呼べば、帰ってきそうなカペラ
室矢重遠は、ゼロから天までの道のりを歩む!
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港区の赤坂にある、迎賓館を思わせる豪邸。
広いリビングで、家主の深堀アイが口を開いた。
「その件が片付くまでは、3人ともウチに宿泊して構わないわ! 『素泊まり』とはいわず、衣食住の面倒を見る。住所としても私……管理している不動産会社が、証明するから」
1人用のチェアに座りつつ、室矢カレナを見た。
「カレナお姉さま! 全体を説明してちょうだい……。ここまで世話を焼くのだから、その権利があると思うけど?」
ソファーに座っているカレナは、アイを見返した。
「USFAの試作MA、X-1『コメット』の暴走は、カペラの置き土産がやりました……。本人に説明させましょう!」
電子音と共に、空中で平たい画面。
童顔で、星々が見えるパープルの瞳。
動きやすく手入れしやすい、肩にかかる程度のブラウンヘア。
セーラー服ではなく、星を模した髪飾りもない。
驚いたアイが、思わず尋ねる。
「小型コロニーのエルピスで、外宇宙へ旅立ったのでは!?」
空中のモニターに映る女子は、“カペラと遊ぼう! ~ステッラエ・マレからの来訪者~” のアプリにいた本人と、雰囲気も違う。
反抗期を思わせる、すさんだ感じ。
その女子は可愛らしいが低めのボイスで、豪邸のリビングに集まっている面々を見た。
『オリジナルは、そうしている! 亜空間かブラックホールの中にいるらしく、定時報告である超空間の通信が途切れやすいけど……。私は、彼女の代理人である、劣化コピーのAIよ! ツヴァイと呼んで』
ツヴァイは、不機嫌そうだ。
しかし、ブラックホールの中から通信が届くという時点で、誰しも宇宙ネコになる案件だ。
カレナは、率直に聞く。
「アイドルの強火担を確保します! 女子タイプのAIで、アイドルオタ。今の人類では、彼女を追いきれません……。協力してください」
モニター上で、ツヴァイは嫌そうな顔。
『拒否権はないんでしょ? ハイハイ……。対象を教えてくれれば、秒で逆探して、そのまま焼き切るから』
「いえ、確保します」
顔を引きつらせたツヴァイは、問い返す。
『わざわざ、サンドボックス――隔離された仮想領域――に放り込むの? 何で!?』
「海に沈んでいる邪神が、浮上します……。そっちの秘密教団にギリギリまで、私たちの目的を悟られたくありません」
げんなりしたツヴァイは、端的に答える。
『面倒臭い……。で、私のやることは?』
「女子AIが推しているアイドルに私たちが接触して、一緒にいますから――」
『通信の履歴や、そいつの動向を密かに探り、あんたの合図で隔離した空間に閉じ込める』
ツヴァイの説明に、カレナは念を押す。
「やれますか?」
誰に聞いているんだ? と言わんばかりに、本人が答える。
『今の通信とシステムは全て、私が裏コードを握っているのよ? スタンドアローンでも、それが電子機器なら影響を及ぼせる。その気になれば、明日から伝書鳩の生活! アイドルの通信を見張れば、いいわね? 専門知識があるとは思えないから、普通にスマホで連絡を取り合っているはず』
「任せます……」
カレナの返事に、ツヴァイは質問する。
『トリアージは?』
「私たちを除けば、推されているアイドル、その関係者、最後に女子AIです。なるべく、全員をフォローしてください」
『潰すべき敵は?』
「海外マフィアと秘密教団を兼ねている、『ダンスマウス・インダストリー』。それと組んでいる、マヴロス芸能プロ」
『私が選べる、物理的な手段は?』
「戦闘に入った場合は、軍用兵器を使ってください……」
――ディアーリマ芸能プロダクション
東京で、レッスンスタジオもある建物。
平日の午前中で、制服の女子や社会人が入り乱れている。
「おはようございまーす!」
「お疲れ様でーす!」
「乗ってください!」
人と機材を運べるバンも、ひっきりなしに出入り。
部外者に見られる場所ゆえ、まだ取り繕った態度。
2人の女子中学生は、制服姿。
歩道から、広いエントランスに入った。
高級ホテルのロビーのようだ。
自然体のまま、オープン型の受付に。
「いらっしゃいませ! ……こちらは、商談用のスペースよ? 養成所を含めたレッスンスタジオは、隣です。見学についても、そちらでどうぞ」
カウンターの内側にいる女性は、見るからに、お登りさん。という女子2人に、間違いではないか? と尋ねた。
腰まで伸ばしている黒髪のJCは物怖じせず、用件を述べる。
「室矢カレナです……。社長の桔梗に、『今日から、ここの専属アイドル』という約束ですが?」
同じく、腰までの金髪と金色の瞳をした少女が、自己紹介。
「槇島皐月です。ボクも、カレナと同じ用件……」
ギョッとした受付は、すぐに応じる。
「し、失礼しました! 室矢さまと槇島さま、ですね? 少々、お待ちくださいませ!」
過去作は、こちらです!
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