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名づけて、「処女いりませんか?」大作戦

室矢重遠は、ゼロから天までの道のりを歩む!

https://hatuyuki-ku.com/?p=707

 ディアーリマ芸能プロダクションの社長室。


 悠月(ゆづき)史堂(しどう)を帰した後だ。


 川奈野(かわなの)まどかは緊張したまま、社長の綾小路(あやのこうじ)桔梗(ききょう)と対面している。

 流れで、ソファに座った状態。


 桔梗が、口火を切る。


「さて、川奈野くん……。君は、巻き込まれただけ」


「は、はい……」


 恐る恐る同意した『まどか』は、対面の社長を見た。


 桔梗が指摘する。


「だが、悠月財閥の御曹司に不愉快な思いをさせてしまった……。専属のタレントである君が、そもそもの発端だからな?」


 まどかは、何も言い返せず。


 それを見た桔梗は、結論を述べる。


「君は、悠月くんの相手をするように……。先に言っておくが、専属アイドルを辞める自由はあるが、オススメしない」


「なぜ、ですか?」


 桔梗は改めて、状況を告げる。


「私が見た限り、悠月くんは我々に悪感情を持っていない。しかし、彼の実家がどう判断するのか、不明だ……。最悪のケースでは、悠月家への攻撃と見なし、我々が訴えられるか、内々で詰め腹を切らされる。下手をすれば、いきなり事故死か半殺しだぞ?」


 ゴクリと唾を飲み込んだ、まどか。


 桔梗は、話を続ける。


「彼に助けられた君が、体を張るべきだ! ……君が辞めて1人で逃げた場合、このディアーリマ芸能プロダクションとグループ企業は、原因となった君を総力で追い詰める! そのことは、事前に承知しておくように」


「ハ、ハイッ!」


 ガクガクと首を縦に振る、まどか。


 それを見た桔梗は、優しい声音に。


「あくまで、最悪の場合だ……。いずれにせよ、ウチに対するイメージを改善しなければならない」


「はい、そうですね……」


 同意した『まどか』は、視線で訴えた。


 ふうっと息を吐いた桔梗が、命じる。


「悠月くんは、君に興味があるようだ……。仕事という名目で、彼と会うチャンスを与えた。あとは、君次第……。頑張ってくれ」


 まどかの視線は、まだ止まない。


 桔梗が、もっと具体的に言う。


「彼は……あからさまな誘いを嫌うようだ。『彼に誘われた場合、絶対に断らない』という条件にする。体の状態が悪く、どうしても無理な時には、『いつなら大丈夫!』と、上手く説明するように」


 まどかは、おずおずと告げる。


「あの……。私、未経験で」


「同じ女として、気持ちは分かるが……。これほどの相手は、そういないぞ? 『必ず、抱いてもらえ!』というわけではなく、健全に仲良くしてお別れも十分にあり得る。業務命令だから、悠月君とのデートはこちらで負担しよう! 金の心配は不要だ」


 話し終えた桔梗は、ジッと見つめる。


 まどかは、その視線を受けて、愛し合った男子と初体験をしたいです! という言葉をひっこめた。


 指で眉間(みけん)を揉みほぐした桔梗は、思い出したように告げる。


「本来の用件は、君と組む新人2名の紹介だったな? 少し、待ってくれ」


 立ち上がった桔梗は、窓をバックにした役員机へ歩み寄り、顔写真を貼ったプロフィールを持ってきた。


 応接セットの中央に置かれたガラステーブルの上へ、滑らせる。


「読みたまえ」


「はい」


 手に取って、流し読み。


 “室矢(むろや)カレナ”


 “槇島(まきしま)皐月(さつき)


 どちらも、外国人の女子だ。

 芸歴は真っ白……。


「室矢って、あの『室矢』ですか!?」


「そうだ……。今は『室矢』の安売りだが、彼女は本物だよ」


 まどかは桔梗の熱っぽい返事に、社長の推し? と勘繰った。


 その雰囲気を感じ取ったのか、桔梗が仕切り直す。


「彼女たちと一緒に仕事をする気があるのか? という話だ」


 困惑した『まどか』が、問い返す。


「自分で言うのは、何ですが……。私のような『売れないアイドル』よりも、同じ『室矢』の『瀬本(せもと)ゆい』さんのほうが?」


「彼女たちは無名の新人……。けれど、扱いが難しい。自然に接することができて、業界を知っている君が、適任だ!」


 言われて、2人のプロフィールを見れば――


 “ユニオンの公爵令嬢”


 “槇島神社で崇められる存在”


 なるほど。

 これがキャラ作りではなく、ガチならば……。


 どう接していいのか、悩むだろう。


 桔梗は、プロフィールを見ている『まどか』に説明する。


「彼女たちのマネージャーは、水口(みずぐち)くんだ。もし君が引き受けてくれれば、3人のユニットで仕事を斡旋しよう。今の担当マネージャーの(せき)くんとは、お別れだな」


 顔を上げた『まどか』は、驚いた声に。


「水口さんって……あの!? 養成所では、ぜんぜん見かけないのに……」


 売れている芸能人ほど、レッスンに出ない。


 首肯した桔梗が、淡々と続ける。


「私が呼んだ……。この2人は、少し特殊だからな? 君には、先ほどの悠月くんの件と、彼女たちとの芸能活動をしてもらいたい。……悠月くんと会うのは、君だけだ。しかし、彼女たちへの相談は構わない」


 水口さんに見てもらえるだけで、僥倖(ぎょうこう)だ。


 そう思った『まどか』は、すぐに応じた。


 まだ仕事ができるのなら、選択の余地はない。

過去作は、こちらです!

https://hatuyuki-ku.com/?page_id=31

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