光源もどうやって作ればいいかわからなかったし…。師匠の家だけが例外で他の家にはライトとかがないんだと思ってた。


「棚は窓に被らないよう設置しますね。光源は…どうやって作ればいいのかわからなかったので」

「わかりました。少し待っていてください」


 そういうと師匠はどこかに消えていった。影で移動でもしたのかな?ちょっと便利そう…なんて思ってしまう。精霊も空を飛べるからそれはそれでいいんだけど、移動速度が速いみたいなものはないから羨ましいなぁ。


「戻りました。余っていたものですので気にせず使ってください」

「わっ、ライトだ!!いいんですか?…有効活用させていただきますね!」


 クリエイトモードで棚の配置をずらすのと同時にライトの設定を行う。ライトの設置を行った瞬間にぱっと空間が明るくなり、ライトの力を実感する。


 すごい!めっちゃ明るくなった!!今まで薄暗かったのが解消されてる!


「見違えて明るくなりましたね。こちらのほうが商品がよい風に映ります」

「そうですね!でも商品がポーションだけというのはあれなので他にも出品しようと思うんですけど、この中ならどれがいいとかあります?」


 自分のアイテムボックスを見せる。木材と兎の戦利品、チュートリアルの空間で採った素材しか入ってないんだけどね。ポーション一種類だけだと寂しいしどれがいいか判断してほしいところ。


「そうですね…。私個人での意見ではありますが、月光草とかいいと思いますよ。これはポーション、鍛冶、服など様々なものに利用されますから供給が足りていない状況なんです」

「どんな効果があるんですか?」

「主に品質が高まる効果ですね。確率で月の祝福を得たものを作成できるんです」

「なるほど…とりあえず出品しておきますね」


 50個ほど出品することにする。さくさくと手順が進み、残りは販売価格を決めるだけの状況となったが、値段をどうすればいいかわからないので聞いた。


「値段って大体どのくらいですか?」

「25000リーンほどですね。もう少し上げてもいいでしょう」

「では20000リーンにしておきます!」

「なぜ逆の方向に行くんですか…」


 ここに来れる人は少ないし、ちょっとお得感があったほうがいいんじゃないかな。そのほうがまた来てくれると思うし。


 ぽちぽちと設定をいじって出品を完了させる。…よし、完了!これで誰か来てもポーションと月光草の二種類が置いてあることになる。店として最低限の品揃えにはなったんじゃないかな。


「ひとつお願いがあるのですが、世界樹の葉をふたつ譲ってくれませんか?」

「全然大丈夫ですよ!何に使うんですか?」

「研究を進めるためですね。世界と繋がりを作るための素材を探していたのですが、世界樹の葉はそれに利用できるかと思いまして。…あぁ、もちろん代金はお支払いしますよ。」


 世界と繋がりを作る?…どんな研究をしてるんだろう。少し気になる…。けどまだ聞かないでおこう。今話してくれないってことは話すつもりはないってことだろうし。頑張れ私の自制心。


「代金は大丈夫です!…はい、どうぞ」

「そういうわけにはいきません。なぜ毎回遠慮するのですか?…確かにふたつ受け取りました。今度まとめてお渡ししますね」

「えぇ…わかりました…」


 仲がいいっていうか私と関係がある人には色々あげたいタイプなんだよなぁ…。だからお金とか気にせずに受け取ってほしいんだけど。師匠の場合はこっちが折れたほうが早いんだよね。師匠は全然折れてくれないし。


「では、私はこれで失礼します。」


 …さて、師匠は帰っちゃったし、これからどうしようかな?──そういえば桃希と侑李に連絡してなかった。二人ともまだログインしてるといいんだけど。ログアウトしてたら現実で伝えたほうが早いし。


 ──フレンド欄から確認してみたけど、どうやら二人ともログアウトしてるっぽい。そりゃそうか、こっちで12時間ぐらい経ってるし。現実に直すとこっちの時間の流れが三倍だから、4時間ぐらい続けてやってたってことだよね。きりもいいし、ここでログアウトしちゃおう。


 ◇◆◇

 意識がこっち側に戻ってきた。フルダイブ装置を外してベットから起き上がる。ずっと寝っ転がっていたので軽く伸びをすると体がすこし痛かった。


 喉渇いたし、水を飲みにいこう。そう思ってリビングまで行くと桃希と侑李が話していた。


「おっ、来た来た!どうだった?楽しかったか?」


 そう聞いてきたのは桃希。いかにもノリが軽そうな見た目をしている。なのになんで次に生まれた私は人付き合いが苦手なのか。桃希は人付き合い得意なのにおかしくないか?


「楽しかったよ。ちょっと初日の内容としては濃すぎたけど」

「…まぁ楽しんでもらえたのならよかった!ねーちゃんの誕プレあげるの忘れてたから兄貴と買ったんだよー」

「いやー、家族の誕生日ってついつい忘れちゃうんだよな。そこまで意識しないし」


 私の分も買ってきたの珍しいなって思ったけど、誕プレか。確かに去年の誕プレもらってなかった。なるほどね。


「んで、どう内容が濃かったんだ?俺はボスを初討伐したぞ!」

「俺もだよ!兄貴のパーティーに一時的に入ってたからね」

「やっぱり『桃太郎』は桃希だったんだ。…ボス倒せるってことは二人とも強そうだね」

「ずっとレベル上げしてたからね!ねーちゃんは何レべ?」


 そう聞かれて考える。…まだ一度もレベルアップしたって通知が来てない気がする。錬金のスキルレベルは上がってるけど、本体はまだのような…。


「多分まだレベル1だ…。いやでも他のことやってたし」

「…あの後レベル上げしてなかったんだな…。」


 その言葉から逃げるように今日起きたことを全部話した。ヴェイルさんと師匠のことは少しぼかしながらね。

世界樹はこの世界全体の調和を担っています。重要な役割を担っている世界樹は世界に繋がっているとも言えますね。ということは必然的にその葉も世界に繋がっているのです。

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