表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

文豪パロディシリーズ『セリヌンティウスの独白』

作者: blue_armond

文豪インスパイア。オマージュ。リスペクト。

「信じる心」? 「美しい友情」?


 笑わせる。



 あの日から僕はうまく笑えなくなった。たった三日間かもしれない。でも僕にとっては地獄のように長い三日間だった。地獄を見る前にはもう戻れない。


 前々からあいつの強引さには少々辟易していたのだが。どちらかと言うと気弱な僕は、メロスのそのアグレッシブさに憧れていたのも事実だ。そう、見抜けなかった僕も悪い。


 だが確信した。あいつは狂人だ。「正義感」もあそこまでくると暴力でしかない。



 ―――ちょっと失礼。薬の時間だ。



 僕の病名。PTSD(心的外傷後ストレス障害)。

 あの三日間、僕は人質として幽閉されていた。「セリヌンティウス」という名もわりと知られているけど、メロスからしたら誰でもよかったのだろう。己の我が通るなら誰でも。シス◯ンめ。


 読者の皆さん。おかしいとは思いませんか?


「親友」だから走ったんです。約束を守らなければあとあと面倒ですからね。人質が赤の他人だったらあいつ、100%バックレてますから。保身ですよ。ちなみに妹は去年離婚したそうです。



 ヴヴヴ⋯。



 あ、彼女からラインだ。ちょっと失礼⋯ははっ。⋯ああ、メロスに赤い布渡した女の子いたでしょ。僕あの子にあのあと告白されて。それからずっと支えてくれてます。すごくいい子なんですけど、さすがに布を渡したときは「見るに耐えなかったから⋯。」と顔をしかめてましたね。彼女も被害者ですよ。トラウマ。 


 今はメロスと?もちろん距離を置いてますよ。あれだけ鈍感だと殺意すら湧くというか。でもああいう輩には何言っても通じないので。こちらが疲弊するばかりですから。毎回「忙しい」と言って断ってるんですけどね⋯鈍感なのもあながち悪くないのかもしれません。「忙しい」と信じきってくれるので(笑)。僕休職してますけどね。


 相変わらず走ってるみたいです。バカってよく走るよね。



「せいぜい、走れ、メロス。」(笑)



 なんだかちょっとすっきりました。お陰で今夜は眠れそうな気がします。


 セリヌンティウスでした!




© 1940 太宰治



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ