11.厄介な絡み
「あー、なんか色々あったっぽい。今まで鑑定してなかったから気づかなかった」
「はぁ!?これからはどんなものでも鑑定するようにしろよ…」
「ねーちゃんそういうとこ抜けてるよねー」
メモしておこう、どんなものでも鑑定するべし!…よしオッケー。──あの性能のやばいポーション、値段変えるべきなのかな…。まぁいいや。そのことについてはまた今度考えよう。あれだって師匠のとこ行ったらぱぱっと作れちゃうようなものだし…。
「てか色々ってなんだよ、色々って。俺らに言えないようなことなのか?」
「色々で片付けていいことじゃないと思う!」
いや、でもそんなようなこと言われたって言えないものは言えないんだけど…。素材の入手経路は口止めされてて師匠は…口止めはされてないけど、雰囲気から察するに言わないほうがいいだろう。
となると+20の件についてはなにも教えられないのだ。ごめんね。
「口止めされてるから言えない。ごめん」
「ふーん…でも口止めってことは相当優秀な人っぽそう。あ、そうだ。このポーション500リーンで買っちゃっていいの?あれだと相当な値段で売れると思うんだけど」
「今まで気づいてなかったからそのままの値段でいいよ。特別価格ってことで!」
そういってユリ丸にウインクを飛ばす。ま、本当は考えるのがめんどくさいってだけなんだけど。言わないほうがいいこともある。ここいらで恩を売っておこう。踏み倒されないことを祈る。
「じゃ、遠慮なく買わせてもらうな!…へへっ、今どんなとこでもポーションの値段が高騰しててさ、思わぬ拾いものしちゃった」
「俺も頼む。…慎重に使わなくちゃな」
ユリ丸と桃鍵、どちらともポーションを十個買っていった。まいどあり!これで残っているのは15個。始めは60個ぐらいあったのになぁ。減る速度って早いね。
申し訳ないけど15個すべて回収する。そして、開いた空間を埋めるように50個ほど初級MPポーションを販売。+2のやつね。うーん…お金がなくなると困るから極端に安くしすぎないようにしないと。なら750リーンぐらいでいいかな?
それでいいと心の中で返事をして販売開始。後は待つだけだ。
「…MPポーション?+2…さっきのとんでもないものを見てるから低く感じるな…。効果が高いのはわかってるけどさ」
「さっきの衝撃がでかかったからねー。あ、MPポーション5個ちょうだいー」
「はいはい…好きなように買ってってね」
…あ、そうだ。ユリ丸は弓使いだし次は矢を作ろうかな?今持ってる材料から考えると羽さえあれば作れそう。第一エリアにいたらいいんだけどね、鶏とか鷲とかの鳥系モンスター。
「さて、それじゃ出発するか!第二エリアに行く前にレベル上げだな」
「そうだね。今の防御力じゃ心もとないし」
「そうなの?防御力なんて所詮は飾りなんだね」
「あるとないとじゃ大分変わるけどな」
ふーん…でも防御力40でも足りないんだ。第一エリアぐらい突破できるかと思ってた。さすがに舐め腐りすぎてたな…。反省。
◇◆◇
再びやってきました第一エリア。桃鍵たちとパーティーを組んでいるおかげで二人が倒した分の経験値もパーティー人数で割った三分の一程度手に入っている。
もちろん私も戦おうとしてるんだけどね、倒そうと思って動きだした瞬間桃鍵かユリ丸、どちらかに倒される。しかも討ち漏れがないからこっちに敵が回ってこないのだ。
二人ってこんなに強かったっけ…。同じゲームをやっててもパーティーを組むことは少なかったから違和感を覚えながらついていく。もうレベルは2ほど上がった。
「やっぱりここは狼と兎が多いね。他のモンスターはあまり見ないや」
「だな。ま、他ゲーでも似たような分布だから動きがわかりやすくて助かるけどな」
「へぇ…覚えておこ。今まで兎しか見なかったから狼がいたのは気づかなかった」
そんなことを話しながらフィールドボスがいるらしき場所へ向かっていく。二人が案内してくれるから私は楽でいいけどそろそろ出番が欲しい。すると二人が声をかけられていた。
「あの、もしかしてボス倒した桃太郎の方ですか?」
女の子の二人組だ。私はフードを被ってるから顔は見えてないと思うけど、変に話しかけられたら困るのですすす…っと離れていく。話しかけられても心の準備ができてないと吃音になってしまうから…。こういうのを防ぐためにはまず関わられないようにすることだよ。これが一番。耳を澄ませ、なにを話しているのか聞く。
「…まあそうだけど。どうかした?俺たちに何か用?」
桃希と侑李は初対面の人であってもゲーム内ではタメ口を使う。本人曰く、ゲーム内なんだから敬語とか気にせず遊びたい!現実を忘れたい!!…とのこと。敬語は一気に現実に引き戻される感覚がするみたいで二人はあんまり使っていない。
「急に話しかけてすみません、でも手伝ってほしいことがあって…」
「ボスを倒すの手伝ってほしいんです!うちらじゃレベルが足りなくて!」
「えーっと…ごめん、今知り合いと来てるから手伝えないや。本当にごめんね!」
「そんなこと言わずに!…知り合いってどなたですか?直接その人から許可をもらいます!!」
おっと。やばいやばい。隠れようかとも思ったけど近くにかがんでも背を隠せるような長い草はなかったので隠れ場所がなかった。この二人組、なんだか厄介そうな気配がする…。
「あの人じゃない?うちらが話しかけた時離れていったし」
「フード被ってる人?」
「そう。話しかけてきなよ」
「いや、あのちょっと待てよお前ら」
桃鍵が止めようとしてくれたけど二人には聞こえてないみたいでずんずんとこっちに歩いてくる。怖い。しかも断って引かずにこっちに聞くって何?話聞かないタイプがするぞ、まじで…。




