6.初めての戦闘
その物件に行き、扉を開ける。資料通り随分こじんまりとしている部屋だが、奥に二枚扉がある。まず右の扉を開けると広々とした空間が広がっていた。左の扉も同様である。
そう、なんといってもこの物件、空間魔法を使っているのが特徴なんだ。奥の扉の向こうには、本来ならちょっとした空間しかないんだけど…。空間魔法を利用していることで大体十畳ぐらいまで広がっているそうな。
ここにワープポイントを設定しながら考える。空間魔法、いいね。いつか使ってみたい。…おっと、そうだった。ここにはお店として利用するために来たんだ。手前の空間は店として利用し、奥の左の部屋は私の部屋として利用する…。なかなかいいと思うんだ。…まあ右の部屋の用途は今度考えればいいでしょ。
あ、忘れてた。家具とかなんにもないから買いにいかなくちゃ。──待って!これこそ錬金術が利用できるんじゃないか?きっとそうだよね!素材もないし、さっそく取りに行こう!多分そこらに生えてる木から木材がとれるはず…。
というわけで街の外にゴー!
◇◆◇
やってきました街の外。フィールドの名前はノースファースト第一エリア。長いので北1‐1と呼ぶことにする。そこらかしこに木が生えてるのでさっそく木材ととろうとして気づいた。
これ斧とか必要だったんじゃね?と。私の武器は杖。どう考えても刃物じゃない。木を叩くだけで素材採取ができると信じたい。いや、できるはずだ。伐採しても伐採しても自然と木が生えてくるのなら話は別だけど…そうでない可能性に賭けたい。誰かが木を植えないと生えてこないタイプだと。
仕方がないので杖で木を叩く。ごめん、杖。お前の初舞台は木を叩くことだ。絶対初使用が叩くことだと想定されてないでしょ…。なら魔法を使えという話ではあるがまだレベルが低い水魔法では叩けないだろう。ただ水球をぶつけるだけになる。水だし濡れるだけで済んでしまうだろう。
…お、よかった。叩けば素材を入手できる仕組みのようだ。伐採しなきゃダメとかだったら出直してこようと思ってたよ…。さ、引き続き木を叩こう!そう意気込んだところでワールドアナウンスが聞こえた。
〈ノースファースト第一エリアのボスが『桃太郎』パーティーに討伐されました。これに伴いボスの難易度の低下を行います〉
…どうやら誰かがここのボスを倒したようだ。ボスの難易度緩和は助かるね。どんなボスなのか見てないけど…。次はそれを目指すのもありかも。
そう思っていたところで、なにか白い物体が目の前をよぎる。反射的に杖でその物体を叩いてしまった。そして、そのまま殴る殴る。ほぼ動きがなくなってきたところでやっと気づいた。
これうさぎだ…ッ!!しかも結構可愛いし!罪悪感がむくむくと顔を見せ始める。ごめんようさちゃん!このまま倒しちゃうけど最後に鑑定させて…!
『アシガハヤイラビット』
足が速いうさぎ。危険を感じるとその場から逃げる。
足が速いため走っている最中は曲がることができない。
反射的にやっちゃったようさちゃん!せっかく逃げてきたっぽいのに殴っちゃってごめんなさーい!!
いや、でももうここまで来たら倒しちゃうほうがこの子にとっていいよね!?そう自分に言い聞かせてうさちゃんを倒す。…やべ、魔法使いなのに完全に物理で倒しちゃった。次うさちゃんを見かけたら魔法を使って倒そう。
そんなこんなで周りから異様な目で見られながら採取を続けていると、またうさちゃんが現れた。かわいいね。杖で殴ってうさちゃんを止める。
「【ウォーターボール】」
水球がうさちゃんに当たった。それだけでうさちゃんのHPゲージは半分ほど削れる。おお…こんなに威力が高かったんだ。ちょっと驚き。もう一回ウォーターボールを当てて討伐完了。
もうそろそろ木材の収集もいいだろう。ファストトラベルを使って自分の部屋に戻った。
──そういえばこの前称号をもらったような気がする。いい機会だし見ておこう。
『生死の領域に触れる影の弟子』
錬金術師宵凪の弟子に与えられる称号。彼女は生命について詳しく研究をしており、新たな生命を彼女自身の手で誕生させようとしている。その行為はかなりぎりぎりだが禁忌には触れていない。禁忌に触れた者は彼女がこちら側に来るのを待っている。
効果:禁忌に触れた者の好感度+3%。
禁忌なんて存在するんだ。普通、生命の創造って禁忌に指定されない?生命への冒涜だーって。でもこれ、ちょっとしたきっかけで禁忌に触れそうだね、師匠…。
てかなんでそこの好感度が上がるの…?なに?師匠の弟子だしちょっと気にかけてやるか…ってこと?そういう事だよね?
…まぁそんなことは置いといて、中級錬金セットを広げる。付属でついてきていたレシピ集に棚のレシピがあったはずだからそれを利用するんだ。
レシピ通りにイメージを固め、『白樺の木材』×3を錬金材料として指定。
「【錬金】!」
戦闘描写は苦手です。




