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人見知り魔法使いののんびりきままな錬金店  作者: 牛乳寒天


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2.素材採取

「これでチュートリアルは終了だ。ああ、さっき作ってた氷の容器についてだが、こちらで使ってもいいか?うまくやれば他にも使い道がありそうなんだ」

「ご自由にどうぞ。今の私には扱えない品なので」


 ポーションの容器として作ったものだし、少なくとも今の私にはこの使い道がわからなかった。ああ、でも収穫はあったよ。MP消費は多いけど、水魔法と魔法付与──今回の場合は氷かな──を組み合わせれば、氷魔法をとってなくても似たようなことができそう。相手に水魔法で攻撃して濡らした後、その水に向けて魔法付与を使えばもしかしたら相手を凍らせることもできるかもしれない。


「いいのか?それは助かる。なら、それで得た利益の一部をお前さんに還元する。そんなわけで、口座を後で教えてくれ」

「いえ、お金は大丈夫です」

「そういうわけにもいかないな。いいから、お前は『はい』って言え」


 また断ろうとしたのだが、しばらくこのやりとりが続きそうだったのでこちらが折れることにする。それに、私がいらないものや需要が高いものを売るお店を建てようかなって思ってたから、開業資金について気になっちゃったんだ。


「…では、その条件でお願いします。口座ってどこで作ればいいんですか?」

「冒険者ギルドで作れるぞ。作り終わったら受付嬢にこのことについて言ってくれ。そうだな…俺の名前でも出せばわかるはずだ」

「詳しくありがとうございます。でも、あの…名前、知らないんですけど…」

「…。すまん、名乗るのを忘れていたな。俺はヴェイル。お前さんは?」

「スイです」

「よし、覚えたぞ。それじゃあまたな。先払いの報酬としてここの素材を好きに持って行ってくれて構わない。ここら辺じゃ採れない素材もあるかもな」


 マジですかそれ。いや、ここら辺で採れる素材でも嬉しいんだけどね。リリースされたばかりだから採りつくされてるだろうし。


「出口はあそこに見えるな?それじゃ、俺はここいらで失礼するぜ。…ああ、そうそう。本来はチュートリアルでの素材はポーション作成用の薬草しかとれない。それに加えてこの空間はすぐ閉じるようにできてるんだぜ。だからこのことは他言無用で頼む」

「わかりました」


 そう指さされた先を見ると、ご丁寧に『ここが出口!』と書かれた看板の近くにドアがあった。

 その後私が返事をすると、ヴェイルはこの空間から出て行った。そもそもこのことを気軽に話せる存在なんて兄弟の二人だけだから安心してほしい。この二人に言わないようにだけ気をつければいいか。


 あ、今のうちに二人にフレ申しておこう。あらかじめ登録しておいた情報から二人を探す。

 えーと、フレンド機能…これか。まずは桃希にフレ申。やっぱいつもの『桃鍵(ももかぎ)』でやってる。わかるよ、これ確かに単純だよね。


 桃希(とうき)(もも)、希+伸ばし棒→キー→鍵。多分こういうことだろう。…命名の単純さでいうと私のほうに軍配が上がるけどね。ちゃんとこういうところ考えてるところすごいよ、桃希は。


 お次は侑李。こちらも同様の手段で検索する。出てきた名前は『ユリ丸』。これは、まぁ…言わなくてもわかるだろう。フレ申フレ申。

 よし、これで完了。やるべきことは終わった。


 手当たり次第に採取していく。ヴェイルさんがこの空間を作ったんだろうけど、あの適当さからは考えられないほどに有能すぎる。すごい。採取しても採取しても生えてくる!採取し放題だ!うぉっほーい!たのしー!!


 ◇◆◇

 えー、かれこれ4時間ぐらい経ってますね。採取楽しかったです。はい。

 あれからずっと湧き出てくる素材を回収しまくった結果、所持数がとんでもないことになりました。よく生えてるものだと四桁台。レアなものだと三桁台。こうやって振り返ってる最中も採取してます。


 いや、これは採取のシステムがいけない。触れるだけで採れちゃうのがいけないのだ。どんどんなくなっていく感覚が気持ちよくてつい…。まぁどんどん次のが生えてくるからそれを感じられるのは一瞬だけだったんだけどね。


 …流石にそろそろ出よう。やりたいこともあるしね。

 そんなわけでやっとこの空間から出た。


 あぁ、そうそう。大体だけど採れた素材をまとめてみたよ。約は省略してる。

 ────

 薬草:2500個

 魔力草:2000個

 ルーン草:1000個

 月光草:800個

 星涙花:500個

 夢見草:500個

 星屑花:250個

 魔瘴花:250個

 爆炎花:500個

 凍氷花:500個

 聖癒草:50個

 世界樹の葉:25個

 ────

 …は?え、こんなに種類あったっけ?採った私でも驚くんだけど。というかよくわからないものがほとんどなんだけど。というかこれレアなものわかりやすすぎ!世界樹の葉とか絶対こんな序盤、特にチュートリアルで採れていい素材じゃない!!

 あの人の力強すぎるだろ…。ええ、やば。これが生えてる空間を好き勝手生み出せるんでしょ?やばすぎる。だってあの人さらっと生み出してたし、大した負担じゃないんだろう。


 とりあえず、冒険者ギルドに行って言われた通り口座を作ろうかと思ったんだけど…。実は、この世界は現実と時間の流れ方が違う。現実での一時間がこの世界での三時間分だ。だから、もう現実で三時間経ってるのでゲーム内では九時間進んでいることになる。

 なにが言いたいのかというと、もう完全に日が落ちているので冒険者ギルドに行っていいのか悩んだのだ。


 夜だとなんか絡んでくる人が多そうで面倒くさい。いや、でも今のうちに用事済ませちゃいたいんだよなあ。早く錬金したいし、お店も開きたい。


 よく考えろ、私!…まだみんな冒険に出払ってるかな?今この街にプレイヤー少ない?──この可能性が高そう?かな?よし、行ってみよう!!

 私は意を決して歩を進めた。


「冒険者ギルドへようこそ!…巡界者さんですか?」


 冒険者ギルド──これからは長いのでギルドと呼ぶ──に着くと、やはりほとんどの人が出払っているのか大行列とかはなかった。ちょっと並んだくらいかな。


「はい」

「では、冒険者登録はお済みですか?お済みでない場合、新しく登録させていただきます!」

「いえ、まだです」

「わかりました!では、この紙に必要事項をお書きください!」


 受付嬢から差し出された紙には名前や職業を書く欄があった。さらさらっと書いて受付嬢に渡す。


「すみません、一つお聞きしたかったんですが、職業を変えた場合また書き直さないといけませんか?」

「いえ、その必要はありませんよ!…会員登録が終了いたしました。この冒険者証は身分を証明するものでもありますので、なくさないようお気をつけください。もしも紛失してしまった場合でも、1000リーンで再発行できますのでお気軽にお声がけください」


 リーンというのはこの世界での通貨だ。価値は現実世界でのお金と同じである。


「わかりました。…あの、口座を開設したいのですが」

「新規口座の開設ですね、かしこまりました!ぱぱっとやっちゃいますね…。はい、完了です!」


 おお、早い!特に必要事項の記入とかないんだ!…あ、そうだった。忘れちゃいけないね。


「ありがとうございます。重ね重ね頼みごとをしてしまい大変申し訳ないのですが、ヴェイルさんに伝えてくださいますか。『口座は開設しました。あの時は丁寧な指導をしてくださりありがとうございました』…と伝えていただきたいのです」

「少し待ってください…。かしこまりました。必ずお伝えいたしますね!」


 用事は済んだので受付嬢さんにお礼を言い、今度は素材買取受付のところに向かう。

 こちらはさっきと比べて人が並んでいたので、適当なことを考えながら順番を待った。…待って、やらかした。フード付きの服とか用意したほうがよかったな、これ…。後で雑貨屋とか仕立て屋回ってみようかな。なかったら…錬金で頑張る。


 ──さて、私の順番になったので、チュートリアルの空間でとれた中では一番価値がありそうな世界樹の葉を買い取ってもらうことにする。お店の開業資金にしたいんだ。


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