10.実験
「…それ、本当にルミオン?俺らがやってるゲームで合ってるのか?」
「俺も思った!ねーちゃん、俺たちがやってることと違いすぎる…」
私がやったことを客観視すると確かにおかしい。初日から木切ってるんだよ。大工とかでもないのに。
「…あ、水翠が師弟システム解放したんだろ?どんな感じなんだ?」
「うーん…師匠からアイテムとお金押し付けられようとしてる。詳しくは言えないけど…」
「戦闘職にも師匠っているのかな?」
「いるんじゃない?生産職だけだったら不公平だし」
師匠から魔法についても教われるのかな?ほかに魔法使いの師匠を見つけたほうがいい系?でもせっかくなら、師匠から教わりたいなぁ。たった数時間の関わりだったけど、すこし…いや、結構師匠を好きになってしまった。
「なるほどな…ま、とりあえず水翠の店行くわ。夕飯食い終わってから行く」
「合流しよう合流!俺、ねーちゃんが第二エリア行くの手伝うよ!…まずはねーちゃんのレベル上げからだけど」
「ありがとう」
そんなこんなで夕食を食べ終わり、おのおのゲームにログインすることになった。
ログインしたら自分の店で二人を待ってなくては。第二エリアに連れてってくれるらしい。──でも私第一エリアさえ満足に探索してないけどね。ずっと錬金系やってたから…。
◇◆◇
ログインしました!待ってる間錬金してようかな…。というわけで錬金セットに入っていた大釜を取り出し、錬金の準備をする。水を取りにいくのは面倒に感じてしまったので水魔法で生み出した水で代用。別にこれでもいいと信じたい。
うげ、八割ぐらい入れたら三分の一ぐらいMPが削れた。まぁ一メートルぐらいある大釜だし妥当なのかもしれない。そこでHPポーションはあるのにMPポーションがなかったことに気づき、MPポーションの作成に挑戦してみることにする。
作り方自体は掲示板で調べたことがある。攻略サイトとかはあるにはあったけど、ほぼ情報が書かれてなかったから無視。掲示板が現時点だと一番頼りになるかも。
必要なのは魔力草×1とある程度の水。多ければ必要な分だけ使われるとのことなので、さっき生み出した水を入れた大釜へ魔力草を入れる。で、そのまま【錬金】!
『初級MPポーション+2』
MPを100回復する。初級MPポーションよりはマシな味をしている。無味から苦い味がついた。
…あれ、この作り方で出来るのはただの初級MPポーションのはずなんだけど。なぜか+2がついている。初級ポーションにも品質の段階があるのかな?
それにしても、なにが原因で+2されたんだろう?とりあえず思い当たるところから対照実験していこう。
まず変えるのは水。手間をかけないために魔法にしたんだけど…気になったことは確かめるしかない。結局更なる手間が増えてるとか思いながら、家の裏側にある井戸に水を汲みに行く。
この物件、庭もあるんだよね。そこに井戸がある。さっきの作り方を同様に繰り返し、水をすべて使い切った。大体100個ぐらい作ったよ。
〈【錬金】と【調薬】のスキルレベルが上がりました〉
中級錬金セットから大釜だけを庭に持っていく。いちいち水を入れに行くのも大変だし持ってきちゃえば楽だよね。
必要量が正確にはわからなかったので多めに入れておこう、と水を入れるのを何度か繰り返して【錬金】。
『初級MPポーション+1』
MPを75回復する。とても苦い。
…なんとなく察しがついてきた。今度はチュートリアルで使用した桶を使い、水魔法で生み出した水を使って【錬金】してみる。すると今度は、
『初級MPポーション+1』
MPを75回復する。とても苦い。
先ほどと同じアイテムが作成できた。うーん…質のいいものを何個使用して作成することによって+の値がどれくらい高くなるのか決まるのかな?
それなら、今度は桶と井戸水で錬金してみよう。私の考えが正しければ、今度は+の値がない、調べた通りのMPポーションができるはず。ということで【錬金】!
『初級MPポーション』
MPを50回復する。無味。
思った通りの物が作れたのでどうやら私の考えは正しいようだ。…これ、他のものにも適用されるのかな?もしHPポーションとかに適用されてたら、やばいんじゃ…。
そう思って、初級HPポーションはどれも同じでしょと考え鑑定してなかったHPポーションを取り出す。アイテムボックスの表記というか、保存される枠が別ものだったことに違和感を抱いてはいたけど、そういう仕様なのかなと流していた。
『初級HPポーション+20』
HPを2100回復する。生命の因子の余剰分が溶け込んでいるため、組織の回復を行うことができると同時に回復力が高まっている。
「とんでもない…!!!」
さっきの説とはまた別だったらしい。質がいいものをどれだけ使用しているだけでなく、それがどのくらいの質なのかも考慮されるみたい。これは気軽に生み出していいものじゃないだろ…。
──生命の因子はHPポーションと相性がいいみたい。まぁそうか、二つとも生命を関係してそうだし。HPなんて生命力の象徴でしょ。これで相性が悪いとかなら反発し合ってるぐらいしか考えられる可能性はない。
…そこで思いだした。つい実験に夢中になってたけど、兄弟たちに第二エリアに連れてってもらうはずだったんだ。二人とも待たせてないかな?
お店のほうに戻り、二人がもう来ているのか確認した。二人は商品を見ているようだ。そりゃそうだよな、鑑定したらこれがとんでもないものだってわかるし。今出品してるポーションはすべて師匠の元で作ったもの。すなわちさっきのとんでも回復力を持つアイテムが500リーンで売られているのだ。
「よっ、スイ!…一つ聞いてもいいか?」
「うん」
「──このポーションの+20ってなに!?」




